オカルト研究会
「オカルト研究会って知ってるか?」
休日、波野が家に来た。二人で昼飯を作りながら世間話をしていると部活の話になった。
なので、昨日禅味から勧誘されたことと、その勧誘されたオカルト研究会なる部活のことを聞いてみた。
「うーん、聞いたことないかも。 でもなんでそんな部活に岸子ちゃん入ってるんだろう」
「部室を私物化できるからだそうだ」
「……へ、へー」
「ところが、そろそろ三年生は引退だろ? そうなると廃部になっちまうらしいんだ」
神代学園では運動部は三年の夏、文化部は十二月に引退だ。
「ふーん、それで幹人を勧誘したんだ」
「ああ、それでどう思う?」
「なにが?」
「入るべきかだよ」
「はあ……そんなの自分で決めなよ」
柄にもなく波野は怒ったように言う。
「だいたい幹人はどうしたいの? このままで良いなら入らなければ良いし、何かしたいなら入れば良いじゃない」
「そういうのは、自分で決めなきゃダメでしょ! 何でも誰かの言う通りにしてたら優柔不断の駄目男になっちゃうよ」
「……そっか、そうだよな」
確かに波野の言う通りだ。
自分で決めなかったら意味がない。
ここから変われるかもしれないのだ。
「ちょっと考えてみっか……」
「幹人のしたいようにすればいいよ」
そう言って波野は優しく笑った。
「さ、出来たよ。 特製オムライス!」
「おお、何の変哲もないオムライスだ」
「むぅ、 そういうこと言う人には食べさせてあげないから!」
「人質をとる気か! それならこのスープは俺が作ったからお前にはやらないぞ」
「それ、幹人お湯注いだだけじゃん……」
インスタントって便利ですよね。
「いいよーだっ。 わたしオムライス食べるもん。幹人はスープでも飲んでれば?」
「俺が悪かった!」
昼飯がインスタントスープだけなのは勘弁したい。
「あははっ、ばーか」
波野は楽しそうに笑う。
「はい、どうぞ」
ケチャップで俺のオムライスに『がんばれ!』と書いて渡してくれた。
「食べよっか」
「ああ」
眩しいけど、一緒にいて落ち着く。
そんな俺の幼馴染。
週明けの月曜日。
禅味と登校途中にバッタリ会う。
「おう、おはよう」
「あ、先輩。 おはようっす」
ちょうどいい、昨日一日考えて心は決めて来た。
「あ、禅味、俺、オカルト研究会に所属するわ」
「その言葉を待っていました。 オカルト研究会へようこそ、賀谷先輩」
そんな訳で俺のオカルト研究会入りが確定したのだった。