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空を映す海の色  作者: せおりめ
第2章
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ある会話

「桜……、残るって……」

「知っているわ」

「こうなるって……分かってた……?」

「さあ、どちらでもよかったんだもの」

「でも……、桜が残らなかったら……」

「あの爺さんのことを言っているの?」

「それもあるけど……。星が……。それに私たちだって……」

「そんなのまだまだ先の話でしょ」

「……他に魔力の無い人間が現れるとは限らない」

「珍しくハッキリ言ったわね」

「私たちには……義務があるから……」

「義務ね。その義務のために、後どれほど生きなきゃならないのかしらね」

「もう生きたくない……?」

「飽きてはいるわ。皆私を置いて先に往くし。あんたはそうじゃないの?」

「私はまだ……そこまで生きていないから……」

「そう……。いつの間にか私が最年長だものね。一体、この魔力はいつになったら衰えるのかしら」

「桜がいなかったら……使い魔たちも必ず死ぬ……」

「一緒に逝けるじゃない」

「……」

「――ま、よかったんじゃない? 旅にも出るんでしょ?」

「うん……。公爵家の息子……。そのために記憶を……?」

「封じたのかって? それだけのためってわけでもないけれど。でも記憶があったら手放しはしなかったでしょうね。桜が家を出るかどうかも成り行き次第だったわ」

「南へ……行くって……」

「あんたが勧めたの?」

「桜が自分で……言った……」

「あの子って、本当に都合よく動いてくれるのね。単純だからかしら?」

「素直……」

「物は言いようね。でもあんたのことだから、そのまま爺さんの所まで連れて行くと思ったけれど、そうじゃないのね」

「……自分で行くって……言われた……」

「ふうん、やけに不満そうじゃない。でもあの甘ったれが、少しは進歩したのかしらね。ま、どうしても危なくなったら、あんたがついているからとも思ってそうだけど」

「……」

「図星? 全く、公爵家が甘やかすから……。あんたはあんたで、あの爺さんが苦手だものね」

「近寄りたく……ない……」

「ま、あんたは必要な時にでも手伝ってあげなさい。私は手出ししないわ」

「協力……しないの……?」

「言ったでしょ、どっちでもいいって。それにお膳立ては整えてあげたじゃない。双子もついているんでしょ、充分よ」

「分かった……。それじゃ……、もう行く……」

「ええ、ではね。――――――――――世界を支える十二色の光、央輝星……か」




 第2章 終


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