31老人の悩み
「……ヒューズ卿」
「ここにはヒューズは2人いるからのう。儂の事はザウルスで良いぞ」
「……では、ザウルス様。あの、足を見せていただいてもよろしいでしょうか?」
「ん?足をか?」
ザウルス様は不思議そうな顔をしつつも僕の前に足を見せてくれた。
「鑑定」
備考:大腿骨が骨折しています。全治2ヶ月。
ふむ。骨折で足を引きずっていたのか。
骨折なら時間をかければ治るが、ヒールをかけて細胞を活性化させればすぐに治す事が出来る。
僕は患部に手を当てヒールをかけ始めた。
「……マーク君!」
治ったのに気付いたのかザウルス様が驚いた顔で僕と自分の足を見比べている。
「ザウルス様の骨折にヒールをかけました。骨折は治りましたよ」
ザウルス様がおそるおそる立ち上がる。
「……ほ、本当だ。ヒールで骨折を治せるとは」
「知識と治癒魔法があれば誰でも出来るとは思います」
「……ふむ。そうなのか。お主は凄腕の治癒魔法師だな」
ザウルス様が僕の頭を撫でてくれた。エリザベス様もお祖父様の怪我が治って嬉しそうだ。
あれから時間になったので、ヒューズ公爵家とは砂浜で別れた。
ちなみに僕の家族はヒューズ公爵家には気付いていたが、声をかけていいのかわからずに様子見をしていたらしい。
声をかけて欲しかった。僕には公爵家の相手は荷が重いです。
***
【別視点】
マークライアン・クリフトフ、か。
不思議な少年だった。
希少な鑑定魔法を参考にして今まで誰も実践しなかった治癒魔法の使い方をする凄腕の治癒魔法師。
「……彼なら治せるだろうか?」
頭に浮かぶのは自分の主君の顔だった。
「……お祖父様?」
手を繋いでいたリズが儂を見上げて小首を傾げる。その愛らしい仕草に知らず頬がにやけてしまう。
とりあえず、マーク君に関しては陛下に進言してみよう。
頼むのであれば、クリフトフ家に連絡を取り王族の誰かが向かいに行くことになるだろう。
少なくともクリフトフ家は現在ここに来ている。すぐには難しいだろう。
宿に帰ったら陛下に文を出すことにしよう。
段取りを決めた儂は残りの休暇を楽しむことにした。
次回は3月1日です。




