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不可思議少女は今日も可視する  作者: 幻想桃瑠
◆第四章◆【鳥居香姫は不可思議な魔導師との対決で復讐に燃える】
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第十五話 四章完結 培養*

 クレア先生はブレッツのスムージーをみんなに配っている。ブレッツのスムージーを飲むと心が安らぐ。魔法学校の医務室に帰ってきた安堵感がある。

 クェンティンはベッドにもたれている。私はもう一つのベッドに視線を走らせた。ジュリアスはまだ眠っていた。クレア先生はもうすぐ目を覚ますというが、心配なことこの上ない。


「と、言うわけなんです!」


 私は、アレクシス王子とクレア先生、意識が戻ったクェンティンに、これまでの経緯を説明した。

 クレア先生もアレクシス王子もその事実に驚いていた。

 リリーシャの事に触れたとき、クェンティンの瞳が揺らいだ。彼はリリーシャは殺されたと思っているので、生きていることが信じられないようだ。


「じゃあ、リリーシャはこの近くにいるのか……? だってそこにいるのは、香姫で……」


 七色の風が私に舞い降りた。


「可視言霊!」


 アレクシスが王族しか使えない呪文を唱えた。

 途端に、リリーシャの身体が光を帯びて可視化する。『彼女』はクェンティンの傍まで来て、彼を小突いた。


『クェンティン、しっかりしなさい! それでもあんた、私の彼氏なの!?』


 いきなり戻ったリリーシャを目の当たりにして、クェンティンの目から涙が零れた。


「り、リリーシャ! リリーシャ!」


 クェンティンは、リリーシャを泣きながら抱きしめた。リリーシャは、クェンティンの頭を撫でている。


『あんたにしちゃ、よく頑張ったわ。褒めてあげる。いいこと? 私、可視使いの香姫に私の身体を貸すわ。そして、私は傍からサポートするの。だから、もう少し待って』

「分かった!」


 クェンティンはリリーシャのワガママに付き合うようだ。だが、私は納得いかなかった。


「でも、私はリリーシャに身体を返すよ!」

『ダメよ! そんなの面白くないじゃない!』


「一つ私に提案があるのですが」


 軽く手を上げているのはアレクシス王子だ。


「アレクシス様……!」

『提案って何? 言って御覧なさい!』


 リリーシャをアレクシス王子は面白そうに見て、フフッと笑った。


「私が運営している王立の魔法研究所があるのですが、そこで香姫さんの身体を作ってみませんか?」

「えっ!? 私の身体をですか……!?」

「費用は五億ルビーかかるのですが……」

「五億ルビーって、私がどれだけ働いたら払えますか?」

「普通に働いたら一生かかっても無理よ」


 クレア先生が渋い顔をして言った。


「そんなの無理じゃないですかっ……!」


 私が泣きそうになると、リリーシャが私の前に舞い降りた。


『香姫、良く考えなさい! 無理じゃないわよ!』

「そうだ、無理じゃない! だって、香姫は賞金首を二人も倒したんだから!」


 クェンティンの言葉に気づかされ、私は希望の光で照らされた。


「そっか……!」

「そう言うことです。ウィンザー、彼を呼んでください」


 アレクシス王子が護衛人のウィンザーに指示を出す。ウィンザーは跪いて、神妙に返事した。


「かしこまりました! 可視編成!」


 ウィンザーが瞬間移動の魔術で消えた。そして、しばらくすると、誰かを連れて瞬間移動の魔術で帰ってきた。


「アレクシス様、お呼びでしょうか?」


 黒髪と白衣がふわりと揺れた。彼はそのまま、アレクシスに跪く。


「澄恋君……!?」


 それは、景山澄恋だった。


「彼女に『鳥居香姫』の身体をお作りして」

「かしこまりました。数日かかりますが、宜しいですか?」

「は、はい!」


 私は、夢見心地で返事した。まさか、私の身体を澄恋が作ってくれるとは。


「よろしくね、香姫さん」

「こちらこそっ!」


 澄恋は、ベッドの方に視線を走らせた。

 そして、横たわっているジュリアスに気づいて目を細めた。

 そして、私に視線を戻すと、クスリと微笑んだ。


「では、またご連絡いたします」

「はい! よろしくお願いしますっ……!」


 そして、澄恋は魔法研究所に帰って行った。


☆…┓┏━┓☆…┓┏━┓☆…┓

┃四┃┃章┃┃完┃┃結┃┃!┃

┗━┛┗…★┗━┛┗…★┗━┛


◆◇◆――……第五章に続く……!――◆◇◆


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