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小学生になった陽花

エピローグ前のお話

「お兄ちゃーん、みてみてぇ~」


「おお、ランドセルさんがとっても似合ってるぞっ!!」


 陽花もついに小学生になった。


 私服姿にランドセルを背負う姿がとても可愛らしい。


「えへへ、そんなにかわいいぃ~?」


「凄く可愛いよ~、お兄ちゃんずっと見てても飽きないよ」


 実際にこのやり取りはこれで百二十六回目だが全然飽きない……だって可愛すぎるから。


「もぉ、お兄ちゃんたらぁ……じゃあとくべつにみてていいよぉ」


「嬉しいなぁ、陽花は本当にいい子だ」


 抱きしめてナデナデして……微妙にランドセルが邪魔に感じる、だけど可愛いから構わない。


(下から抱き上げるようにしないとなぁ……だけど落ちたら怖いし……気を付けないとな……)


 世界一の宝物を万が一にも傷つけることがないように、注意して抱きしめ続ける。


「お兄ちゃぁん、だきついてたら陽花のすがたみれないでしょぉ~」


「でも可愛すぎるから腕の中に収めておきたいんだよ……陽花だって抱っこされて頭なでなでされるの幸せだろ?」


「そうだけどぉ……えへへ、こまったおにいちゃんだなぁ」


「もうとっくに陽花にメロメロだからね、仕方ないんだ」


 本当に愛おしい、絶対に離したくない。

 

「だからいったでしょ、陽花がせいちょうしたらどんどんメロメロになっちゃうよって……そんなお兄ちゃんにおねがいがありますっ!!」


「陽花のお願いなら何でも聞いてあげるよ?」


「じゃあかわいいおようふくかってください、もうすこしはだがみえるやつがいいですっ!!」


「絶対にダメっ!! こんな可愛い陽花がそんな無防備なところを見せたらあっという間に攫われちゃいますっ!!」


 力強く抱きしめる、こんな素敵な女の子が誘拐されないわけがない。


「うぅ……けどぉ、陽花だけだよ……ここまでかんぜんぼうびなかっこうしてるのぉ」


 そういう陽花の格好はいつぞやのオーバーオールに長袖のインナーを合わせることで、見事に手足以外を完全に包み込むことに成功している。


「本当はあとヘルメットと手袋を常に装着させたいんだけどねぇ……何で許可が出ないんだろうねぇ……」


「お、お兄ちゃんさぁ……かほごすぎるよぉ、せめてゆきとくんぐらいのかっこうさせてよぉ」


「……幸人君の格好って……Tシャツにショートパンツ姿だったっけ?」


 入学式を思い出す……凄まじい可愛さだった、下手な女子どころか陽花でようやく対抗できるぐらいに。


(凄かったなぁ、皆してあれが男の娘なのかって……絶対女だって最後まで主張してる親までいたなぁ……)


「あれならいいでしょぉ?」


「ダメダメ、幸人君ですらあんなに魅力的だったのに陽花が着たら……お兄ちゃんどころか先生たちも倒れちゃうよぉ」


「うぅ……たしかにときどきゆきとくんせんせぇにこじんてきにいのこりめいじられてこまってるけどぉ……」


「な、ほ、本当かソレっ!?」


 俺の幸人君にけしからんな……まあ保護者の怪物が退治するだろうから俺が心配する必要はなさそうだが。


「と、とにかく薄着は駄目です……お兄ちゃん心配で倒れちゃうからね」


「もぉ……じゃあ代わりにちゅーしてぇ」


「し、仕方ないなぁ……えへへ、ちゅっ」


 小学生になった陽花とのキス……今日までにし過ぎて感覚がマヒしている、嬉しいとしか思えない。


「よろしいっ!! じゃあつぎは陽花をだっこしたままあそびにいくのですっ!!」


「うぅ……そうしたいのはやまやまだけどぉ……お兄ちゃんは受験というものが控えているのですぅ……」


「ぶぅっ!! きのうもおとといもそういってあそんでくれなかったもんっ!! きょうぐらいいいでしょっ!!」


「お、俺だって陽花と遊びたいやいっ!! だけどねぇ……うぅ……受験というものは本当に厳しいんだよぉ……」


 俺は涙ながらに陽花を説得にかかる……一度も成功したことないけどね。


 そもそも昨日も一昨日も結局、陽花が背中に張り付いていたから構ってしまって勉強になっていない……俺大丈夫かなあ。


「本当に受験さんが終わったらいくらでも遊んであげるから……駄目ぇ?」


「だめぇっ!! お兄ちゃんにとっていちばんだいじなのは陽花とあそぶことでしょっ!!」


「それはそうだけどぉ……本当にね、受験生ってのは遊ぶ余裕がないんだよぉ……」


「うそつきぃっ!! はづきおねえちゃんはまいにちこうえんまでゆきとくんとおでかけしてるよっ!!」


 葉月は頭がいいし、何だかんだで生徒会長も務めて内申点を稼いでいた……既に指定校推薦枠を獲得しており合格はほぼ確実だ。


「あ、あの人は例外なんだよ……」


「じゃあいねこおねえちゃんはどうなのっ!? きょねんいっぱいあそんでくれたよっ!!」


 稲子さんはどんな手を使ったのかあっさり役場への就職を決めた……スーツが妙に胸を強調するタイプだったのは気のせいだろうか。


「稲子は就職だったから……」


「ひとみおねえちゃんだってあそんでたもんっ!!」


 人見先輩は何と大学受験すらせずに戸手と同棲し始めた……何でも戸手が卒業すると同時に結婚して専業主婦になる気らしい。


 既に人見先輩の両親にも許可を貰いに行き、逆に頭を下げて頼まれたらしい……自分の娘のことを良く知ってらっしゃる。


「だ、だから……お兄ちゃんは……」


「みんなあそんでるよっ!! お兄ちゃんもかわいい陽花とあそびなさいっ!!」


「うぅ……わ、わかりましたぁ……」


 膨れ顔であっぷされるともう俺は逆らえない……だって可愛いんだもん。


(仕方ない、葉月にまた勉強教わるかぁ……幸人君にも会いたいし……うふふぅ……)


 俺は勉強を投げ捨てて小学生になった陽花といつも通り遊ぶことにするのだった。

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 この作品を読んでいただきありがとうございます。

 

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