29海辺で遊ぼう その2
アランの砂像制作を見学してしばらく。ようやく満足したのかアランが顔を上げた。
アランの前には今にも動きだしそうな躍動感溢れる馬と装飾品ひとつひとつまでこだわり抜いた馬車……の砂像が。
「出来たの? すごいね」
「……マーク様!すみませんでした。夢中になってしまって」
僕に声をかけられて驚くなんて大分集中してたんだな。
像作りにはまったのなら冬に雪像作りはどうだろうか?
氷魔法も使えるし、良いかもしれない。
「砂像作りが気に入ったのなら雪で像を作るのも良いかも知れないね」
「雪で、像ですか?」
「うん。雪を固めて、好きな形に削るんだよ」
「なるほど。作れそうですね」
「みんなでたくさん作ったら展示会みたいに出来そうじゃない?」
イメージは雪まつりだ。
みんな寒い中雪像を見に行っていた。滑り台とかかまくらを作っても良いかも知れない。
「楽しそうですね」
「うん。何か温かいスープとか売ったら売れそうだよね」
「良いですね。もし展示会をされるのでしたら微力ながらお手伝いします」
「うん。ありがとう」
これは、冒険者もなかなか来なくなる冬の我が領地の新名物になるかも知れない。
後で父様に相談してみよう。
「あ、ねぇ。アラン。一緒に遊ぼう」
「はい。何をして遊びますか?」
「えっとね、砂を山にして、真ん中に棒を差すの。それで順番に砂を取っていって棒を倒したら負け。どう?」
僕が山を作って棒を差した物から砂を取るところまで実演してみせる。
アランの方を見るとびっくりしているように見える。どうなんだろうか?
「……すごい。楽しそうな遊びですね」
「やってみよ」
僕が考えた訳ではないのでちょっと申し訳ない。が、正直に前世の知識です。と言うと頭の心配をされる気がするから誰にも前世の事は言えてない。
ただ交互に砂を取っていくだけの遊びだが、相手の心理を読んだり、棒が倒れないギリギリを見極めたりとなかなか楽しい。
「……あっ! あー。負けた」
うっかり砂を取りすぎてしまい棒が倒れてしまった。
「もう一回やろう」
「はい」
ふたりでまた砂の山を作り始めた。
次回更新は21日です。




