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不可思議少女は今日も可視する  作者: 幻想桃瑠
◆第二部♚最終章◆【鳥居香姫は不可思議な二人の正体に驚愕する】
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第四話 クェンティンの困惑

 私の慰めの言葉など、クリスタル先生は聞いてもなかった。無視して続けたので、私の返事は曖昧になってしまった。ジュリアスも、ポカンとしている。


「ファウラーさんとローランドさんに良くない事が起きるのは本当よ」

「えっ!?」

「そして、鳥居さんはファウラーさんを守って絶命するの!」


 私は、ジュリアスの袖を引っ張った。


「ジュリアス君、ゼツメイって何だっけ?」

「死ぬってことじゃないのかな」


 私とジュリアスは青ざめたまま固まった。クリスタル先生がやけに明るく言ったので、私の知っているゼツメイの意味と違うと思ったのだが。やっぱり、絶命は絶命だった!


「えええっ!? 先生本当なんですか!? 私死んじゃうんですか!?」


 大慌てして、クリスタル先生に縋りつこうとしていたが、先生がカッと目を見開いたので、私はギョッとして固まった。


「うぐっ!?」


 クリスタル先生は心臓を掻き毟っている。


「っ!? どうされたんですか!?」

「はぁっ、はぁっ! ほ、発作ほっさが!」


 クリスタル先生は発作だと言って、準備室に駆け込んで鍵をかけてしまった。

 私は泣きそうになりながら、準備室のドアを叩いた。


「先生!? 先生!? 先生ーッッッ!?」

「静かにして頂戴! 発作が酷くなったらどうするの!」


 お、怒られてしまった。


「じゅ、ジュリアス君……私、死んじゃうの……?」


 私は、泣きそうになりながら、ジュリアスを振り返った。

 ジュリアスは私よりも激怒していた。


「酷い先生だね! あんな占いなんて信じない方が良いよ!」

「う、うん……」


 私は、ジュリアスに手を引かれて、教室へと歩いて行く。

 なんで、私がファウラーを守って絶命しなくちゃならないのか!

 大体、ファウラーだって、私より強い。だから、私に守られるようなヒロインじゃない。きっと当たるのも八卦外れるのも八卦だと思って、私は気にしないことにした。占いは大好きなのに、占い学の授業は嫌いになりそうだと思った残念な出来事だった。


 しかし、この占いの結果のなりゆきが、新たな火種を生み出していることに私はまだ気づいていなかった。



・*:..。o○☆*゜¨゜゜・*:..。o○☆*゜¨゜゜・*:..。o○☆*゜¨゜



「ジュリアス君、次の授業は何だっけ?」

「ええと、魔法学じゃないかな?」


 すっかり、次の授業に遅れてしまった。ジュリアスが廊下の時計を見上げる。


「もうすぐ、チャイムが鳴るよ!」

「ヤバい!」


 魔法学の教室に急いでいると、向こうから走ってくる人影があった。それは、クェンティンだった。私はジュリアスと顔を見合わせた。クェンティンは私の方に走ってきたが、青ざめている。


「ど、どうしたの? クェンティン君」

「香姫! 俺、どうしたらいい!? リリーシャが!」


 クェンティンはパニックになっているようだった。彼らしくもなく、泣きそうになっている。とうとう、チャイムが鳴り終わった。

 完全に魔法学の授業に遅れてしまった。シャード先生が怒るだろうな……。それよりも、クェンティンの様子がおかしいことが気がかりだ。


「えっ、何? リリーシャさんに何かあったの?」

「ここじゃ、話せないから……」


 ジュリアスが頷いた。


「じゃあ、医務室に場所を移そう?」

「えっ……でも、ファウラーさんがいるかも……」


 今度は、クェンティンが苦り切った顔で頭を振った。


「居やしないよ。ファウラーさんは、親友だって言ってリリーシャにべったりだからな!」

「そ、そうなの? じゃあ、行こう?」


 クェンティンもファウラーの事を良く思っていないらしい。ただのリリーシャに対する独占欲なのかな……?


 私は、医務室に行く間中、クェンティンの顔色を見ていた。

 クェンティンは医務室に行く間も顔をしかめていたが、涙をぬぐったので私はギョッとして、ジュリアスと顔を見合わせた。クェンティンが泣くだなんて――。


 嫌な予感がする――。


 優しそうに見えて、クェンティンは心が強い根性のある男子だ。普段からカノジョのリリーシャに鍛えられているから、ちょっとやそっとのことじゃ泣くことなんてないはずなのに。


 どうやら、ただ事じゃなさそうだ。


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