23旅先での出会い その2
「自己紹介がまだだったね。ボクはエルフ族のサウアだよ。君は?」
「僕はマークライアン。こちらが従者のアランです。それで、サウアさんはこんなところでしゃがみこんでどうしたんですか?」
「うん。この植物をね。初めてみたから観察してたんだ」
僕はサウアさんの視線の先の植物を見る。僕も知らない植物だったのて「鑑定」をかけてみた。
【クコ】
水辺の砂地に自生している植物。
備考:日差しを浴びて健康に育っている。
足元を見てみる。僕たちが野営地にした地面より砂地になっていた。
クコか。たしか赤い実付く植物で前世では結構分布していた植物だったらしい。
「マーク君! 君。今。鑑定魔法を!」
「え?はい。使えます」
サウアさんの剣幕にちょっと引いてしまう。先ほどまでののんびりした姿が嘘のようだ。
すぐさまアランが僕を背に隠してサウアさんを警戒する。
「……あ、ごめんね。ボクも鑑定魔法憧れてたんだけど、習得出来なかったから」
シュンと反省する姿はズルイと思う。僕より年上だろうに可愛らしく見えた。
「……では、僕が考案した鑑定魔法習得方法を試してみますか?」
「え!良いのかい?」
サウアさんの瞳がきらきらしている。見た目は成人済みに見えるけど、意外ともっと下なのかもしれない。
「アラン。……このメモを読んで見てください」
アランから鑑定魔法について書いたメモを受け取りサウアさんに渡す。
これはいずれ教科書のようにしてみたらどうかとまとめたメモの一部だった。
これを読んで鑑定魔法が習得出来るのか、こちらにも確認出来る絶好の機会でもあった。
「良いのかい? これは君の秘蔵の方法では?」
「実はこれはいずれ書物にして国中に広めるつもりでした。だからこの記載で理解できるか確認したいのです」
「わかった。なら読ませてもらうよ」
サウアさんはメモを読むと「鑑定」と唱えた。
どうだろうかと様子を伺っているとみるみる表情が驚きに変わる。
「見える。見えるよ。マーク君!」
「ありがとう。これでボクにも鑑定魔法が」
サウアさんはよほど嬉しかったのか僕の手を握ってぶんぶんと上下に振る。
さすがにずっと手を上下に振られるのは子供には辛いので止めてもらい、メモを返してもらう。
「サウア様ー! 仕度が済みましたよ」
「あ、ボクの仲間だね。名残惜しいけど、そろそろ行かないと。ボクは今旅に出ているところなんだけどマーク君にはどこに行けば会えるかな?」
「えっと、クリフトフ領に行けばわかると思います」
「うん。わかったよ。ボクの方もちゃんと言うね。さっきちょっと言ったけど次期エルフの魔術長だよ」
魔術長!? たしかエルフの国において国王の次に偉い人の筈だ。
僕とアランが驚いているうちにサウアさんは手を振って去ってしまった。
***
【別視点】
「サウア様。先ほどの子供たちは?」
ボクの側近のルートが訝しげにさっきまでボクたちがいたところを見ている。
「鑑定魔法を教えてくれた親切な少年だよ。最初ボクがしゃがみ込んでたから心配して近付いて来てくれたみたいだし」
「鑑定魔法!? 本当ですか?」
「うん。ボクも使えるようになったしね。あ、鑑定魔法はあの子たちが本にして広めるみたいだから邪魔したらダメだよ」
「はい。もちろんです。他人の手柄をとりませんよ。でも、彼らも鑑定が使えるんですよね? 大丈夫ですか?」
ルートが何を心配しているのかボクは正確にわかった。なので安心させるように頷く。
「さすがに兄上みたいに何もかも隠蔽する事は出来ないけど、ボクも隠蔽魔法は出自と瞳の色を変えるぐらいは出来るからね。大丈夫だよ」
それより、とルートにマークの住むクリフトフ領を次の目的地にしようと提案した。




