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アマクマノギ  作者: ちゃんそん
4/6

会社員 20代男性 4

「おはようございます」

「「おはようございます」」

ほぼ明け方に寝たくせに、きちんと出社できるのだから社畜根性あっぱれである。

「片倉さんおはよーです!ってひどい顔してますねー」

「ああ、ねみい」

大きなあくびをすると、それが彼女にもうつったようだ。

「ふわうあ...やめてくださいよもー」

「道上も眠いのか、夜遅いのは肌に悪いぞ」

セクハラです、と言いながら、隣のデスクに座った。

「あっそうだ、片倉さん、これどーぞ」

「なんだこれ...じゃばにゃんのご当地ストラップ」

「長崎カステラ編です!」

人気アニメキャラ、じゃばにゃんがカステラに埋もれている...。

「出張が長崎だったんで!可愛くってつい買っちゃって!」

「カステラはないのかカステラは」

「試食しまくって満足したんで!」

道上は満面の笑みを浮かべた。

「まあ、ありがとな」「へへへー」

オフィスにいる時間は少ないが、こいつとはよく話す間柄だ。

入社は道上の方が早いのに、何故か俺を慕ってくれている(気がする)。

悪魔の能力...このパーテーションのあるデスクなら、使ってもバレないだろうか。

日頃のお礼を、”現実”にしてみよう。


しかし、考える...ってやり方も聞かなかったなそういえば。

元々興味がなかったんだから仕方ないっちゃ仕方ないか。

ーーカサッ。

「?」

足元に紙が落ちていた。


『のうりょくのつかいかた』

まにゅあるでございます。どうぞごしようください。


ミミズが這ったような文字で書かれている。

ひらがなしか書けないのか、わざとなのか。とにかく読みづらかったが、手書きのマニュアルのようだ。

悪魔の営業も、覚える言葉が多くて大変なのだろうか。

てかマニュアルくらい事前に作っとけよ、即興かよ。


 ①げんじつにしたいことをかんがえる

 ②みぎのてのひらをまえにむけ①がそんざいしているとおもいこむ

 ③でる!


「ざっつ!!雑っ!」

何がでる!だよ、顧客相手にラフすぎるだろ!

こんなんで契約する奴って本気でバカしかいないんじゃないだろうか...?

「とりあえずやってみるか」

考える...右手の平を前に...存在してる...。

カタン!

「!!」

デスクの上に、缶コーヒーが1本。

ボッスのコーヒー微糖、俺が毎日飲んでるやつだ。

出たには出たが、これほんとにコーヒーなのか...?

開けて飲んでみる。

「ふーん。飲み慣れた味だな...」

これは俺が毎日飲んでるから忠実に再現できてるってことなのか?

「もう...一本!」

カタン!


「片倉さんめっずらしー。ありがとございますー!」

道上にコーヒーをやった。

「ボッスのコーヒーって、うちの会社の自販機に無いんですよねー。

 入ってるメーカーが違うから」

仕事捗りますねーと、資料を作りながら話しかけてくる。

「今日だけならいつでも言ってくれ」

「鞄にいっぱい詰めてきたんすか」

「まーな」

バレてないな...。

悪魔の能力は本物だった。

コーヒーを作るためだけに使うには多少もったいないな。

今日一日だ。あいつの言うとおり、色々楽しんでみるとしよう。

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