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不可思議少女は今日も可視する  作者: 幻想桃瑠
◆第三部♚第二章◆【鳥居香姫は不可思議な魔法会の勧誘に辟易する】
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第九話 第三部二章完結 正体

 イザベラが賢者の腕輪を右腕に通そうとした。けれども、ディオマンドの怒声が響き渡る。


『お前ごときが、私を手玉にとれると思うな!』

「どうしてですの! どうして私じゃダメですの!」


 イザベラは無理に腕輪を通そうとした。けれど、イザベラは腕輪の電撃を食らった。


「きゃああああ!」


 イザベラは気絶したようだ。


「イザベラ!」


 アリヴィナは屋上のドアを潜って愕然としている。


「アリヴィナさん!?」


 ちょっと待って!? なんで、アリヴィナがここに来ているの!?

 もしかして、他のみんなも――!?


 アリヴィナは、賢者の腕輪を拾おうとした。けれど、仮面のシャンベリーが駆け寄って、手を払った。


「アリヴィナ・ロイド! 腕輪に触るな!」


 賢者の腕輪の電撃が火花のように散った。しかし、仮面のシャンベリーが可視編成を唱えると、電撃は相殺された。辺りが明滅して、レントゲンのように人物を映し出す。


「っ!?」


 アリヴィナは、仮面のシャンベリーを見たまま絶句して固まった。


「アリヴィナ、大丈夫か!」


 駆け付けたガーサイドが触れる前に、アリヴィナは瞠目したままその場にへたり込んでしまった。

 アリヴィナの様子がおかしい。一体何を――。

 その時カラカラと音がして、腕輪が私の足元で回って止まった。


「賢者の腕輪……!」


 私は、賢者の腕輪を手に取ろうとした。いつも通りなら、私の手の中で大人しくなるはずだった。


「香姫!」

「香姫さん、危ない!」


 澄恋が私の手から腕輪を払った。ジュリアスが私を庇うようにして前に出る。

 電撃が澄恋とジュリアスを襲う。二人は絶叫するとぐったりと床に崩れ落ちた。


「澄恋君! ジュリアス君!」


 私は腕輪に向かって叫んだ。


「ディオマンドさん!どうしてこんなことするの!?」


 賢者ディオマンドは私を侮っているような声で挑発した。


『では、私の弱点を攻撃すればいいだろう?』

「えっ!?」


 弱点!? すぐさま私は腕輪を可視していた。

 視えない! もっと奥深く可視する!


「はぁあああっ!」


 その視界に仮面のシャンベリーが映り込む。私は仮面のシャンベリーのハダカを可視してしまった。こんな時に! えっ!?


「弱点は!?」


 仮面のシャンベリーが切羽詰まったようにして問う。

 ハダカを視れたついでに、同時に仮面の下も分かった。このことに何で今まで気付かなかったのだろう。

 弱点はすでに可視済みだ。

 私は半ば放心したままで、答えた。


「……古代魔法の剣千撃の魔法……」


 仮面のシャンベリーは古代魔法を易々と唱えていた。古代魔法なんて、この世界で使える人は極わずかだというのに。


 そして、それは、私が仮面の下の人物の正体を裏付けていた。

『カーティス・セシル先輩』が何で……。


「鳥居香姫。仮面のシャンベリー。感謝するぞ!」


 しかし、古代魔法は賢者ディオマンドを腕輪の封印から解き放っただけだった。

 賢者ディオマンドは口調は老けているが、見た目は若い碧眼の青年だった。長い金髪を肩にかけて、空色のローブに身を包んでいる。ディオマンドは身を翻し、空高く舞い上がる。


「くっ……! 急所を外したか! 待て!」


 シャンベリーは、古代魔法を唱えてほうきを呼び寄せると、それに跨ってディオマンドを追い掛けて行った。


 沈黙の中、風の音が唸っている。


「そうだ! 澄恋君とジュリアス君! それにイザベラさん!」


 私は慌てて駆け寄った。


「アリヴィナ? 大丈夫か! おい!」


 ガーサイドが放心状態のアリヴィナを揺すっている。

 アリヴィナの目から、涙が零れ出た。


☆…┓┏━┓☆…┓┏━┓☆…┓┏━┓☆…┓┏━┓☆…┓

┃第┃┃三┃┃部┃┃第┃┃二┃┃章┃┃完┃┃結┃┃!┃

┗━┛┗…★┗━┛┗…★┗━┛┗…★┗━┛┗…★┗━┛


◆◇◆――……第三部三章に続く……!――◆◇◆

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