6兵士と遭遇
今日はかねてより考えていた兵士への治癒魔法特訓の初日である。
今までは僕の都合や兄様の都合でなかなか出来なかったが今日行く事になった。
「マーク、兵士たちには事前に伝えてあるから」
「はい。ありがとうございます」
横を歩くギル兄様を見上げる。
身長が120センチぐらいの僕からしたら7歳年上の兄は見上げるように高い。
僕と同じ金髪の髪に、紅い瞳が訓練が楽しみなのか煌めいている気がする。
ちなみに僕たち兄弟は全員父様譲りの金髪で兄が紅、姉が茶色、僕が黒い瞳をしている。
瞳はもしかしたら適正魔法に対応しているのかもしれない。
そんな事をなんともなしに考えながらとことこ歩く。
きっと兄ならもう訓練場着いているだろうに僕に合わせてしまって申し訳なく思えてきた。
***
「はじめまして。クリフトフ辺境伯次男のマークライアンです。今日はよろしくお願いします」
訓練場に着いた僕は兄にまずは隊長に引き合わされていた。
隊長は父様と同じくらいの歳に見える筋骨隆々とした大男だった。
「はじめまして。クリフトフ団隊長を務めているガイストです。本日は治癒魔法の練習に来られたとか。こちらこそよろしくお願いします」
おー。格好いい。こういう漢っていうのに憧れる。僕も将来はこんな頼りがいのある大人になれるだろうか?
きっときらきらした瞳で見ていたのだろうガイスト隊長が苦笑した。
「では、隊員たちに紹介します。こちらに着いてきてください」
僕は見慣れない所にきょろきょろと見回しながら着いていく。