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不可思議少女は今日も可視する  作者: 幻想桃瑠
◆第一章◆【鳥居香姫は不可思議な転生とジュリアスに戸惑う】
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第八話 正体不明のジュリアス2

 再び私の心臓が跳ね上がった。

 おそらく、ジュリアスと、生前のリリーシャとは恐らく初対面だ。彼はリリーシャの顔を知らなかったんだから。


 何故ジュリアスは、初めて出会ったリリーシャの事をこんなにも熟知しているのか。私でさえ、『可視使い』が具体的に何であるのか知り得ていないのに。

 隣町から来て、しかもリリーシャとも私とも初対面。なのに、事情を私よりも把握している? 不自然じゃないか?


「まあ、いいや」

「良くない! 疑問だらけで、夜眠れなくなっちゃうよ!」


 ちょっと待って?


「もしかして、私が、その……『可視使い』だということは知れ渡っていることなの……かな?」


 自然と声を潜めてしまうのは、私が臆病だからなのか。知れ渡っているのなら、つじつまが合うような……。

 でも、ジュリアスは笑って首を振った。


「まだ、僕ぐらいしか知らないはずだけど」


 私は唖然となった。まるで謎かけのようだ。


「どうして可視使いの事を知ってるの?」

「さあな。でも、僕はリリーシャが可視使いになったことしか知らないけど」


 正体不明のジュリアスに、私は疑問符を浮かべるばかりだ。


「一体何が目的なの? どうして、私が可視使いになったことを知ってるの? それに、何故私の事を探していたの……?」

「それはそのうち分かるよ。それにリリーシャは僕から離れなくなるような予感がする」

「それは絶対にない!」


 ジュリアスは楽しそうに微笑んだが、思わず私は即答していた。


「それはどうかな?」


 ジュリアスの目が怪しく光る。

 まさか、私を脅す気……?

 警戒していると、後ろから怒ったような足音が聞こえてきて、ジュリアスの興味がそちらに移った。


「ジュリアス・シェイファー!」


 ジュリアスに口答えしようと思った私を誰かの声が遮った。振り返ると、シャードが後ろに立っていた。


「シャードさん」私はほっとして彼の名前を呟いた。

「寮を案内している最中にはぐれるな、シェイファー」

「すみません。面白い物を見つけたので、つい」


 ジュリアスは私の方を見てくすりと笑った。

 シャードの目が私の方を向く。


「リリーシャ・ローランド。こんなところで何をしているんだ?」

「えっと、探検です」

「探検も良いが寮に帰って一時限目の支度をしなさい。それと、クレアと私の事は先生と呼ぶように」

「はい、シャード先生……あの、寮はどこですか? その、記憶喪失なんで、分かりません」


 シャードは疲れたように人差し指を眉間に置いて、ため息を吐いた。

 ジュリアスは、いきなりむせた。


「君って、記憶喪失なの?」


 ジュリアスが苦笑している。彼は、記憶喪失だと言ったことを言い訳か何かと思ったらしい。


 私はむくれたまま、彼を睨んだ。私だって、記憶喪失なんて嘘つきたくないんだ。でも、リリーシャの代わりを演じるには記憶喪失しかない。その事を、ジュリアスに一から説明してあげるつもりもないけど。


 顔を背けると、ジュリアスは引きつっていた。

 ……もしかして、本当は私と仲良くしたかったのかな?

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