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不可思議少女は今日も可視する  作者: 幻想桃瑠
◆第四部♚最終章◆【鳥居香姫は不可思議な妖魔と石碑に圧倒される】
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第一話 アレクシス王子のメッセージ*

 ジュリアスが倒れて、澄恋が魔法研究所に呼ばれた後、私はシャード先生にお小言を嫌というほど聞かされた。シャード先生は自分に相談しなかった私に怒っていた。


「もう好きにしなさい。アレクシス王子にも『責任は自分が取るし、鳥居を死なせたりしない』と言われたからな」


 と、シャード先生は呆れ気味だった。娘のリリーシャのせいで慣れているのかもしれない。


「でも、困ったことがあったら、頼ってきなさい」


 と、シャード先生は微笑んだ。私は、シャード先生の心遣いが嬉しかった。


「ハモンドさんの事聞いた? シェイファー君が重傷を負ったのって、イザベラさんのせいらしいよ」

「妖魔と手を組んで、シェイファー君を操っていたんだって!」

「ええ~っ」


 イザベラの事は、すぐにクラス中で話題になった。けれど、二、三日すると、風化されて、その話題もなくなった。


 そして、カーティス・セシルが傍についていてくれるらしいが、彼は学年も教室も違うので、いつも一緒というわけにもいかない。それに、私はセシル先輩に一緒にいてほしいとも思っていなかった。むしろ、アリヴィナに悪いので、毎日のように、私を守る使命感に燃えている彼から逃げていた。


 一人でも、割と平気だった。イザベラがいないから、突っかかって来られる心配もない。イザベラの友達のカヴァドールは、彼女に合わせていただけだったようだった。イザベラが居なくなった後、新しい友達を作って学年末テストの話題で場を盛り上げていた。


 それに、試験が近いせいか、私もあれこれ考える暇がなかった。休み時間もテスト勉強をしていたし、授業はみんなで問題を解いていた。しかし、ジュリアスと澄恋がいないと時間が流れるスピードが物凄く遅い。同じ時計なのかと思うほど、時の流れがゆっくりに感じた。


 やっと放課後になった。私は、データキューブにメッセージが来ていることに気づいて、それを開いた。

 それはアレクシス王子からだった。


★*゜*☆*゜**゜*☆*゜*★*゜*☆*゜**゜*☆*゜*★*゜*☆*゜**゜*☆*゜*★


    香姫さんへ


  放課後、第二医務室に来てくださいね。

 例の事で話したいことがあります。


              アレクシス


★*゜*☆*゜**゜*☆*゜*★*゜*☆*゜**゜*☆*゜*★*゜*☆*゜**゜*☆*゜*★


 通常なら、断るか、行かないかだった。

 けれども、断ろうにも私はデータキューブの通信の対象が近くにいないと送信できない。


 それに、断る理由も行かない理由も見当たらない。ジュリアスがああなってしまった今、私は捜査に尽力する気でいたからだ。だから、アレクシスは私が逃げないと分かっているから、メッセージを寄越して来たのだろう。


 私は、すぐさま第二医務室に向かう。教室からすぐに出て、可視の力を使った。セシル先輩を避けるためだ。セシル先輩の残留思念が近くに無い廊下を通って行く。


 可視しながら行くと、第二医務室の手前でシャード先生とベルナデット校長先生が喋っている残留思念が視えた。


『そうですか。それで、シェイファー君は助かるの?』

『はい。手を貸してくださる方がいたので』

『そうですか! それは良かった! これ以上、私の生徒たちに被害が及ばないことを祈るばかりです! それでないと、私は昔の出来事を思い出してしまって』


 昔の出来事……?

 シャード先生は頷いていた。


『そうでしたね。ベルナデット校長先生は、昔にお子さんを病気で亡くされたんですよね』

『ええ、遥か遠い昔の事です』


 ベルナデット校長先生が、自分の子供を病気で亡くしていた……?


「香姫様」


 私はハッとして、可視するのを止めて、振り返った。


「あ、ウィンザーさん!」


 いつの間にか、ウィンザーが後ろに立っていた。集中していたので気付かなかった。

 ウィンザーは温かい笑顔を浮かべて私を出迎えてくれた。


「アレクシス様がお待ちです。さあ、どうぞ」

「あ、はい」


 私は、ウィンザーの後に続いて、第二医務室に入ってドアを閉めた。


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