悪しき者たちの悲しき過去
※オリジナルキャラと設定です。
悲しき正義
ある日、彼は外の騒がしさに目を覚ました。
まだ空は暗い、いつもなら誰も起きていないはずの時間。
なのに、金属がぶつかる音と悲鳴が聞こえる。
彼は急いで外に出た。
そこには、昨日とはまるで違う燃え盛る村だった。
家が大きな音を立てながら崩れ、人が声にならない叫びをあげ、村が燃えているなか山賊が笑っている。
そして、見つけてしまった。いや、目に入ってしまった。
槍に突き刺され頭をなくした父と、
男たちに組伏せられている母、地面に転がっている、
昨日一緒に遊んでいた幼馴染みたちが、
彼は意味がわからなかった。
自分達は、ただ静かに暮らしていただけなのに、
毎日が無事であるようにと、神に祈りを捧げていたのに。
彼は無我夢中で走り出した。
そして、その残酷な光景を思い出しながら、こう思った。
「神はいない」
「......またか」
あれから十二年、彼は成人を越えた、
しかしあの日から同じ夢を見続けた。
その夢を見る度に、無力ではなにもできないと思い出す。
彼は帝国騎士団に入団し自分の体を鍛えぬいた。
また同じことが起きないようにと、
大切なものを失わないために、正義のためにと。
しかし、彼は気付いてしまった。
帝国の上層部は、腐りきっていた。
彼は貴族たちにいい駒として使われ、色々な村を襲った。
正義のために仕方がないと、信じていた。
信じて子を守る父を切った。
隠れていた老婆を切った。
しかし、現実はそう甘くなかった。
彼は知ってしまった、
人さらいのためだけに自分をあの村に派遣したことを。
彼は混乱した。あの襲撃は、正義のためではなかったのかと。
怒り、悲しみ、色々な感情が混ざりあい
彼は壊れてしまいそうになった。
そんな混乱のなか楽になろうと彼は、ある感情に身を委ねた。《怒り》という感情に、
そして奴は産まれた。ひとつの帝国を落とし、
帝国に存在していた命あるものを
善も悪も関係なく皆殺しにした。
帝国にすむものは皆悪と信じて
最悪の正義 《憤怒》国落としのホーマッド・ロールズ
『セいぎノォ......ォ、ため、ニイィィィィ.....』
彼は、いや、奴は新たなる悪を消すために別の帝都を目指しゆっくりと、ゆっくりと歩みを進めていくのだった。
ただ生き抜くためだけに
ある日の晴れた日の事、
帝都の路地裏にある貧民街のさらに奥、
そこは捨てられた者たちの終着点そう呼ばれている場所、
少年たちはそこにいた。
酷く痩せこけ、腹が異常なまでに膨れている外見をしていた。人々は彼らの事を餓鬼と呼んでいた。
少年たちは、毎日食べるものを探すので、
いっぱいいっぱいだった。
そんな中旅の途中だという若者が、その噂を聞き付け
食べ物を持ってそこへいった。
貧民街を通る時に物ごいに声を掛けられようと、
無視をしてきた。少年たちに、食べ物を渡すために。
それから若者は毎日、美味しい食べ物を
少年たちに持っていった。
最初警戒していたものの、毒もなにもないとわかると、
すぐに食べ始めた。
それから月日が流れ、少年たちもかなり健康的になった。
文字を覚え言葉を使い、人とコミュニケーションをとっていた。そんな少年たちには一つ悩みごとがあった。
最初は一人消えただけだったのだが、
それが今では二人しかいなくなってしまった。
若者も不思議に思っていたが、
外に旅だったと思い気にしていなかった。
そして、その日は来た。
若者が、また食べ物を持って来た、しかしそこには誰もいない。不気味に思いながらも声をかけた。
「おぉ~い、誰かいないのかぁ!」
しかし誰も返事をしない、
少年たちに何か起きたのだと、
愛用している刀に手をおき周囲を探索することに、
そして若者は見つけた。
一人を残して皆骨だけになっている少年たちを
そして、残っている少年が口にしているものを。
少年が口にしていた物は、子供の手だった。
若者は、恐怖に耐えながら刀を抜刀、斬りかかった!
が、意味はなかった。
若者は、何が起こったのかわからなかった、
さっきまであった剣先が無くなっていたのだ。
動きを止めたのは、一瞬だった
だが、その一瞬で若者の視界は暗転した。最後に聞いた言葉は、
『イタダキマス』
その一言だった。
その後、若者が路地裏から出てくるのを見たものはいなかった。
少年は一人ぼっちになってしまった、
なぜ一人になったのか自分でもわからない。
ただ最後に食べた肉は美味しかったとしか思い出せない。
彼は皆を探すためにそこから出た、
そして目にしたのは大量の肉、
もう自分は食べ物に困ることはない。
そんなことを思いながら路地裏から出ていった。
『こぉんなにお肉がたくさん!! うれシイナぁ、
ぜんブ残さずタベルよ! イタダキマス!』
だが、少年が満腹になることはなかった。
そしてその日、ひとつの街が、失われた。
終わらぬ空腹 《暴食》粉砕鬼 アルドロ・サーペント
少年は、大きな腹と、こん棒を持ち次の食べ物とまだ見ぬ人を探し旅を始めた。食べているものが人と知らずに。
まだ見ぬ快楽
とある村に、とても美人だと有名な女がいた。
彼女は自分が美人だということは、認識していた。
恋人に困ることもなかった。
しかし、彼女は誰にも言えない秘密があった。
その秘密は、人一倍快楽を感じにくいというものだった。
いくら、恋人と身体を交えようと、ひとりで慰めていても
快楽を味わうことはなかった。
だが一つだけ快楽を得る方法があった。
それは、彼女しか使えない魔法により、異性の生を吸い、
代わりに快楽を得るという方法だった。
これならば、身体を交えている途中でも快楽を
得られると彼女は喜んでいた。
しかし、ある晩のこと彼女は力加減を間違え
恋人を殺してしまった。
彼女は、自分が恋人を殺してしまった事に気付かず、
目が覚めるまで待ち続けていた。
だが、恋人は目覚めることはなかった。
彼女は、泣いた、幾日も過ぎようとなき続けていた。
しかし、そんな中、心に、いや身体に残っている感覚があった。それは恋人の生を吸い尽くしたときの
味わったことのない快楽だった。
初めての体験だった。
そして彼女はもう一度あの快楽がを味わいたいと思った。
だが、自分に恐怖もした。
このままでは、他にも人を殺めてしまうと、そう思い。
恋人の死体とともに山の奥へと隠れた。
しかし、快楽を求める事をやめることはできなかった。
はじめは動物で満足できていた。
しかし、恋人の生を吸い尽くしてしまったときの快楽が
忘れたくても忘れられなかった。
そして、彼女の、魔女の暴走は始まった。
村の男たち、旅で立ち寄った商人や冒険者、
果てに老人や少年まで、
ありとあらゆる異性の生を吸い尽くし
自分以外の女を皆殺しにした。だが、魔女は満足しなかった。
魔女は、自分の快楽のためだけに歩き始めた。
そして、ある噂が広まった。
西の街道には魔女がいる。生気を吸われ殺されてしまうと。
だが、その噂を信じるものはいなかった。
度胸試しをしようとする若者もいた。
しかし、彼らが帰ってくることはなかった。
街道から少し外れた洞窟の中、甘い臭いと
肉と肉がぶつかり合う音が響いている中、動く影が一つ。
殺してしまった恋人の骨と動物の革でつくったドレスを着た
魔女が一人激しく腰を振っていた。
『あァ...まダたりナイ、まだマンゾクシナイ!
モット、モット、モットカイラクヲ!!』
満ちぬ快楽 《色欲》 骸の魔女 テロメア・ラ・ベル
満たされぬ性欲を見たそうと、魔女はまた男を拐う。
初めてかいたので、至らない点だらけだと思うので、どんなことでもいいです。何かアドバイスや指摘をお願いします。