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魔法使いの恋  作者: にしのかなで
五章
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迷惑な見舞客4

「でも、僕はお金もないし地位もない。彼女の望む物は何も持っていないじゃないですか。」


そう、高位貴族との婚姻それこそが彼女の欲しい物だ。


「ハヴェルンでは優秀な魔法使いには一代に限り爵位が与えられる機会がありますよね?ルディ様は正にその可能性が高い。しかも、国一番の魔力持ちとなればその隣に並ぶ事は十分彼女の優越感を満たすのではないかと」


そこで、王宮に出入りする実家の業者を使いルディのスケジュールを入念に調べていく。なにせ薬には効果の持続時間制限がある。それが切れる前にもう一度、そして継続して会える様にならなければ。その執念であの休日を突き止めた。幸い薬の効果はまだ残っている。しかし、そこで彼に故郷に残してきた侍女の話を聞く。ブランディーヌはあの時顔はにこやかだったが腹の中はルディの大事にしているという侍女に対し異常な嫉妬を燃やしていた。土産物をクララとはしゃぎながら選んでいる様で実はその場で土産物に魔術をかけ男爵家の経営する店から送らせるよう話をつけていたのだ。


「その呪詛の込められた魔法石はおそらく城の地下にある物を使ったのだろうな。今時、そんな物を頼まれても作ればすぐに魔法省が飛んできてお縄になる。やはり、地下を調べるようウルリヒ側に進言せねば。しかしカリン、お前はよく平気だったな。本当になんともないのか?」


アルべリヒが険しい顔でブロワト城の地下を想像し、それからカリンの身体を労わる。


「はい。私はこの髪と指輪と名に守られています。私の力はルディ様に対しては共鳴して発動したりするのですが、他の魔力持ちの方の魔法は除けてしまうんです。ですので、ガウス夫人やシア様からいくら魔法や詠唱を教えていただいても使いこなせなくて・・・結局自己流でなんとか使えるようにはなりましたけど、余程でないと発動しませんねやはり。」


なんか、この子ホントに11歳?僕の11歳とは落ち着きが違うんだけど。


「ほう・・・共鳴とはどんなものだ?」


嫌らしくアルベリヒ殿下が聞いてきた。


「えーと・・・」


「カリン!!」


普段出した事のないような威圧的な声でつい呼んでしまった。


「はい?」


「カリン?あのね、世の中には言わなくていい事があるんだよ。必要のない事は、言わなくていい。」


「相手が国王陛下でもですか?」


「ん・・・っ、その、つまり相手が誰であろうと面白がるために話を聞き出そうとする人には無理に言わなくて、いい。」


くりんとカリンがアルべリヒに顔を向ける。


「殿下?もしかして、私たちの話を面白がるおつもりですか。まさか、違いますよね。」


問われたアルべリヒはルディを見て舌打ちをしたが、カリンの顔を微笑みながら見つめると正直に謝罪した。どうやら、アルべリヒは王太子という立場にありながらカリンに強く出られない弱みがある様だ。


「で、私の服装なんですが・・・」


ブロワト嬢攻略の話に戻った。埋葬に参列したカリンは黒尽くめの衣装に頭も黒いショールを巻いて髪の色を隠していた。敵に自分の情報を少しでも見せたくないのとこの後の計画にそうする必要性があるかもしれないと、この時既に考えていた。


「なので、私は今日からルディ様の近侍としてお仕えします。侍女の格好だと余計な嫉妬を煽りますので。この姿を見れば多分男だと思い込むはずですが。あと、名前がですね今の名だとバレてしまうのですが何かいい名前がありませんか?」


「それなら、私の幼名を使え。アルフォンスだ。後は家名だな。ああ、ベレ。お前は今からハヴェルンに帰り着くまでアルフォンス・ベレだ。覚えやすいほうがいいだろう。更に新人という事にしておけば、万が一忘れたり間違えても言い訳になる。呼び名もアルでいいから楽だぞ。この離れにアルフォンス・ベレが滞在しているとてはいしておこう。」


「王太子殿下の御幼名とは勿体無く存じますが有難く使わせていただきます。」


「うむ。遠慮なく使え、それは私の生母が呼んでいた名でベレは母方の家系にある家名だ。どちらもお前を護るだろう。」


そういえば、オブリーはどうかわからないがこの三人は実母がもういないのだ。アルベリヒは離宮に住んでいるので色々な噂があるが時折養母に連れられて会っていたルディはこの方がいかに民を思い国のために勉強をし表舞台に立つ日の為に努力をしてきたか知っている。現王妃との確執など囁かれたりするが実の親子の様に互いを大事にしている事も知っている。他国から嫁いで来た王妃様がすでに離宮に住んでいたアルべリヒを一番に訪ね名前を尋ねると、王太子が舌っ足らずに発音したのがアルベリヒと聞こえ王太子がそれを気に入りいつの間にかアルフォンスからアルベリヒになったと養母が話していた。まさかその名をカリンに使わせるとは、ルディの居ない間に相当気に入られた様だ。

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