7治癒魔法実践その2
本日の投稿はここまで。
まだ連載したばかりでページ数が少ないので多めの投稿になりました。
「こちらはクリフトフ様の次男マークライアン様だ。本日はご自身の治癒魔法の練習のために来られた。皆挨拶!」
「「よろしくお願いします!!!」」
「マークライアンです。こちらこそよろしくお願いします」
僕はみんなの揃った挨拶におっかなびっくりしながらも何とか挨拶を返す。
「では、マークライアン様はこちらの救護所へ。皆訓練開始!」
兵士たちの号令を背後に聞きながら僕は言われたスペースに急いで向かった。
僕はぼんやりと兵士たちの訓練を見ている。
ここの兵士たちは父様の力に憧れた市民や冒険者が志願したというのが大半らしい。
なるほど、僕が習っているのとは違う自己流っぽい戦い方のような者がちらほらいる。彼らが元冒険者だろうか?
……あっ、あの人。槍が当たった。ぎりぎり避けたから鏃は当たっていないが打ち身はあると思う。治癒魔法使いたいけどあんな戦っている人がたくさんいるところにのこのこ行けない。あの人も今は治療どころではないのか剣を握りなおしている。
とりあえず顔を覚えておいて後で治療しよう。
休憩時間になり軽度の怪我を負った人たちが来てくれた。
僕はその一人ひとりにこの間の治癒魔法を思い出しながらかけてゆく。
しかし、先ほど見掛けた打ち身の人は来ていなかった。
きっと血が出ている訳ではないとこちらに来なかったのだろう。遠目に見てもあの打ち方なら当分酷いあおたんに悩まされると思うんだけど。
僕はどうしても気になり、治療が一段落したこともあり先ほどの人を探すことにした。
探し始めて少しして、打ち身の人を見つけた。ちょっと腕を庇っている気がするからやっぱり痛いのではないだろうか?
「そこのお兄さん」
僕が声をかけたのに気付いたのだろうこちらを振り向いた。
「ん?俺に用事か?」
打ち身の人は僕に視線を合わせるようにしゃがんでくれた。
すかさず僕は彼の手首を掴んで袖を捲りあげる。
「ちょ、何する」
打ち身の人は僕の行動に慌てたが酷いあおたんになってる腕を見て大人しくなった。
「この打ち身治して良いですか?」
僕は尋ねると頷いたので魔法をかける事にした。
打ち身に治癒魔法をかけるのは初めてだからちょっと緊張する。
あおたんは皮膚の下筋肉とかが怪我をした状態だ。ならあおたんになっている皮膚の下辺りに魔法をかけるイメージだろうか?
そんな事を考えながらヒールを唱える。
淡い光に包まれてみるみる元の色に戻っていった。
「……どうですか?」
僕が尋ねるとビックリした顔の人が腕を動かしたり、打ち身のところを触ったりして確かめている。
「すげぇ。痛くなくなった。あっ、ありがとうございました。坊っちゃん」
途中で僕が雇い主の息子だと思い出したのだろう打ち身の人が慌て言い直してた。
「いえいえ。打ち身も怪我なので、ちゃんと僕のところに来てください」
そう言って打ち身の人とは別れた。
今日の治癒魔法の練習は上手いこといって一安心だ。