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Ⅴああ!! 鱗翅目は神の栄光の切れ端ゆえ
ある種の蛾にとって、この世は一瞬の止まり木に過ぎない。
彼らは土壌に興味を抱かず、空を住処に月を求めて仰ぐ。
ああ!!蛆虫は神を求めて天を仰ぐが、
鱗翅目は神の栄光の切れ端故、
その命に執着する事もない。
それは夢遊病者の幽霊の様に、風に流され、やがて淘汰される。
しかし、キリスト教徒よ。
お前達は肉の僕故、血を吐き出しながら、
ヤコブの遺骸を探さなければならぬ。
沢山の栄光の切れ端が朧げに飛び交う夜も、
死んだ牛の腐肉に湧く、神求める蛆の群れも通り過ぎ、
楽園への道を、キリストの王国を見つけねばならぬ。
腐汁に足を浸らせ、
蛾の飛ぶ空よりもさらに上にある、
愚か者達を愛する王国の栄光に涙しながら。