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賀谷幹人と楠山波野

寒い……

教室から一歩出た途端に吐く息が白くなる。

さっさと帰ろう。


「おーい、幹人!」

俺が歩き出そうとすると後ろから声がかけられた。

幼馴染の楠山波野だ。肩くらいまである髪の毛を後ろでヘアピンで留めている。

ポニーテールに似ているが本人は違うと言う。 何て言うのかは知らない。

「今日暇なら一緒に行きたいところあるんだけど」

波野はニコニコしながら聞いてくる。

「悪い、今日はそういう気分じゃない」

帰りに寄り道なんて柄じゃないしな。

俺が断ると波野は一瞬寂しそうな顔をしたがすぐに笑って言った。

「そっか、でも幹人、付き合い悪いと友達いなくなっちゃうよー」

「ああ、気をつける」

俺は適当に返事をして歩き出した。


友達なんてほとんどいないようなものだ。

今では俺が話すのなんて波野ぐらいしかいない。


「あいつ、感じ悪いよなー」

「カッコつけ過ぎ」

見知らぬ同級生の超えが耳に入る。

悪かったな。

心で答えて俺は教室を後にした。


家に着く。

だけど学園でも家でもすることはない。

ただ、ぼーっと過ごすか寝るぐらいしか俺はしない。

家には誰もいない。

本当に暗い部屋で俺は目を閉じ眠りに着く。


結局、昨日は晩飯を食わずに寝てしまった。

朝はパン一枚だ。

昼はコンビニのおにぎり。

となれば、放課後には腹が減る。


「幹人! 今日は行ける?」

波野がいつものように俺を何処かへ誘う。

「なあ、波野」

「ん? なに?」

「行くところは何か食えるところか?」

俺は今、腹ペコだった。

「うん、和菓子屋さん行くつもりだけど」


和菓子屋か……

俺はあんこが好きだ。

ついでに言えば餅も好きだ。

「行こう」

「え、行くの⁉」

波野は驚きを隠せないといった表情で言う。

「腹が減ってたまらん」

「あ、お腹空いてるんだ……」

「なら、ハンバーガーとかの方が……」

波野は俺に気をつかっているのだろうか。

だが、今の俺には和菓子屋以外の選択肢は消えていた。

「和菓子屋だ」

「う、うん」






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