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治癒魔法師の奮闘記(完結)  作者: けいと
2章
29/42

25後悔と決意

町に着いた僕たちは宿に荷物を置いて町に散策に来ていた。


目的は主に夕食の為だが、クリフトフ町しか行った事のない僕からしたら見るもの全て珍しく感じる。


完全にお上りさん状態で普段なら手を繋がないのにアランに手を掴まれてしまっている。はぐれると思われてるのだろうか?


「ねぇ、父様。こちらの名産はなんですか?」


「ここの町は野菜だな」


「近くの草原や山から採取出来るから採れたてが手に入るのよ」


父様の言葉に母様が補足してくれた。


たしかに、この町に来る時に草原を通ったなと思い起こす。





「ん?なんだ?」


「騒がしいね」


前方の店の前が騒がしくて兄様と顔を見合わせる。


皆でそちらに行ってみるとどうやら飲食店の中で何かあったようだ。


父様は顔をしかめると僕たち家族を一瞥して人垣を進んでいく。

僕たちも父様の後に続いて店内に入った。



店内は何人かの人がテーブルに倒れていた。その具合の悪そうな人のそばにおろおろと店員らしき人達がいる。


今は患者らしき人と店員、それから僕たち家族しか店内にはいないようだ。


店の外にいたのは客と野次馬だったのだろうか?



「父様!」


僕はすぐさま父の顔を見た。頷いた父を確認して近くの患者に鑑定をかけた。




備考:ツキヨタケの中毒症状で腹痛を起こしている。



鑑定には毒キノコの中毒症状だと出ている。

おそらくここにいる人たちは食用キノコと間違えた毒キノコを食してしまったのだろう。


まだ腹痛の症状だけのようなので慌てて‘エリアキュア’を店内の範囲にかける。


これでとりあえずツキヨタケの毒は取り除けた筈だ。


「今、エリアキュアで毒キノコの毒を取り除きました。あとは落ち着いたらこのポーションを飲ませてあげれば大丈夫です」


父様に状況を説明する。すると近くで聞いていた店員たちが患者の様子を確認する。


大丈夫だとわかったのだろう安心した表情をしている。


「……あの、私はここの店主です。あなた方が助けてくださったのですか?」


小太りの男性がおずおずとした様子で僕たち家族の前にやって来た。


「あぁ、俺はクリフトフ辺境伯。今助けたのはうちの息子だ。詳細はこの子から説明する」


父の言葉に頷くと僕は店主さんの前に出た。


僕のような子供が助けたというのを訝しく思っているのだろう店主さんはでも、貴族の当主の言葉に反論することが出来ないのでちょっと困り顔だ。


でも、聞いてもらわないと困るので説明する。


「鑑定をかけたところ皆さんツキヨタケという毒キノコの中毒症状が出ていました。先ほどそちらのスープに鑑定をかけたところツキヨタケが入っているようです。

皆さんはエリアキュアにてツキヨタケの毒を取り除きましたので、少し落ち着きましたらこちらのポーションを飲ませてあげれば大丈夫です」


僕は店主さんの前にポーションを見せる。


「ツキヨタケ?うちの料理に毒キノコが?」


当たり前だが店主さんは大分動揺しているようだ。



「はい。おそらく食用キノコと間違えて採取したのではないかと思います。採取された方は鑑定魔法は取得していますか?」


「い、いいえ。そんな高度な魔法を取得しているような従業員はいません」


僕にとっては鑑定魔法は誰でも取得出来る魔法だが世間一般では、いまだに鑑定魔法は才能あるごく一部の者しか持っていない魔法なのだ。


僕は早急に鑑定魔法を広めないといけないと固く決意をした。





あれから患者たちはポーションを飲んで回復した。

そこまで見守った僕たちは父を残して宿に引き上げた。


たぶん事後処理をするんだろう。



「……ねぇ、アラン」


「はい」


「僕は治癒魔法を治癒を国に広めるよ。絶対に」


「私もお手伝いします」


「第一段階としてまずは鑑定魔法を広める。お手伝いよろしくね」


「はい」


今回はツキヨタケだった。あれは腹痛などの症状で死に至るまではいかない。でも、料理に入っていたのがもっと毒性の強い物だったら。今頃取り返しがつかなかっただろう。


もしかしたらこういう間違いは世間ではほどほどにあるのかもしれない。運の悪い事故みたいに扱われていたのかも。


僕は世間知らずだった。検証を早めて、早く鑑定魔法を広めていればよかった。暢気にしすぎていた。鑑定すれば何なのかわかるのだから鑑定魔法が使えるようになったら一気に色々安全になるのではないだろうか。


僕は戻って来た父に相談することにした。

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