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不可思議少女は今日も可視する  作者: 幻想桃瑠
◆第四部♚最終章◆【鳥居香姫は不可思議な妖魔と石碑に圧倒される】
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第十一話 妖魔王グリードンと香姫

 私はとっさにローブのポケットに手を突っ込んで、『それ』を引っ掴むと、空高く投げた。『それ』は、妖魔王グリードンの石化の魔法をはじいて、また地に落ちてきた。


 私は走って、それを再び拾い上げた。

 妖魔王グリードンは納得したようにうなずいた。


「プレルーノ・モンドか……なるほどな……」


 私が投げたのは、アレクシス王子とサミュエル王子から貰った世界一硬い石だ。ダイヤモンドより硬いし、火にも強い。


 咄嗟に私の脳裏に浮かんできた策がこれだったのだ。


「これなら何とかなると思ったの!」

「流石、香姫さんだね」


 記憶のなくなったジュリアスにも褒めてもらえた。私の唇の両端が自然と上がる。


「アレクシスもたまには役に立つのか」


 澄恋がひとりごちて、空に呪文を放った。


「可視編成!」


 ジュリアスも続いて、呪文を放つ。


「可視編成!」


 可視編成が作り出した『雷』は、滞空している妖魔王グリードンに直撃した。


「雷の可視編成だね! そっか、雷は一番高いところに落ちるから! 流石、澄恋君とジュリアス君だね!」

「褒めるのはまだ早いよ」


 ジュリアスと澄恋は上空を睨んでいる。


「えっ……?」

「その通りだ……余には全く効いてない……」


 妖魔王グリードンは、顔をしかめることすらせずに、面白そうにフッと笑って見せた。


「な、何で!? 全然効いてないだなんて!」


 まるで、見えないバリアでコーティングされているような強固な体だ。もしかしたら、プレルーノ・モンドよりも硬いのではないかと錯覚しそうになるぐらいの――。


「討伐隊より、お前たちの方が強そうだが……」

「それは身に余る光栄ですが……! 可視編成!」


 ジュリアスは再び、雷の可視編成を放った。


「こっちだよ!」

「えっ?」

「行こう! まともに戦ったんじゃ勝ち目がない! 時間稼ぎだ!」

「う、うん!」


 私たちは、森の中に足を踏み入れた。森は木の根を張り巡らしていたが、森全体が澄恋の呪文で発光しているので、つまずくこともない。


「よし、二手に別れるか。僕は、左の道を行って引き付ける。シェイファー、香姫を頼む」

「分かった!」

「澄恋君……!?」

「捕まったって、石碑になるぐらいだ。人間に戻れるかどうかは分からないけどな。でも、香姫が何とかしてくれるって信じてるから」

「っ……!」


 澄恋は、派手に可視編成の衝撃波を放ちながら、左の道を進んで行く。

 私は澄恋の姿を目で追っていたが、ジュリアスに手を引かれた。


「香姫さん、行こう!」


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