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新元号が俺の名前だった  作者: ゲンタイ
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新元号妄想

 平成31年2月頃、新聞やネットで新元号の予想が記事としてあふれていた。なんでも中国などの古典から引用されているらしい。また元号に何度も使われる文字というのものがあり、その中に俺の名前の文字もあった。


「へーっ、俺の文字が何度も使われているんだ。友達に知らせようっと」

 SNSにこのことをあげようとし、スマホを手に取った。

「でも、このままでは面白くないなあ、そうだ」

 鈍い頭の中で何かが一閃。

「今朝、神様が夢にでてきて『新元号は、ゲンタイ。お前の名前と同じだぞ』とお告げがあったよ」

 自分では面白い発言と思い送信。このことが、今後の人生を左右するとも知らずに……


「お告げなんて……」、「馬鹿らしい」などなど。誰もが冗談未満の発言としかとらえていないようで、まったく受けなかった。

「みんな笑いのセンス無いなあ。まあ、逆に本気に取られても困るしね」

 冗談が受けなかったため、負け惜しみをボソッとつぶやいてこの話題は終了となった。


 俺は40代独身、高血圧、会社の倒産により現在は無職の小心者だ。憂さ晴らしのギャンブルですっからかんどころか借金まで背負ってしまった。早くお金を用立てないとアパートからも追い出されそうなな状況である。唯一の楽しみは、ギャンブル・テレビ・ネット・読書マンガ、そしてありもしないことを妄想することくらいだ。もちろん就職活動は滞りがち……


「もし本当に俺の名前が新元号になったら、きっと有名人になって、テレビへの出演料がガッポ、ガッポ。借金が返せるだろうなあ」

 不自由な生活の中で、唯一自由になる妄想だけが、頭の中で大きく広がっていった。俺にとって、ささやかな幸福のひと時であった。


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