緊張を返してくれ
トイレから出た僕は学校から逃げるように帰りの電車に乗った。
学校から駅まで走ってきたのととんでもない物に遭遇してしまったせいで心臓の音がうるさい。
なんだアイツは、ベルフェゴールとかいう名前だったが、なんであんなのがウチの学校にいるんだ。
色々な疑問があったがとにかく今は学校から離れたかった。進むのが遅い電車にイライラした。
家についてからすぐ自分の部屋に行き勉強机の椅子に座る。かなり興奮していたので自分を落ち着かせる。深呼吸、深呼吸。
少し落ち着いてからネットで、ベルフェゴールと調べる。するとすぐに見つかった。
ベルフェゴールとは七つの大罪の怠惰を司る便器に座った悪魔である。
アイツ悪魔だったんだ。まああの見た目で人間なわけないか。……いや便器に座った悪魔って何だ。
それより七つの大罪って嘘だろオイ!異世界物のラノベとかだとだいたい出てきて強いやつだよねソレ!しかも怠惰って……
某作品の脳が震えているキャラを思い出す。あぁ……明日大丈夫かなぁ。
不安だったが疲れがたまっていてもう寝てしまった。
翌日……
やっと全部の授業が終わった。内容が全然入ってこなかったけど仕方ない。早く別館のトイレにいかなきゃならない。
トイレのドアの前に立つ。膝が笑っている。落ち着け、昨日何かされた訳じゃ無い。今日も呼ばれだけだ。
10分もそう自分に言い聞かせている
「オイ、早く入れよ。」
と話しかけてきた、直接脳内に。
驚いて声がでた。周りから見れば1人で驚いている変な奴に見えるだろう。(誰もいないが)
僕はその声に従うようにトイレに入った。昨日ソイツがいた個室の前に行く。ドアは開いていた。
「よぉ」
気さくに声をかけられたが一気に緊張する。
「あ、あの!」
そいつは僕から声をかけられて少し驚いた表情をしていた。
「そ、そのベルフェゴール様は僕にどのようなご用件なのでしょうか?」
この質問は絶対しようと昨日決めていた。説明があるのだろうがどうしても気になってしまったからだ。もし自分の存在を他言するなとかだったら関わらなくていいし、違うにしてもこの用件が今後を左右する位大事なものだろう。
「様付けと敬語はやめてくれ、後ベルフェゴールじゃなくてベルでいい」
その悪魔は笑いながら言った。
「は、はぁ」
「そうそう質問の答えだけどね、俺お前にやってほしいことあんだよ」
「な、何です?」
あ、敬語。
「お前ラノベとか知らない?」
「え?」
「いや実はさ、今悪魔界でナロウってところで読める異世界物のラノベが大人気なんだよ。話も面白いし技とかキャラとかスキルとかで自分たちの名前出てきたりするからさ」
「な、なるほど」
悪魔ってこんななの?
「そのナロウはこっちでしか見れないから、来たんだけど種類が多くてよ。よくわかんなくなってんだよな」
「ほ、ほほう」
「だからなんか面白いの探して教えてくれ、ナロウのラノベじゃなくても漫画とかゲームとかおもしろければいいから」
僕の考えていた時間返してくんない?
「受けてくれたらお礼にお前の胃腸を治してやろう」
「ハイ!やります!」
なんで僕の胃腸が弱いって知ってたんだろう。まあ悪魔だし不思議じゃないか。
こうして僕はベルの為に面白いものを探すことになったのだった。