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魔法使いの恋  作者: にしのかなで
八章
38/59

乙女心は複雑に

二人が眠っている間、方々に心配をかけていた。


ツェツィーリアは常に二人を側で見守り、目覚めの兆しに気づいたのもやはり彼女だった。目覚めたのはいいものの、二ヶ月という間眠っていた身体はすぐに動かす事ができず、声も掠れて出なかったが養母は二人の顔を代わる代わる見て、ただただ涙を流し彼らの顔を撫でた。ほんの二ヶ月なのに、心労の為か少し老けて見えた。すぐにオブリーが呼ばれたが、こちらも目は窪みやつれていた。それでも僕らを見て笑顔で「おかえりなさい」と、言ってくれた。それからヴィルへルミナとアナスタシアが駆け付け二人の王太子殿下の非礼を詫びカリンに抱きついていた。すぐにウィレムが飛んで来て、まだ喋れない二人に懇々と説教をし、お前たちは周りに心配ばかりかけてと怒っているのか泣いているのか最後はわからない顔でとにかく帰って来てくれて良かったと呟いた。アナスタシアから聞いたのた話では、二人の王太子にはルディとカリン及びシュヴァリエ公爵家に縁のある者に接近禁止命令が出されており、事実上軟禁状態でこれ幸いとユベールとイニャスが色々と仕事を押し付けているらしい。


目が覚めたからには男女が同じ寝室に居るわけにいかず、カリンはオブリーに抱きかかえられ与えられていた部屋へ運ばれた。同じ姿勢でいたので、二人とも身体のあちこちが痛かったがすぐにウルリヒの癒術団が来て何とか動いて話せる様にはなった。まずは栄養をと毎日たっぷり食べさせられて一週間もすれば二人とも歩き回れるまで回復した。眠っている間の出来事を聞きたい様な知りたくない事もあるようなと、養母達も気を使いその事には触れないしさて、覚悟を決めるかとカリンにも相談し二人で話を聞く事にした。


まず、ブランディーヌ・デ・ブロワト男爵令嬢は屋上から身を投げ亡くなった。それ以上は詳しく聞かなかった。ブロワト家は男爵位返上の上、城は解体されたらしい。そして驚き困ったのがヴィルへルミナの婚礼が無期延期状態にある事だった。薄っすらと恐れ多くも二人の殿下を非難した覚えはある、その後ほぼ無意識にカリンを連れ移動魔法を使ったのだが僕らが消えた後ヴィルへルミナとアナスタシアが、かなりお二人を非難したらしい。今回オブリーはカリンに殿下達を避難させるよう言われただけだったので、その後は僕らに献身的に尽くす姿に心を打たれ同情されるもお咎めはなしだった。


だけど、誰にも言わないけどルディ自身が一番驚いているのはあの時確実に身を投げる覚悟をしていたブランディーヌを無視してカリンに駆け付けたことだ。あの時は本当に気がおかしくなりそうだった。だけど、これは誰にも言わない。それにしてもハヴェルン国王からも破談にして帰ってもよいと言われているらしいヴィルへルミナは、一体どうするつもりなのだろうかときになる。もし、ルディ達のせいで折角の縁談が壊れたらと思うと申し訳ないし国にも帰り辛い。毎日の様に仮住まいを訪ねて来てくださるヴィルへルミナに思い切って聞いてみた。


「ヴィルへルミナ様、あの・・・ジルベール様との御婚約はどうなりますか?」


「ジルベール?どなただったかしら、アナスタシア貴女ご存知?」


これには流石のアナスタシア様も少々引きつりながら答える。


「このウルリヒ王国第一王子で・・・確かハヴェルンの王女殿下の御婚約様だと記憶しておりますが・・・」


「あら⁈うちの双子ちゃんのどちらかしらねぇ?でもあの子達はカリンより歳が下よ。まだどこにもやれないわ。」


「ミンナ姫?ルディとカリンもこうして幸いにも回復した事ですし、そろそろお許しになられては・・・」


「あら、私ちっとも怒ってなくてよ。ただほら、国のお父様がいつでも帰って来ていいと言ってくださるし。シュヴァリエ公爵家所縁の者にはあの方は接近禁止命令がウルリヒ国王からも出されているでしょう?それに私、話を聞かない方って国の頂点に立つものとしてどうかと思うのよね。」


ルディとカリンは並んでソファにかけていた。そして二人ともマズイ、とにかくこれは何とかせねばと内心あれこれ考えていた。


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