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高町亜美の物語  作者: 大仏さん
第二章―契約者―
8/31

―魔具―

亜「十年ってこんなに早かったっけ?」


作「契約したからだろ?こっちでは一日も経っていないって」


亜「いや、あんたのとこの時間経過なんてどうでもいいよ」


作「冷た」


ハ「あはは。まあ、作者の言うとおり、契約したから時間の感じ方が変わったんだよ。人間と同じように時間を感じてたら、とっくに生きるのに飽きてたと思うよ?」


亜「確かにそうだよね・・・。これなら百年とかも一瞬なのかな?」


ハ「そうかもね。でも、そんなの気にする必要はないし、気ままに行こうよ?」


亜「うん」


「ありがとうございました。お待たせ、ハクア」


「ううん。こっちもついさっき終わったし。それで、この後どうする?」


ウルベリアに着て十年の月日が流れた。


あっという間だったし、色々あったな・・・。


とまあ、感傷に浸るのは止めておいて、今日はギルドで健康診断が行われた。


五年以上同じ街に止まって活動している人は、その街のギルドで健康診断を受けないといけなかったらしい。


ハクアもこれは知らなかった見たいんだよね・・・。


というか、なんの説明もされなかったし。



診断結果は至って健康とのことだった。


身長は百五十八㎝まで伸びて、体重も丁度いいくらいだったし、良かった良かった。


髪も結構伸びて、腰の下まで来たからツインテールにしている。


和服にツインテールってどうなんだろう?


ハクアは似合ってるって言ってくれたから良いけど。


着物は、もらった次の日に女将さんから聞いて分かったけど、魔具だったんだよね・・・。


保持者の成長に合わせて自動的にサイズも変わっていくっていう物で、女将さんが人様に上げるんだから危険がないか確認しておかないと、と言ってギルドのおじさんと同じ見破るスキルを使って視た所、魔具だということが発覚した。


契約をしなくても着ることはできるけど、折角だから契約した。


ちゃんと翼用の穴も開けている。


「とりあえず何かクエスト受けよう?Bランクになってるから、大体の物は受けられるし、街にいても暇だし」


「そうだね。黒獣コクジュウでも行こうか?」


「オッケー」


ハクアも背が伸びて、あたしより大きくなった。


と言ってもほんの二三㎝だけど・・・その差が結構大きいんだよねぇ・・・。


髪型はお下げ?


二つに分けて前に持ってきた髪を、首もと当たりで結んでいるんだけど、風呂上がりの格好にしか見えないし、桶とかもってたらそうにしか見えないと思う。


ちなみに武器についてだけど、あたしは『妖刀・ムラマサ』でハクアは『霊銃・ル・フュズィ』ていうんだけど、これまたどちらも魔具なんだよね・・・。


契約もばっちりしております。


加えて、二人とも自我を持ってるんだよね・・・。


それは良いんだけどね・・・


『おいアミ!黒獣なんてまだお前には早い!もっと安全な奴にしとけ!あ、いや!それもやっぱり駄目だ!採取にしておけ!それなら命の危険はないからな!正し断崖絶壁の場所とかは止めろよ!落ちたら危ねえからな!』


この心配性はいい加減にして欲しいな・・・。


ちなみに男です。


『ムラマサはん?アミはんもハクアはんも強うなってますさかい、黒獣くらいなら問題ありません。それに、既に何度か倒していらっしゃいますやろ?』


こっちは女で、正しいのかどうか分からないけど関西弁、多分京都より?で話す。


初めて会った時も思ったけど、この二人って武器が逆の方がしっくり来てると思うんだよね・・・まあ何となくだけど。


「そうだよ。それに、二人ともわたしたちの正体知ってるんだから、問題ないこと位分かってるでしょ?」


『それはそうだけどな?やっぱ心配なもんは心配なんだよ』


「心配してくれるのは嬉しいけど、されすぎると疲れるの。あたしそんなに信用ないの?」


『あ・・・いや・・・』


少ししょげてしまったのか、ついさっきまであった勢いが無くなった。


鞘ごと腰から抜いて、抱きしめる様にムラマサを持つ。


「誓ったでしょ?あなたの契約者として恥じない様になるって」


『アミ・・・・・・そうだな。悪かった』


「ううん。あたしもごめんね?心配してくれたのに」


『ああ』


心配してくれるのは、それだけあたしのことを思ってくれているからだってことは十分分かってる。


八年前に契約した瞬間から、ムラマサはあたしの心配をしていたし、それからずっと心配しないことがなかったから。


心の中でもう一度お礼を言って、ムラマサを腰に戻す。


『羨ましいどすなぁ・・・ハクアはん?うちも抱きしめておくれやす』


「うん」


膝に置いていたフュズィを抱きしめるハクア。


頬笑ましいなあ・・・。



『あ、そうだ。アミ、黒獣と戦うのもいいが、その前にウォーミングアップくらいしておいたらどうだ?念には念を入れてよ』


「それもそうだね。ハクア、フュズィ?そういう訳だから、よろしく」


「うん」


『ええ』





ニュアージュを出て、誰にも迷惑がかからない場所でムラマサの柄に左手を添え、フュズィを構えているハクアと向かい合う。


やることは至って単純。


ハクアが撃ってきた魔弾を居合いで斬る。


それだけ。


放たれた魔弾が眼前まで迫った所で、全身の力を一瞬抜いてムラマサを振り抜きまた鞘に戻す。


鍛錬とハクアとの契約の恩恵もあるお陰で、八年でここまではできる様になった。


「ふぅー・・・」


ゆっくり息を吐いて、体の緊張を解いていく。


「よし。終了。行こうか?」


『おう』


「うん」


『ええ』


「さ~て、黒獣討伐へレッツゴー!」


「『『おー!』』」




ム「よう!初めましてだな!アミと契約した魔具。『妖刀・ムラマサ』だ!んでこっちが!」


フュ「ハクアはんと契約した、『霊銃・ル・フュズィ』どす」


ム「本編の中じゃ、武器だが、ここでは人の姿だ。俺もフュズィもアミ、ハクアと同じく和服だ。フュズィは白い布地に、朱で模様が入ってんだ。髪も朱だぜ?目の色は、いつも閉じてるから分からねえ・・・」


フュ「閉じてません。これでもちゃんと開いてます」


ム「マジか?」


フュ「マジどす。さて、そろそろ戻りませんと、二人とも戻ってきますえ?」


ム「別にバレてもいいと思うけどな・・・ああ、分かってるよ。でも、あの二人なら本当にいいとも思ってんだ。お前だってそうだろ?」


フュ「それは・・・」


ム「まあ・・・これまでのことを考えたら難しいと思うけどな?」


フュ「・・・・・・」


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