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不可思議少女は今日も可視する  作者: 幻想桃瑠
◆第四章◆【鳥居香姫は不可思議な魔導師との対決で復讐に燃える】
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第十話 香姫VS蟻地獄のデュラン*

 あんなに魔力の高い賞金首の身体を乗っ取るだなんて。このままだとコテンパンにやられてしまう。


「知ってるわ。魔術師レリック=グレイでしょ」


 とにかく、話を繋いで時間稼ぎするしかない。震える唇で言葉をなんとか紡ぎだすと、デュランも話に乗ってきた。


「そう! これが、魔術師レリック=グレイの魂……」


 デュランは魂をキーホルダーからつまみ出すと、口の中に放り込み、咀嚼してそれを呑みこんだ。


「げふっ! 流石、四億ルビーの魂……うまかった!」


 満足したようなその表情に私はゾッとした。デュランはゲーム好きの愉快犯だと勘違いしていた。彼の目的はやはり魂を食べることなのだ。

 体が震えて冷や汗が頬から垂れる。恐怖でどうにかなってしまいそうだ。けれども、私は話を繋がないといけない。デュランの話が終わりを告げた時、私は魂を食われてしまうだろう。


「もしかして、リリーシャの魂も食べたの……?」

「もしかして、こいつがリリーシャの魂を奪ったのも知ってるってわけか?」

「可視したから……」

「おれは、特別に上手い魂しか食わねぇ。香姫のような特別な魂しかな。リリーシャの魂はそのキーホルダーの中に入ってるぜ。そう言ったら、あいつは必死でそれを奪いに来たよ。パスワードはないから開かないけどな?」


 クェンティン君……!

 彼は、リリーシャの魂を守るために必死だったのだ。クェンティンの気持ちを考えると、目から涙が零れた。


「じゃあ、私が見たリリーシャの幽霊は……?」

「くくく! 良くできてるだろ? 俺が魔法で出した人形は! 流石、四億ルビーの身体だぜ!」

「人形ですって!? あのリリーシャは、貴方が作り出した人形だっていうの?」


 まさか、クェンティンは人形のリリーシャに倒されたのだろうか。なんて、残酷なことをするのだろう! 私の心の中を怒りの感情が渦巻いた。

 どうにもならない怒りのせいで、つい押し黙ってデュランを睨んでいた。

 デュランは、レリック=グレイの身体でクッと笑った。


「香姫の魂もこのキーホルダーの中に吸い込ませようと試みたことがあるんだが、無理だった。だから、勝負を挑むのでとっとと負けろ」

「えっ!?」

「レリックグレイの身体だと、こーんなこともできるぜ? 可視編成!」

「く……クェンティン君……?」


 クェンティンがむくりと起き上がった。

 しまった! デュランの話を終わらせてしまった。そのせいで、デュランに魔法を使わせてしまった。


「嗚呼、可哀相! だから、傷を治してやろう。可視編成!」


 デュランの魔法を受けて、クェンティンの傷が治っていく。


「なんて優しい俺!」

「クェンティン君……?」


 クェンティンは、不気味に目を閉じたまま、だらんと手を垂れ下げて佇んでいる。

 万が一にも間違って、デュランがクェンティンを素直に助けてくれないだろうか。

 そんな甘い考えが脳裏をよぎった時、クェンティンがカッと目を見開いた。


「ひっ!?」

「可視編成!」


 クェンティンは魔法を使い、私を風で吹き飛ばした。


「きゃああああああ!」


 私は数メートル吹き飛ばされて、地面にバウンドした。擦り傷を負った私は、咳き込みながら上体を起こす。全身がズキズキと痛む。


「ううぁ……あっ、そうだ……!」


 我に返った私は、手に握りしめていたものを確かめた。

 よかった! リリーシャの魂の入ったキーホルダーは手放さずにちゃんと持っていた。


「さあ、クェンティン、やってしまえ!」


 クェンティンがぎろりと赤い目で私を睨む。

 次に呪文を唱えられたら、私は無事ではいられない。


「可視編成!」


 けれども、無情にもクェンティンが魔法を唱えて、私に魔法弾を放った。

 避けることもままならない。考えに考えた私は――!


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