33新たな領民
「……ねぇ。あの美しい人は誰なの!?」
サウアさんたちと治癒所に到着した僕たちはルナさんに出迎えられた。……と思ったらすぐさまサウアさんに引きずられ治癒所から連れ出されての台詞。
「先ほどの女性でしたら治癒所で薬師として働いてくれているルナさんですけど……」
僕は前のめりに聞いてくるサウアさんにたじたじだ。
「……薬師。……薬師なら薬草が必要だよね?どうしてるの?」
「栽培出来るものは畑で栽培して、大半は森に採取に行きますね」
「あんな、か弱い女性が森に!……決めたよ。マーク君。ボク、これからはルナさんに薬草を卸すよ 」
「え?どういう事ですか?」
突然言われても何がなんだか理解が追い付かない。
「うん。ボクは木魔法が使えるからね。どんな植物の栽培も思いのままなんだよ。だから必要な種類をいってくれれば栽培するってこと」
「……なるほど。それはルナさんも喜ぶと思います」
ルナさんにサウアさんの話を伝えるとすぐさまお願いしたいと言われた。
サウアさんはルナさんと接点が持てる。ルナさんは森に採取に行かなくていい。お互いにい良い取引のようだ。
こうして、クリフトフ領にサウアさんの薬草園が出来る事になった。
***
【別視点】
豪華な装飾がところせましと置かれた寝室。
その中で一際大きなベッドには一人の壮年の男が横になっている。
「……久しいな」
ベッドの男が声をかけると扉から今まさに入って来た老人が呆れた表情を浮かべた。
「陛下。何故扉の前に兵がいないのですか?」
老人……ザウルスは咎めるように壮年の男に言う。
前近衛騎士団長としては警備の薄さに一言言わないと気が済まなかったのだ。
「しかも、もう引退した儂も検分なく通して……」
「退冠間際の王より敵の多い次期王に警備を厚くしないといけないだろ?」
壮年の男……陛下は飄々と嘯く。
「たしかにあの方は自衛手段に乏しいですが」
だからといって現国王の警備がザルなのはいただけない。
「陛下。凄腕の治癒魔法使いを見つけました」
ザウルスはそう言って折れていた足を軽く動かす。
それは本当ならまだまだ歩けない筈だった足だ。
それを瞬く間に治した少年。
もしかしたら陛下の病気にも何らかの朗報を見付けてくれるのではないか?
ザウルスはマークにあってそう考えていた。
「ふーん。まだお前は私を助ける方法を探してくれているんだな」
陛下はベッドの中で軽く身動ぎした。ザウルスの顔をしっかり見つめる。
「……うん。わかった。ザウルスに任せるよ」
「はい。かしこまりました」
ザウルスは恭しく礼をして了承した。
こちらで2章終わりです。
ありがとうございました。
3章の準備のため3章開始は大体3週間ほどお時間ちょうだいします。




