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魔法使いの恋  作者: にしのかなで
十一章
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祝福のパレード

婚礼の儀で起きた奇跡の祝福は瞬く間に神殿の外まで伝わりそれがまた人を介し、挙句国中にその日のうちに伝わった。ウルリヒ首都フロレンツでは街中が祝福ムードで盛り上がっていた上に更に普段は高位神官か高位巫女しか聞き伝えることのない神託がハヴェルンから来た少女の身体に降臨し王太子夫妻に直接祝福を述べ与え奇跡を起こしたのだ。今やヴィルヘルミナは神が与えた花嫁として以前にも増して歓迎されていた。婚礼の儀の後は神殿から王宮までの街道を馬車でパレードをする予定だった。屋根をオープンにした特別仕立ての馬車に王太子夫妻が乗り国民に祝福されながら城へと向かう。


しかし、急遽その馬車のすぐ後ろにルディがカリンを乗せて騎馬隊と共について行く事になった。これは国王からのたっての願いで二人は断れるはずもなかった。用意されたのはジルベールの愛馬フィフスという名の見事な艶のある黒毛の馬で普段は王太子しか乗らない、気性の荒い馬としても騎馬隊に知られていた。しかし、カリンを見ると頭を下げカリンの顔のあたりに押し付けてくるそれがくすぐったくて笑い声をあげればなおさら甘えるそぶりをする。それから殿下がフィフスに声をかけ僕も乗せる話を聞かせているとなんだが急に無愛想になったが、カリンが


「フィフス、ルディ様と私を今日だけだからお願いね。」


と、言いながら頭を撫でると喜んでいなないた。主役の二人が乗る特別仕様の馬車はあまりにも無防備に見えるが魔法により完全に安全が確保されている。例えば弓で狙われても二人に傷一つ付けられはしない。更にすぐ後ろにハヴェルン一の魔力持ちの魔法師と戦と、祝福の女神の愛し子カリンがついている。そういった厳重な警備の中パレードは始まった。紙吹雪や花吹雪が馬車の両側から降り注がれる。誰もが美しい王太子妃を祝福し歓迎している。お二人はとても幸せそうに微笑みながら手を振る。


そして次にルディらが注目される。殿下の黒毛のフィフスに跨る黒い衣装に身を包み髪まで黒くその瞳だけが異彩を放つ魔法師とそれに守られるように今日はおしとやかに横乗りで僕に身体を預ける白い肌に銀の髪が煌めく巫女服の娘。一目で神殿の奇跡の娘だと皆がわかり二人にまで歓声が上がる。フィフスは今日がご主人様の大事な日だとわかっているらしく誇らしげに顔を上げ僕らをあまり揺れないような歩幅で歩いてくれている、賢い馬だ。腕の中のカリンも自分に向けて声をかけられると嬉しそうに笑いながら手を振る。こうしてパレードは何事もなく華麗に無事に終わり行列は王宮へと吸い込まれるように入って行った。

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