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魔法使いの恋  作者: にしのかなで
八章
37/59

深い眠りの底で

まっくらなの。


真っ暗?


だれもいないの。


寂しい?


うん、さみしい。でもね、だれかがいつもてをつないでくれてるの。


それは誰?


わかんない・・・。


忘れちゃった?


・・・すごくやさしいひと。それでね、ないてるの。かおをみたいんだけどまっくらでみえなくて、なかなくていいよっていってあげたいの。


困ってる?


こまる。そのひとがなくと、わたしすごくこまるの。はやくいってあげなきゃ。


でもさ、この先に二つ道があったとして片方は泣いてる人、片方は君の本当の世界に行けるとしたらどうする?


ないてるひとのとこにいく。


何で?


私を待ってるから。


僕らも君を大事にするよ。


名前も顔も知らないのにですか?


知ってるよ、君は。いや、結構知られてるんだよ僕は。で、変わらないの?


変わりません。早く行かないと、道はどこですか?


強情だなぁ。そっくりだ。


誰にですか?というか、貴方は誰ですか?


似てるのは君のお母さんにさ、そして僕は君らの主神ハーヴェイ。


神様・・・なぜ私のところに?


それは、ひーみーつ。じゃあ行こっか。


真っ暗だった周りが段々と仄かに明るくなってゆく。


あの道を行けば彼に会えるよ。でも、僕やお母さんにはもう会えない・・・多分。それでも本当にいいのかな?


私がそちらに行けばあの方はどうなりますか?


うーん、彼は真っ暗な中に閉じ込められたままになるかな?


ハーヴェイ様、母によろしくお伝え下さい。


・・・ほんと、そっくりだなぁ。まあ、いいや。君は広い世界に出るのがいいさ。無茶はあんまりしちゃダメだよ。泣いてるあの子が可哀想だ。


はい、すみません。では、帰りますありがとうございました。


明るい場所から迷わず先の暗い道へ真っ直ぐ走って行く。早く、早く行かなければ。


そこにいたのはちいさな子どもだった。


「へ?あ、あれ?」


「遅い・・・」


「ルディ様?ですよね。」


「遅いよ、カリンの馬鹿!」


「ば・・・そ、そうですね。すみません。」


「魔法で灯りをつけようとしたんだ。探しに行こうと思って。そしたら、誰か来て散々叱られてさ、それにここじゃ魔法も使えないって言われて」


「・・・もしかして、暗いので泣いてたんですか?」


「ちがっ・・!なんだよ、迎えに来たのに」


「わかってます。茶化してすみませんでした。あと、ご心配おかけしました。」


「死んだかと・・・死ぬのかと思った」


「すみません」


「居なくなったらどうしようって・・・怖かった・・・」


「はい」


「君、息が止まりそうだったんだもの。慌てて君の中に力を流したけど反応がないし」


「ごめんなさい」


「あんな、馬鹿王太子なんか放っとけばよかったんだよ。」


「つい、身体が動いて」


「もう、無茶しない?」


「えーと・・・約束はできませんが、気をつけます」


「そこはさぁ、嘘でも「はい」って返事するとこじゃない?」


「私、ルディ様に嘘はつけません。ルディ様ためなら多分無茶は・・・します」


「ふ〜ん。じゃあ、僕だけにだね。」


「はい、ルディ様のためだけです」


「ん、わかった。じゃあ、帰る」


そう言って立ち上がった姿は既によく知る現在の姿だった。それからカリンを抱き寄せると銀の髪に顔を埋めて


「ホントによかった」


と言い涙を流した。



二人が目を覚ましたのは結局事件から二ヶ月経つ頃だった。





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