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みふつなのろく

「ありがとうございました、またお越しください。」


僕は、焼き菓子を買って、病院に向かった。


コンコン

「失礼しまーす。」


「また来てくれたの?」


「あ、はい。あの〜、先生、これ。」


「なになに?」


「これ、退院祝いです。ちょっと早いですが。明日から、結構忙しくなりそうで、渡すタイミングがなさそうなので。」


「ありがとーっ」


「いいえ、いいえ、喜んでもらえて何よりです。」


「...いつも、三津園くんは真面目だね。」


「いいや、そんなこともないですよ。」


本当に、喜んでもらって良かった。

そして、頬を少しだけ赤く染めたにこやかな先生は、可愛かった。



「そうだ、三津園くん」


「はい、何でしょう。」


「今度の中間テストが終わったら、助けてもらったお礼としてご飯でも誘おうかなと思っているんだけど。」


えっ、


自分の脳の思考回路が停止した。


「は、はい、喜んで。」


僕はいつの間にか、了解をしていた。

そして、案の定、眠れなかった。


翌日、昨日のことがよほど衝撃的で、嬉しかったのだろう、ずっと、そのことしか考えていなかった。

眠気を忘れさせるほど。




先生が病院を退院して、中間テストが終わり、そして、いよいよ、このときが近づいてきた。

学校の授業が終わり、蕎麦屋でバイトをしてから、学校の最寄り駅の駅前で待ち合わせをしていた。


しばらくして、先生がやってきた。


「ごめん!待たせた?」


「いや、僕も、バイトに行っていたので、それほど待っていないです。あと、退院おめでとうございます。」


「こちらこそありがとう。それじゃあ、いこっか。」


先生は、可愛らしい太陽のような笑顔でそう言った。


そういえば、どこでご飯を食べるか、聞いていなかったな。


「先生、どこでご飯食べるんですか。」


「そういえば言っていなかったね、今日は私の家で、ご飯を食べます。」


「え、いいんですか、生徒を自分の家に入れちゃって。」


「大丈夫だから。」


そんな会話をしながら、船井島行きの電車に乗った。

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