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魔法使いの恋  作者: にしのかなで
序章
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最初の手紙

ひとしきりアナスタシアの話で盛り上がるうちに今夜の宿に着く、要望通りの簡素な宿で二人はホッとした。馬車の長旅で疲れがあるがまず大事な事をしてからでないと休めない。それは離れを出る時にカリンが渡してくれた手紙を読むことだ。


「あちらに着いてからでは届くのに時間がかかりますし、旅の途中に少しでも楽しんでいただけたらと思いまして。」


すっかり馴染んだ銀の髪を両脇で三つ編みにし、思いつめた顔をしているので心配していたら3通の手紙を渡された。


「1通目は国境を越えて宿に着かれてから読んでください。2通目はあちらの王都フロレンツに入られてから、3通目は思い出した時に読んでください。」


そう言って渡された最初の手紙をやっと読める。封を開けると薬草の薫りがした、どうやって仕込んだのか開くと疲れを癒す薬草の薫りがするような仕掛けになっている。ルディは思わず笑ってしまった。あの思いつめた顔の原因はどうやらこの仕掛けが巧く働くかどうかと思っていたらしい。


ー親愛なるルディ様

長旅お疲れ様です。宿には無事着きましたか?馬車の旅で隣国まで行かれるのはお疲れだと思い、この手紙に疲れを癒す薬草の薫りを封じてみましたが私の仕掛は巧く働きましたでしょうか?この手紙を書いているのは留学に向けてルディ様が魔法省やら王宮などへ忙しく動かれている時期でございます。いまのルディ様は時々「面倒臭い、なんで僕が・・・」とボヤくほど準備に追われ少々お顔が痩せて見えます。宿の料理は食べられましたか?異国の料理はどのようなものなのでしょう。今夜は馬車の中でなく久しぶりにベッドで眠れますね。湯を浴びてゆっくりとお休みください。この手紙の中に薄い板状に伸ばした安眠効果のある飴を入れています。お口に入れるとすぐ溶けますので、お休み前にお食べください。あ、オブリーさんにも一つ分けてあげてくださいませ。

それから、私が言う事ではないのはわかっていますが、あの・・・お墓参りは無事に終わられましたか?何年も経っているので場所がわからなかったらと心配してしまいます。すみません、余計な口出しをして。でも、そこでルディ様がこれから向かわれる国の王子殿下に救われて、そしてその方があのヴィルへルミナ様の旦那様になることが私にとって嬉しいことです。お弔いが無事に済んでいればよいのですが。

いけない、長くなりました。

それでは、お休みなさいませ。よい夢を。

アレクシア・カーテローゼ・ハプトマンよりー


封筒を探ると確かに包みに入ったモノがあった。僕はそれを怪しむ事もなくドアを開けオブリーさんの部屋に持っていく。


「ほう、あの子がこんな洒落た仕掛けをできるまでなったのですか。これは、なかなか難しい魔法だと思うのですが、しかし魔法の形跡がない・・・つまり、お手製ですか⁈」


魔法も使わずどのようにこの仕掛けを思いつき実行したのか、更にやはり飴も手作りである。自分たちがバタついている間にこんな事を考えていたとは、二人で年の割に気の付く娘だと話しながら口に放り込む。その後は直ぐに自分の部屋に帰り寝支度をした。飴は雪のようにすぐに溶けてしまったが、身体の疲れが和らいでぐっすりと眠ってしまった。


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