表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新元号が俺の名前だった  作者: ゲンタイ
1/4

新元号発表

「ゲンタイです」

 平成31年4月1日月曜日正午、テレビから流れる新元号を読み上げる官房長官の声が耳に入ってきた。「ふーん、ゲンタイなんだ」

 漫画の本を布団の中で読んでいたから軽く聞き流したが、何だか聞いたことのあるような名前だと思った瞬間、心臓の鼓動回数が急加速した。


「ゲンタイって、俺の名前の音読みじゃないか」  

 頭の中で、もし新元号と私の文字が一緒だったら有名人になれるかという期待、プレッシャーからくる不安、似たような漢字はたくさんあるから違っているはずだという否定など、いろいろな思いが駆け巡った。今までの人生で一番、脳が働いた瞬間だったような気がした。


「まっ、まっ、まっ、まあ、文字を見なきゃね」 

 自分に言い聞かせるため、そして心を落ち着かせるため、独り言が思わず出てしまった。ただ、声の振えから察するにあまり効果はなかったようだったが。

 慌ただしい新元号記者発表会場の様子がテレビ画面で流れている。いきなり画面を見て、文字を確かめる勇気は無い。布団で横になっているので、まずは眼球を動かして画面を確認しようとしたができなかった。仕方がないので、今度は頭そのものを画面に向けたところ、画面の中に毛筆で書かれた漢字2文字が、ぼんやりと見えた。


「良く見えないなあ」

 よっぽど慌てていたのだろう、眼鏡をかけるのを忘れてしまったようだ。そして震える手で眼鏡をかけて改めて画面を凝視した。すると画面には、しっかり毛筆で書かれた俺の名前があった。

「はあっ、うーん」

 布団から飛び起きて、画面に走り寄り、初めてまっすぐに凝視。先ほどからの心臓の鼓動回数の上昇はさらにアップし、高血圧の俺はそのまま倒れてしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ