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ドミニクからの招待状

その日の夕方、騎士団の総務部に私宛の手紙が届いた。

差出人はドミニクで、次の休みの日に買い物に行こうという内容だった。



今の私は平民という立場を取っているので大使からのお誘いはお断りはできない。



次の休みの日、ドミニクが迎えが来た。

応対に出てくれたリサ様に対して、貴族の礼をして

「はじめまして、シラウト侯爵夫人。

私はウィルコクス国大使のドミニク・エッゴールトです。以後お見知り置きをお願いします。

こちらで我が国から来ておりますシア嬢がお世話になっておりありがとうございます。」

と挨拶をしていた。


あの優しげな甘い顔で言われて、リサ様は

「まぁ!素敵な方ね。

シアちゃんは素敵なお嬢さんよ?今日一日よろしくね」

と言ってくれていた。


馬車に乗ると、王都の西部に位置する大きなメゾンに連れて行かれた。


ウィルコクス国のメゾンでは、高級メゾンは紹介がないと入れない上に、ドレスはどこにも飾っていない。

しかし、グレイグ王国では高級メゾンであっても、一階にはショーウィンドウがあってドレスがディスプレイされている。

そして中に入ると、ドレスショップになっていてオートクチュールではないドレスを手に取ってみたり、試着してすぐに購入できるようになっている。



連れてきてもらったメゾンでも一階はショップになっていて、すごく賑わっていた。


私とドミニクは店内に入らず、別の入り口から中に通された。

そこは貴族のタウンハウスのサロンのような部屋だった。

ウィルコクス国の高級メゾンの中はこのような部屋と試着室しかないから、一階のブティック部分があるのは不思議な感じがする。


ドミニクは、

「普段着るものからパーティー用まで全てシアの好みのものを出して欲しい」

と案内してくれた女性に言った。


「かしこまりました。ではご案内いたします」

と言われた。


「シア、この国で着ている服はシアの好みのものではないだろ?

シアはワガママ姫だと勘違いされているけど、すごく周りに気を遣っていて、あまり自分の意見は言わないから。

今日はシアの好みで、しかも似合う服が見つかるといいと思って来たんだ」

とドミニクは優しい声で言った。


ドミニクはサロンに案内され、私は試着室に案内された。



試着室は普通の部屋くらいの大きさがあり、とても贅を尽くしているが、この試着室には鏡がない。

鏡のあるサロンには、同伴者が待っていて試着したドレスのお披露目をして評価を仰ぐようにわざとそうしていると、案内してくれた女性は私が鏡を探していた事に気づいて聞かなくても教えてくれた。


すると、入口とは別の扉からドレスを持った女性が入ってきて着替えを手伝ってくれた。



スカイブルーからダークブルーに変わっていくドレスを試着した私はドミニクのいる部屋の扉を開けた。


ドミニクは一人がけのソファーに腰掛けて何か仕事をしていたが、扉の開く音を聞いて顔を上げた。


「うーん。胸元が開きすぎ。」

と言う感想を言われた。たしかにちょっとセクシーすぎる。

すぐに試着室に入って次のドレスを着る。

今度はブラックのドレスだ。


「華やかさが足りない」

とドミニクは言った。

確かに地味なデザインだ。

すぐに試着室に入って次のドレスを着る。


ブルーのドレスを着た私を見ると

「いいね!似合ってるよ。一回転して見せて」

ドミニクは優しい笑顔で私を褒めた。


次はピンクのドレスの試着をした。その時に、

「髪色を元に戻さないの?」

と聞かれて私は首を横に振った。


「確かにそのメイクで茶色の髪だと、家族でもシンシアとは気づかないと思うけど…気づかれたくないなら魔法で容姿を変えたら?」

私は首を横に振った。


「だよなー。あれは維持するのが大変だよな。

気を抜くと、どこかが戻ったりするんだよ。

確かに私もあれは苦手だ」

と言いながらも、次から次へと試着を言われた。


沢山の試着をした後に、

「どうだった?」

と聞かれて、空中に文字を書いて感想や意見を伝えた。


ドミニクは笑いながら聞いてくれて、最後に

「シアの夢はドレスメーカーを立ち上げる事だけど、長い間、どこかにドレスを買いに行ったことがなかっただろ?

参考になった?」

と聞かれた。


ドミニクは私の事を考えてくれてるんだ!


『ありがとう』と手信号を送ると、ドミニクは笑った。

この手信号は昔からいたずらをする時に声を出さなくても意思疎通が図れるから便利で使っていた、私とドミニクだけがわかる合図だ。


朝から長い間、このメゾンにいたのでお腹がすいた…。

するとドミニクは、

「じゃあ元の服に着替えて、と言いたいところだけど、シアの服は、貴族の変装みたいじゃないか。

だから服も用意した」

と言われて、お針子が気を利かせてくれて服を持ってきてくれた。



試着室で着替えて出てくると、ドミニクも着古した外套に、帽子を深くかぶって待っていてくれた。

猫背で立つドミニクは、確かに別人だ。

ちゃんと髪の色も、茶色に魔法で変えてある!


ドミニクは

「これから何か食べて帰ろう。シアも念のため帽子を被って」

と言われて、渡された帽子を深く被った。


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