家族風呂
「ふぅ……疲れたなぁ……」
旅館に帰り着いて一息ついた……食後の散歩とばかりに皆で近くを見て回ったのだが予想外に疲れてしまった。
時期が時期なだけに余り面白い催しなどもなく、ただ駄弁って歩くばかりだった。
「陽花はぜんぜんげんきだよーっ!!」
「そりゃあ貴方は歩いてませんからねぇ……俺がその分疲れてるんですぅ」
「あはは……僕も疲れたよ、詩里香先輩そろそろ歩いてくれませんか?」
「うるさい、食事の罰だぁ……大体お前は私の下僕なんだから言うとおりにしてればいいんだぁっ!!」
俺の腕の中で陽花が笑顔ではしゃいでいる……対照的に戸手の背中で人見先輩が騒いでいる。
「騒がしいわねぇ、少しは幸人を見習ったら?」
「でもげんきなのはいいことだとおもいますぅ、ぼくもみならいたいですぅ」
「もう幸人君は一々可愛いなぁ」
そして自分の足で歩く幸人君の両手を握っている稲子さんと葉月さん……羨ましい。
「うぅ……陽花も一人で歩く練習しましょうねぇ」
「えぇ~陽花をひとりであるかせていいのぉ? たえられるのぉ?」
陽花の言葉通り何だかんだで手放したくない、ずっと腕の中に居てほしい……俺は重傷だ。
「と、とにかく……まだ夕方には少し早いしこれからどうする?」
「うーん、温泉に入って長めに浸かるのもありかなぁ……」
「ああ、それなんだけどぉ……実は勝手に家族風呂を予約してあるのよ……も、もしよかったら一緒に入らない?」
「おぉーっ!! 葉月ちゃん大胆ーっ!! もちろん私はオッケーだよぉっ!!」
葉月さんの発言に稲子さんは大興奮している……おいおい、本気かよ。
「かぞくぶろってなんですかぁ?」
「……要するに親しい人が一緒に入るお風呂、同意があれば男も女も一緒に入れるお風呂ってこと……」
「お、お兄ちゃんといっしょにおふろってことっ!? よ、陽花はずかしいよぉ……」
「い、嫌なら仕方ないわ……私が勝手に盛り上がって予約してしまっただけだから……幸人は一緒に入りましょうね?」
「うぅ……わ、わかりましたぁ……」
優しい幸人君は頷いた……ああ、俺を置いて行くのかぁ。
「うーん、悪いけど僕は遠慮しておくよ……今、詩里香先輩と一緒に入ったら色々と我慢できなそうだからね」
「な、な、な、な、何を言ってるんだぁああっ!? 馬鹿ぁああっ!!」
ボカボカ勢いよく叩かれてる戸手……そういう発言をサラリといえるあたり大した奴だと思う。
「そう……じゃあ、一緒に入るのは私と幸人と稲子さんね……だけど陽花ちゃんお姉さま一人にするわけにはいかないし……ああ、本当に余計なことしたわね私……ごめんなさい」
「いや、何というか……陽花、俺は入らないから皆と一緒に入ってみたらどうだ?」
「うぅん…………いっかいだけだよぉ、お兄ちゃんもいっしょにはいろ?」
「ええっ!! いいの陽花ちゃんお姉さまぁあああっ!!」
「やったぁっ!! うっふっふ、このチャンスに石生君と一緒に大人の仲間入りしちゃおうっとっ!!」
「変なことしたら本気で怒りますからね……というか本当に俺と一緒に入るつもりですか?」
俺の言葉に戸手と人見先輩を除いた全員が頷いた……理性持つかなぁ。
「あはは、まあ頑張ってね皆川……」
「うぅ……知らないぞぉ私はぁ……学生なのにそんな付き合い駄目なんだぞぉ……」
「わ、わかってますよぉ……それより予約は何時なんだ?」
「実はそろそろなのよ……だから準備して、早速行きましょう」
「じゃあまた夕食にでも合流しようか……僕たちはどうします?」
「どうもこうもないっ!! オカルト部としてもう一度座敷童を退治しに行くぞぉっ!!」
やはり座敷童が何なのかすら理解していないようだ……退治したら怒られますよ。
とにかくその場で戸手たちと別れて、俺たちはタオルと着替えをもって家族風呂へと集合した。
「皆入ったわね、じゃあ鍵かけるわ」
「ふっふっふ、これでもう逃げられないんだからねぇ石生君」
「変なことしないでくださいよ……ふぅ……」
口では冷静さを保っているつもりだが、内心ドキドキだ……今の時点で既に下半身が反応しつつある。
「離れて着替えましょう……幸人君はこっちでね」
「離れるも何も結構狭いんだけど……まあいいけど」
「ほら陽花お姉さま、脱いで見せつけて石生君をメロメロにしちゃおうっ!!」
「うぅ、はずかしいなぁ……タオルまいちゃうから……」
「じゃあ俺も……先に行ってますよ」
服を脱いで俺は下半身にタオルを巻いて……盛り上がりがばれないよう腰を引きながら風呂場へと突入する。
「あー、待てぇっ!! そのタオルの下を見せなさいっ!!」
「稲子先輩も胸は隠しましょう……物凄く揺れてるじゃないですかぁ……うぅ……私は揺れないのにぃ……」
「ぜんぜんおおきさがちがいますねぇ……ようかちゃんもおおきくなるんですかぁ?」
「うぅん、あそこまでおおきくならなくてもいいけどぉ……はづきおねえちゃんよりはおおきくなりたいかなぁ……」
後ろから皆もついてきた、さっさとシャワーを浴びて湯気でごまかそう。
「石生君~、お背中流しましょうか~?」
「い、稲子さんっ!? ちょ、ちょっと背中にあ、当たってっ!?」
とても柔らかいものが背中に触れている、しかも先端のぽっちの感触も感じる……考えるな考えるな俺。
しかも手が前に回ってきて、触っちゃいけない所を触ろうとしてきて……冷水を出して強引に有耶無耶にする。
「うっふっふぅ……うわ冷たいっ!? ど、どうして水を出すのぉっ!?」
「いいから離れてください……全く、ほら身体を洗っちゃいますよ」
「そうねぇ、ほら幸人おいで……陽花ちゃんお姉さまも来ていいのよぉおおおっ!!」
「陽花はひとりであらえるもん……」
シャワーが付いてるところが二か所しかないせいで、陽花は俺の後ろでウロウロしている……急いで身体を洗って場所を渡してやる。
「あー、石生君そんな洗い方じゃぁ駄目だよぉっ!? 私が身体で洗ってあげるよぉっ!!」
「俺は朝風呂に入ってるから軽くで十分です……ほら、陽花身体洗って」
「お、お兄ちゃん……は、はずかしいからあっちいってぇ~」
「うぅ……わかったよぉ……」
綺麗に洗えるか見てあげたかったが陽花がお顔を真っ赤にしているから渋々湯船に向かうことにした。
「はぁ……やっぱり気持ちいいわぁ……」
「……隣に座るわよ、石生様」
葉月さんが隣に座る、ちらりと視線をやると凹凸の少ない身体がもろに見えてしまい慌てて目を逸らした。
「や、やっぱり恥ずかしいわね……そ、それに石生様大丈夫? 苦しそうだけれど……」
やはり年頃だからか異性の身体に興味があるのだろう……葉月さんもチラチラと俺の身体、特に下半身へ視線をやっている。
「……正直きつい、二人とも魅力的だから……はぁ……」
「その、石生様が本当に耐えられなかったら……我慢しなくていいからね、私は覚悟できてるし……多分稲子先輩も……」
「うぅ、そういうこと言わないでぇ……今だって触りたくてたまらないんだからぁ……」
「べ、別に触ってもいいけれど……触るとこないけど……うぅ……」
自分の薄い胸をぺたぺた触って落ち込んでいる葉月さん……それも十分魅力的なふくらみだと気づいてください。
「お姉ちゃん、ぼくここにすわりますねぇ……はふぅ……」
「幸人おいで~……ふふ、いい子いい子」
幸人君が葉月さんの隣に座って……すぐに抱きかかえられた。
「おっまたせーっ!! 石生君、ほらほらぁ……」
「何がほらほらですか……うぅ、す、すっごいぃ……」
隣に座った稲子さんに一瞬視線をやっただけで破壊力が凄まじかった……胸がお湯に浮かんでいるんだもん。
「やべおねえさん……すっごいですぅ……」
「幸人君も触ってみる~、気持ちいいよぉ~」
「え、えんりょしておきますぅ……」
「あ、あはは……あれ、陽花は……」
周りを見回して、少し離れたところでお湯につかっている陽花を見つけた。
「陽花、やっぱりはずかしいの……お兄ちゃんにみられてるとおもうとどきどきしちゃうのぉ……」
「そ、そうか……だけど離れて溺れたら怖いから……見ないようにするからこっちにおいで……」
「うぅ……わ、わかったよぉ……」
泳ぐようにしてこっちにやってくる陽花……そしてピタッと俺の胸元に抱き着いた。
いつも抱きかかえているのに、肌と肌が触れ合うと直接心音が伝わってきそうで……ドキドキした。
「よしよし、いい子いい子」
「はぅぅ……お、お兄ちゃんいまなでなでされたら陽花へんになっちゃうよぉ……」
「す、すまん……」
手を離すと、陽花はもじもじしながら……だけど俺からくっついて離れない。
「ふふ……なんか恥ずかしいけど、幸せだわ……」
葉月さんが嬉しそうに笑った。
「うん、本当に……幸せ……」
稲子さんが嬉しそうに笑った。
「たのしいです……ぼくもしあわせですぅ……」
幸人君が嬉しそうに笑った。
「陽花は……陽花もやっぱりお兄ちゃんといっしょだと……はずかしいけどしあわせなの~」
陽花が嬉しそうに笑った。
「ああ……本当に……幸せだなぁ」
俺も嬉しかった、だから笑った。
ずっとこんな風にみんなでいられたらいいのに……一緒に居たいと思った。
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