世界のパズル
この世界は、小さなピースが沢山集まって出来たパズル。
毎年、毎日、毎分、毎秒、
そのパズルのピースは欠けて、新たなピースが現れるのを繰り返す。
しかし、パズルが完成する瞬間はいつまで経っても訪れない。
世界のどこかで、ご長寿のお婆さんが亡くなった。
世界のどこかで、命の灯を自ら消す人物がいた。
世界のどこかで、沢山の命が戦火で散った。
世界のどこかで、勝手な人物が命を理不尽に奪った。
世界のどこかで、新たな命が生まれた。
世界のどこかで、新たな命は祝福された。
世界のどこかで、望まれず生まれた命があった。
世界のどこかで、その命はなかったことになった。
生まれた穴は、すぐに埋まる。
しかし、それでもパズルは完成しない。
穴は一つだけではなくて、沢山あるから。
どこかで穴が埋まっても、また穴は生まれる。
だから、ピースは生まれる。
穴を埋めるため。
何秒、何分、何時間、何日、何週間、何ヵ月、何年……何十年、何百年。
パズルから欠けたピースは、やがて新たなピースとしてまた穴を埋める。
ピースは廻る、巡り続ける。
パズルの完成を望む者がいることなど知りもせず、パズルの存在など知りもせず。