皆でお昼休み
「本当にごめんなさい……お許しください皆川様っ!!」
「ご、ごめんなさい皆川君っ!! 許してぇっ!!」
「ごめんね皆川……僕暴走しちゃて、その許してほしいな」
「あはは、良いんだよぉ……なぁ陽花許しちゃおうなぁ」
保健室で目を覚ますと同意に三人から謝罪を受ける……よくわからないけど陽花が笑ってるから良しとしよう。
上体を起こして周りを確認すると透明な陽花があっちをウロウロ、こっちをウロウロしている……俺はそんな陽花達に手元にいる陽花を抱きしめながら手を振ってやる。
「し、しっかりしてぇっ!! 陽花ちゃんはココにはいないのぉっ!!」
「よ、陽花ちゃ……あうあう、と、とにかくここにはいないわよっ!!」
「うぅ、皆川ごめんねぇ……正気に戻ってよぉ」
「俺は正気だよぉ、ほらこんなたくさんの陽花に囲まれて今までで一番幸せだなぁ」
頭の上にも陽花が居る、背中を支えてくれているのも陽花だ……お空を飛んでいる陽花はとてもいい笑顔だ。
(ここは天国かなぁ……やっぱり陽花は天使だったんだなぁ)
俺は納得しながら陽花を撫でてやり、幸せを実感しながらもう一人の陽花を抱きしめる……ごめんね脇の陽花、お兄ちゃんお手手が足りないよぉ。
「皆川君、しっかりしてよぉっ!!」
矢部先輩が俺の首根っこを掴んで揺らす、その衝撃で天井からたくさんの陽花が降ってきた……地面にぶつかる前にキャッチしないとぉ。
「ああ、陽花ぁ……そっかぁ陽花はお空飛べたもんねぇ、やっぱり天使だなぁ」
「よ、陽花ちゃん……て、天使の陽花ちゃんっ!? ど、どこにいるのぉおおっ!! 陽花ちゃぁああああんっ!!」
「あはは、今も正道さんの足元にすり寄ってるじゃないか……耳元にも居るから一緒に抱きかかえよう」
「皆川ぁ、目を覚ましてよぉ」
戸手が泣きそうな顔をしている……陽花たちが涙を拭き取ろうとしてあげてる、いい子だなぁ。
「居ないよ陽花ちゃんっ!! ど、どこにいるのぉおおっ!! 独占しないで私にも頂戴よぉおおおっ!!」
「こんなにたくさん居るんだから一人ぐらい……一人……一人残らず俺の陽花だぁあっ!!」
矢部先輩を振り払い、正道さんにとられないようできる限り抱きかかえようと陽花達に手を伸ばして……ベッドから落ちた。
(痛ぇ……あれ、俺何してんだ?)
ふと目が覚めた気がする、保健室にいるのはわかっているが……周りを見まわし戸手に矢部先輩に、暴走中の正道さんを見つける。
「陽花ちゃ……げぐっ!? あ、あはは……ちょ、調子はどうかしら皆川様?」
とりあえず反射的に正道さんを叩いて正気に戻した……ところで陽花はいないのか。
「どうもこうもないんだが……さっきまでこの辺に俺の妹居なかったか?」
「皆川くぅんっ!! 正気に戻ったんだねぇっ!! よかったよぉおおおっ!!」
矢部先輩が抱き着いてくる、思いっきり柔らかいものを服越しに感じる……癒されるわぁ。
「ごめんね僕たちが暴れちゃって……皆川、今まで気絶してたんだよ?」
「そうなのかぁ……すまん、心配かけたな」
何かとてもいい夢を見ていた気がする……陽花が居た気がしたのはそのせいか。
「いや暴走した私たちが悪いのよ……それで一応聞くけどあなたのキスマークは妹の悪戯ってことでいいのよね?」
「ああ、先に寝て朝起きたらこれだったよ……」
正道さんの言葉に頷く……本当に油断も隙も無い。
時計を確認すると既にお昼休みに差し掛かっている、かなり長い間気絶していたようだ。
「皆悪いな、時間使わせたみたいで……俺はもう平気だからご飯でも食べてきてくれ」
「本当に大丈夫なのぉ? ほら私のことわかる?」
「矢部先輩でしょ、部活動の先輩で……」
「そう皆川君の第二夫人っ!! じゃあこっちは?」
矢部先輩が正道さんを前に出す……第二夫人は違うでしょ、判定する人が間違えてどうする。
「正道さんでしょ、俺のクラスメイトで化け物で……」
「ち、違うもんっ!! 皆川様の第三夫人だもんっ!!」
「そうだよぉ皆川君の第三夫人でしょぉっ!! この人は?」
やっぱり二人ともジャッジが狂ってる……というか正道さんまで俺の第三夫人を気取ってたとは、結婚したがってた幸人君が泣くぞ。
「戸手だろ、俺の大親友で……この調子だと第四夫人とでも言えばいいのか……いや陽花に出会う前からだからむしろ第零夫人かな?」
「ふふ、嬉しいなぁそこまで想ってもらえて……僕も強いて言えば君が第零夫人だねぇ……」
「……皆川君って戸手君と仲良すぎない?」
「やっぱり矢部先輩もそう思いますよねぇ……でも朝の様子を見る限り戸手君の本命は人見先輩なんでしょ?」
正道さんの言葉に俺も朝の様子を思い出した……あそこまで俺に、いや人見先輩以外の誰かに怒りを見せた戸手は初めて見た。
「あはは……まあ、その忘れてほしいなぁ」
恥ずかしそうにする戸手、本当に珍しい表情ばかりだ……それを引き出したのが俺ではなく人見先輩なのだと思うとかなり悔しい、嫉妬してしまいそうだ。
「すまない戸手、通学路で蹲ってたのをみたら陽花にするみたいに抱き上げてしまった……俺の軽率だったよ」
「あの馬鹿は色々と弱いからすぐ倒れそうになるんだよ……勝手なこと言うけど今度からあの馬鹿を見つけたら僕に連絡してほしい、どこでもいつでも駆けつけるからさ」
「おぉっ!! 戸手君って情熱的だねぇ……皆川君も私のピンチには駆けつけてよぉ」
「そうですね、矢部先輩のピンチを見かけたら正道さんを派遣ぐらいしましょうかねぇ」
正道さんなら物理的な脅威なら大抵打ち破れるはずだ……全く大した秘密兵器だ、すぐ暴走するけど。
「私もか弱い女の子なんですけど……いざとなったら守ってほしいわ」
「安心してくれ、正道さんがいざと感じる状態なら世界人類は既に滅んでるよ」
「うぅ……言葉の上でぐらい優しくしてくれてもいいじゃない……」
十分優しいと思う……本当はいざという状態はお前が作り出しているだろうがと言ってやりたかったぐらいだ。
「まあ話を戻すけど、次からは戸手の言う通りお前に任せるよ……本当にあんな真似して悪かった」
「いや皆川は悪くないよ……ただ僕がどうしてもあの馬鹿に関してだけは感情を抑えられないんだよ」
「そっかぁ……よくわからないけど俺に出来ることがあれば協力するよ」
悔しいけれど何だかんだで戸手がそれを望むのであれば、俺は全力で手を貸すだけだ。
「ありがとう皆川……いつだって君は何も聞かずにそういってくれて、僕は本当に助けられているんだ」
「戸手だっていつも俺を助けてくれてるじゃないか……ありがたいって感謝してるんだぞ」
「はーい、男同士で見つめ合うの厳禁ですぅ……こっちみて皆川君っ!!」
「矢部先輩、必死すぎますよ……だけど確かにあなたたち傍から見てると怪しい関係にしか思えないわよ」
普通に接しているだけなのになぜそんなことを言われるのか……戸手と怪しい関係ねぇ、悪い気はしないなぁ。
「了解だよ二人とも……僕は皆川と噂されても嬉しいぐらいだけど、確かにこれ以上変な噂が増えたら大変だからね」
「まあ俺も別に嫌じゃないけど、戸手があの人から変な目で見られたら嫌だろうし……気を付けますかね」
「……葉月ちゃん、これからはもっと激しく誘惑していこぉね」
「……ええ、思った以上に危険だわこの二人の関係」
肯定したのになぜか警戒されている……そんなに仲良く見えるなんて嬉しいじゃないか。
「まあとにかく、どんどん時間すぎてるし……皆気にせずにご飯食べてきてくれよ」
「どうせだから皆で一緒に食べようよぉ……ちょうど先生もいないしここで食べちゃおうよ?」
「いいのかなぁそれ……まあ実は俺今日は弁当用意する暇がなかったので元々食べれないんですよ」
「あら……まさか本当に妹さんと夜更かしして怪しい遊びでもしてたんじゃないかしら?」
正道さんが含みのある笑みを浮かべている……余計なこと考えてるとまた暴走するぞ。
「怪しくない遊びはしたけどちゃんと寝ましたぁ……ただ朝起きれなかっただけですぅ」
「どんな遊びなの? 私も陽……妹お姉さまと遊びたいなぁ」
「アニメごっこですよ、異常に疲れる……というか本当にご飯食べてくださいよ」
「そうね、じゃあ矢部先輩の言う通りそっちの椅子に座って食べましょう……皆川様も私たちのお弁当から分けてあげるから食べなさい」
正道さんが俺を持ち上げる……背中に回した片手であっさりとだ。
(どこからこの怪力が発生しているのだろうか……やっぱり化け物だよぉ)
「確かに倒れたばっかりなんだからしっかり食事はしたほうがいいね、僕も今日はここで食べるよ」
「そうだねぇ、じゃあ皆川君……誰のお弁当が一番おいしいか判定して優勝者にはご褒美としてお願いを聞いてもらう権利を……」
「戸手の優勝決定、おめでとう」
「食べる前からぁっ!? コネじゃなくて純粋な味で決めてよぉっ!!」
矢部先輩が何か言っているが戸手以外の奴にそんな危険なご褒美など渡せるものか。
「あはは……まあとりあえずお食事会を始めようか、皆川食べたいものがあったら言ってね」
椅子に座らせてもらい戸手が何故か持っていた予備の割りばしを受け取り、俺は皆の弁当を分けてもらうのだった。
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