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Ⅰ十字架を肺に突き刺され
夜を歩く腐りかけた思想の幽霊を捕まえろ。
真夜中、修道士達が祈るミゼレーレを聞きながら、
私は怯え、小動物の様に潜む。
社会主義の気高さを持ち、我々は日々撃ち殺される。
外套膜に覆われた腹足類の様に
息を殺して私達が惨めに潜む理由を
聖者は教えてはくれない。
マタンサが!!
かつて、マタンサが行われたのだ!!
魂は無駄に死に、多くの文学が死んだ。
ああ!!気高さを夜に逃がせ!!
レジスタンスの鱗翅目を殺すな!!
サトゥルニア・ピリ。
ウィーンの皇帝と呼ばれる蛾を私は真夜中に放つ。
ああ!!群れる事のない夜の異物のその蛾は
日々、生きる者達が手を出せなかった気高さの痛みだ!!
誰に知られる事もなく、讃えられる事なく、
十字架を肺に突き刺され、
夜の湿った路地に消えていく、
排水溝に遭難する誇り高き痛みなのだ!!