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不可思議少女は今日も可視する  作者: 幻想桃瑠
◆第二部♚第一章◆【鳥居香姫は不可思議な転校生に手を焼く】
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第八話 ジュリアスの気持ち……?*

 澄恋に頭を撫でてもらっていた女子を、まさかこんなところで見つけてしまうだなんて。立ち止まって暫く見ていると、彼女がその場から離れた。それを見計らって、今まで彼女がそこにいた場所に私は駆け寄った。


 一体、何を見ていたのだろう?


 そのショーケースを取り巻く人々は、向こうの雑貨を見ている人たちとは一線を画し、身なりが良い。

 彼らに混じって、私はショーケースに近づいた。

 そこには、高価な剣や弓などの武器や装飾品が、まるで宝石のように並んでいた。あの女の子が見ていたのは、腕輪だった。


 何の腕輪だろう? もうちょっと近づかないとタグが敷き布に隠れて見えない。私はショーケースに近付こうとした。


「香姫さん、もうそろそろ帰らないとまずいんじゃない? 門限に間に合わないよ?」

「えっ……誰?」


 そこに立っていたのは、大きな紙の買い物袋を両手に抱えた少年だった。声だけでかろうじて少年だと分かる。


「僕だよ?」


 少年はクスクスと笑って、買い物袋を地面に降ろした。


「ジュリアス君!?」


 それはジュリアス・シェイファーだった。


「たくさん買い込んだんだね……」

「まあね? お金なら沢山あるからね?」


 そうか、賞金首を倒したから……。借金だらけの私には羨ましい限りだ。


「あっ! そうだ!」


 私は少女が見ていたショーケースの事を思いだして駆け寄った。

 しかし――。


「あ、あれ? なくなってる!?」


 ショーケースの中身は売れてしまい、いつの間にかなくなっていた。


「どうしたの?」

「う、ううん……なんでもない」


 不思議そうに訊いてくるジュリアスに曖昧な笑みを返した。

 あの子が、何を見ていたのか詮索してもどうにもならないだろう。澄恋とあの子の関係がどうにかなるわけでもあるまいし。


「すみません、魔法学校まで瞬間移動の魔法をかけてもらえませんか?」


 ジュリアスはちゃっかりしていた。

 傍にいた軍警官にそう言って、私とジュリアスは瞬間移動の魔法ですぐに送って貰えたのだった。

 そこは、魔法学校のグラウンドだった。私の横を物珍しそうに生徒たちが通り過ぎていく。


「ジュリアス君、今日はありがとう」

「僕の買い物のついでだから構わないよ」


 そう語るジュリアスの顔は、買い物袋に隠れて見えない。


「ジュリアス君、そんなに買い込んでどうするの?」

「どうするって、使うんだよ……色々なことにね……」


 そう言って、ジュリアスはクスクスと笑っている。

 怖い! 怖すぎる……!

 私がドン引きしていると、ジュリアスは買い物袋を降ろした。


「ええとね……」


 買い物袋の中をジュリアスはかき回して、何かを取り出した。

 そして、私ににっこりと微笑みかけた。


「これ、あげる。欲しそうにしてたからね?」


 それは、私が喉から手が出るほど欲しかった『授業で当てられなくなるおふだ』だった。プラスチックみたいな透明なケースに入っていて折れ曲がらないようになっている。


「ありがとう、ジュリアス君!」

「いいよ。お金なら沢山あるからね?」


 綺麗な悪魔はクスクスと笑っている。

 うあ……。

 更に、買い物袋からジュリアスは何かを取り出した。


「それと、これ。後で食べてみて?」


 私の手を取って何かを手に握らせた。かさりと音がして手を開くと、包み紙にくるまれた飴玉が一個あった。


「えっ? これってアメ?」


 何も書かれていないが、何のアメなのだろう。


「それを食べたら、僕が香姫さんに抱いている気持ちが分かるよ」

「えっ?」

「じゃあね、香姫さん」

「う、うん、また明日!」


 それでお開きとなり、私たちは解散した。

 そしてお腹がすいたので、大食堂で夕飯を食べることになった。

 私はパエリアのような貝の乗った料理を選択して席を探した。

 しかし、丁度夕飯時らしく賑わっていて、空いたテーブルが見つからない。


「香姫!」


 向こうで、リリーシャ・ローランドが手を振っていた。隣にはクェンティン・ノースブルッグも、アミアン・ガーサイドにアリヴィナ・ロイドまでいた。


「香姫、ここ座りなよ」


 クェンティンが優しい言葉をかけてくれた。


「うん、ありがとう!」


 私は嬉しくなって彼らの元に駆け寄るのだった。


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