少女の思考 京姫
「楽しいわ。あなたはどうして、私の心に波を立てるのかしら」
思いばかりが気持ちばかりが先に飛んでしまって私の方が追い付かないことが多い。気付いた時には何もかもが終ってしまっているのだ。ある人は恐ろしいと言い、ある人は理解し難いと言って私から逃げていった。今思えば、母さんは唯一の理解者であり対抗者だったが、二人の姉にはちゃんと行動しろとか、周りを見ろ、動くな考えろとか私のする事を否定ばかりされてきた。理由は私もわかっていた。そりゃ誰かが動くよりも先に過程を通り越して結果が行われてしまったら驚くし気味悪がるだろう。でも、私だって‘ほんのいちびょう’ちゃんと考えてそれで全力で叩き潰しているのに。驚きはするだろうけれど巻き添えをくらうのはのろまなあんたたちが悪いのに。
だけれど彼は違った。のろまな奴等とは違って私の思いを受け止めて、答えを返してくれた。私の内面を知っているのも身内を除けば彼しかいない。姉さん達みたいに馬鹿にしないで分かった上で突き放さずにちゃんと答えてくれる。全力もまだ試してないけど必ず受け止めてくれるだろう。そんな彼に私は惹かれて、今日やっと考えるのをやめることができた。私にしては長い一週間。派出所勤務で見た彼の振る舞い。練習試合で私にした受け答え。うん。多分これなら、母さんや父さんに紹介しても受け入れてくれるだろう。よし、決めた。私は改めて決めた。彼に今日デートを申し込もう。一筋縄ではいかないかもしれないけれどきっと受け入れてくれるはず。手はあるし、勝つ自信もある。彼には悪いけれど、手加減は無しだ。負けることは許されない。彼のような人にはこれから先出会わないだろう。それくらいの運命を感じているから。
「では、いいかしら?」
私は彼に言った。無言で頷く彼。それだけで充分。ふふ、と私は笑って、彼の元へ行った。
グラウンドに刀が突き立つ。それは京姫の走った後から次々となにもない空間から百いや千を越える刀が刀身をあらわにグラウンドに突き立っていく。二人しかいないグラウンドに無数の刀というのはなんとも異様な光景だ。しかし、夕陽の見守るその光景はなんとも絵にはなる。兵どもの戦跡、戦場ヶ原。京姫が誇る千の刀神を従える術式が展開された結果だった。
キャラクターを考えるために作った短編です。これから先同じようなものを作っていこうと思っています。
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