みふつなのきゅう
いつもよりは長め。(ちょっと頑張った)
玄関に入り、荷物をおろして、そのまま風呂場に直行した。
先生の家に行った余韻を味わいつつ、シャワーを浴びていた。
「......夢じゃないよな?」
実際に、先生の部屋にも入ったにもかかわらず、自分の状況が未だに信じていれなかった。
風呂から上がり、服を着て、タオルを肩に掛けて、椅子に座った。
いつもは、テレビを点けてぼーっと眺めている。
今日は、テレビを点けずに遠くから、部屋の窓を眺める。
段々と眠くなってきたので、明日の天気予報を確認してから寝ることにした。
翌朝、予報通り、雨が降った。
僕は適当に身支度をして、傘を持って、誰もいない部屋に向かって「行ってきます」と言って家を出た。
アパートからちょうど出ようとしたところで、船洲先生が走っていくところが見えた。
僕は反射的に身を隠し、先生が見えなくなったことを確認してから、いつもより遅いペースで駅に向かった。
学校に着き、雨の中どんよりとした雰囲気で授業が進んだ。
昼休みになり、船洲先生に呼び出された。
「あの、三津園くん、、、昨日はありがとうね、来てくれて。」
「いえいえ、僕も楽しませてもらいました。」
「それなら、良かった。あと、昨日のことは、秘密にしてくれる?」
「あ、はい。わかりました。」
絶対に秘密ね、と念を押して言われたあと、午後の授業が始まった。
授業が終わり、バイトに行った。
いつもの通り、明日の分の下準備をいていると、常連のおばあちゃんがやってきた。
このおばあちゃんは、僕がここで働き始める何年も前から通っていてて、店長とも結構仲がいい。
僕が、ここで働き始めて、初めの方はあまり話さなかったが、今では色々と話す。
ここ最近、ちょっと旅行に行っていたらしく、来るのは久しぶりだった。
「あ〜、三津園くん、おひさしぶり〜。」
「お久しぶりです。」
「元気にしてた?」
「はい、おかげさまで。」
「あぁ、これこれ、旅行のお土産。家に帰って、親御さんと食べてね。」
「ありがとうございます。」
少し騒がしい、声が聞こえたのか、奥から店長もやってきた。
「あぁ、美佐子さん、お久しぶりです。」
「あ、どうも〜、店長、これ、旅行のお土産です。」
「ありがとうございます。」
「どこに行っていらっしゃったんですか?」
「北陸の方に行ってきたんですよ。兼六園とか、きれいでしたよ。」
「へぇ、そうなんですか〜」
「それじゃあ、いつもの、お蕎麦、お願いしていいかしら。」
「はい、わかりました。」
「お茶、どうぞ。」
「いつもありがとうね、、、、、これを飲むとなんか帰ってきた気がするわ〜。」
「そうですか、ありがとうございます。」
その後、常連のおばあちゃんの土産話を聴いた。
「、、、、そういえば、最近、仲良くしている子っている?」
そう聞かれて、脳裏に船洲先生を思い浮かべたが、今日の昼のことを思い出して、ぐっと抑えた。
「い、いや、いないですね。あまり、他の子と喋ったりとかしないので。」
「そうですか〜。いい人、見つかるといいね〜。」