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3話 経緯

寺下は弘樹に今までの経緯を詳しく話した。

事件は、3人家族の家で起こった。

奥さんが何者かに刃物で刺され、旦那は行方不明。

近くには足を引きずった跡があり、その血痕は行方不明の旦那のものだった。

唯一現場を見たであろう娘は全く話をしてくれない。

通報は娘の悲鳴を聞いて、隣人が連絡したものだった。

寺下らは犯人に遭遇している娘から犯人の特徴かなにかを得れればと思っているが思ったようにはいかなかった。

そこで彼は弘樹にあることを頼んだ。

「あまりお前に頼みごとをしたくないんだが……あの子の子守りをしてくれないか?」

「はぁ?俺があの子の子守りをしろってどういうことだよ!」

「一応報酬は俺個人から出すからさ」

ため息をつきながら彼からの依頼を受けることにした。

子供に懐かれるのは嫌ではないし、綾が居るからどうにかなるだろうと思っていた。

そして、女の子が何かを思い出すかもしれないと思った。

事情を知った2人は、ソファでじっと座っている少女のもとに行った。

「じゃあ、一緒に行こうか」

と言うと笑顔で

「うん!」

と言って弘樹の手をぎゅっと握った。

帰り際に寺下が耳打ちで

「何かあったら連絡くれよ」

と言ったのをはいはいと手を振りながら署を出ていった。

車に乗り、少女の服などをどうすればいいか忘れていた2人。

彼は急いで寺下のところに行った。

「そういや、子供の服とかって取りに入れるのか?」

「あ~それは無理だね、現場は警察以外立入禁止だし」

と言いながら、ポケットに手を入れ彼に手を出せってという仕草をして手に何かを握らせた。

「これでどうにかしてくれ」

そのまま、寺下は仕事に戻った。

彼は車に戻りながら、握らされたものを見ると5万円ほどの渡されていた。

そして、少女を連れ1度事務所に戻った。

そこに綾が居たのだった。

「そんな経緯があったんですね」

「それで頼みたいことがあるんだが……」

申し訳なさそうにボソッと言った。

「この子の服とか買いに行ってくれないか?」

実際彼の服のセンスは全くない。

今着ている服ですら、彼女がある程度選んで買ってきているものだった。

「じゃあ、お姉さんと一緒にお買い物行こうか」

と声をかけると

「うん」

と元気よく返事をした。

その時ふと思い出したかのように

「そういえば、この子の名前って聞いてますか?」

「え~と……聞いてなかったかも」

2人ともが名前を知らずに預かっていることに気づいた。

名前を聞こうとした瞬間

「いおか えりです」

と自分から元気に彼女に自己紹介をした。

そして、2人で買い物に行こうとすると

「パパも一緒に行くの~」

と駄々をこね始めた。

仕方ないという顔をしながら、彼も一緒に買い物に出た。

「江崎さん、最初会った時えりちゃんは話をしてくれなかったって言われたんですよね?」

「ああ、そうだが」

「じゃあ、今こんなに明るいのってパパと一緒にいるって思っているからですか?」

彼女から言われた言葉で彼もふと思った。

警察署に行って出会った時は言葉を交わそうとしていなかったのに、親にそっくりな人が現れてそこで一時的にいることができるから安心して会話ができているのか?

疑問はあるものの、事務所に帰ってから考えることにした。

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