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不可思議少女は今日も可視する  作者: 幻想桃瑠
◆第四部♚第一章◆【鳥居香姫は不可思議な青銅鏡と予言にやきもきする】
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第一話 封印所と妖魔と流れ星*

 海の上にぽっかりと浮かぶベルカ王国から隔離された島がある。ここは、軍警たちに捕えられた妖魔たちが最終的に行きつく場所――『封印所』だ。


 軍警たちが死罪にしようとした妖魔が、反省しているので減刑になり、『封印所』で眠りの刑に処されるのだ。何百年、何千年、という眠りの処罰を受けるための、妖魔たちの刑務所である。


 その封印所で、あってはならない事が起きた。刑罰を受けるために軍警に連れられて島を訪れた妖魔が、封印された五十億ルビーの妖魔を連れて逃げ出したのである。


 すぐに軍警による厳戒態勢がしかれた。

 宮殿にも連絡が入り、ベルカ王国の国王と第一王子が対策に動いた。アレクシス王子とサミュエル王子は、第一王子に助勢を求められ、思案に暮れていた。


 サミュエル王子の部屋では、護衛人たちが王子たちの代わりに慌ただしく出入りしている。護衛人のウィンザー、アシュレイ、エンなどは、紙に書かれた資料を運んでは、テーブルの上に置いていく。


 その資料を手当たり次第捲っているアレクシス第三王子とサミュエル第二王子は、深刻そのものだ。


「五十億ルビーの妖魔の封印が解かれては、打つ手がありません。現在その妖魔を倒せる者は……」


 アレクシス王子は、優秀な魔法使いのリストをめくりながら首を横に振った。

 顎を触りながら唸っているのは、サミュエル王子だ。


「香姫に、賢者の腕輪を使わせようか」


 サミュエル王子は右手にはめた二つのべっこうの腕輪を目の前に翳した。鳥居香姫は唯一それを操れる人物なのだ。しかし、賢者の腕輪はそれを拒否した。


『私は、嫌じゃ! サミュエル王子の頭痛を相手にしている方がよっぽどやりがいがあるわ!』


 腕輪の中に封印されている賢者ディオマンドだった。

 部屋の中が静まり返った。サミュエル王子が咳払いした。


「……そういうことで、代役を立てようか。賢者ディオマンドに匹敵する人材は……」


 宮殿の夜は思案と共に刻々と過ぎていく。

 宮殿の周りには、星々の煌めく夜空とライトアップされた城下町が広がっていた。

 一人の女が窓辺に立ち、夜空に向かい祈っている。


「どうか、もう一度、あの子に会えますように……! どうか、どうか! 神様……!」


 女性の目から涙が零れ落ちた時、夜空を流れ星が駆け抜けた。


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