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高町亜美の物語  作者: 大仏さん
第一章―ウルベリア―
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―登録―


飛行練習を始めて、約五時間が経ち結構飛べるようになった。


ついでにこのまま平原の先にある街まで飛んでいこうと言うことになった。


この世界には魔法があって、それの中に飛行魔法はあるらしいけど、それは・・・というか、魔法全般において、使用するにはある程度の才能と内包している魔力が必要だそうで、使える人の中でも個人差が大きいらしい。


魔力の量は、十五年、つまりこの世界で、成人となる年になるまでに呼吸して取り込んだマナをどれだけ留めることが出来たかで決まるとか。


大体の人は火の初級魔法であるファイアボールや水の初級魔法であるアクアボールは使えるらしい。


全く使えない人の方が珍しいとかなんとか・・・。



「でも、今アミがやっている飛行は魔法とか関係ないよ?これも恩恵だからね」



なんとなくそうじゃないかな、とは思っていた。


翼を出した時も、飛び上がった時も、飛んでいる今も、その魔力とやらを使っている様な感じはしない。


そもそもあたしに魔力があるのかどうかも分からないけど。




街が見えてきた所で、近辺に人が居ないのを確かめて街道に降りる。


「誰かに見られたら面倒だからね。誤魔化せば良いけど、見破る人もいるから」


「そんなこと出来るの?」


「うん。て、凄く今更なんだけどさ・・・アミ、色々知らなすぎじゃない?」


「当たり前だよ。この世界の人間じゃないもん」


「・・・へ~・・・へ?」



言うとハクアは、きょとんとした顔をした。


可愛いな。






「つまり、そのちきゅう、っていう世界のがっこうって所に通ってて、幼馴染みの二人と帰っていたら、黒い穴に吸い込まれて」


「飛ばされた。正確には落とされたのかな?それがここ、ウルベリアだったってこと」


とりあえず、街道から見えていた街。


ニュアージュの宿で部屋を取って(お金はハクアが持ってた)、そこでこっちにきた経緯を話した。


といっても、ハクアが繰り返したことを少し詳しく話しただけなんだけど・・・。


「だから空中に居たんだね?」


「そういうこと。最初はスカイダイビングみたいで楽しいと思ったけど、ハクアを見て、地球じゃないってことを認識したら、急にテンションが下がったんだよね・・・」


「・・・・・・」


「まあ、ハクアがあのとき、あそこを飛んでなかったら、あたしはそこで終わってたけど。

だから、ありがとうね?助けてくれて」


「アミ・・・。うん!」


話はそこで一旦終わりにして、次はこの世界の通貨について教えてもらった。


銅貨・銀貨・金貨・白金貨。


銅板・銀板・金板。



銅貨が日本で言う百円分。


銅貨五十枚で銅板一枚、五千円分と交換出来る。



銀貨が一枚一万円。


これも五十枚で銀板一枚、五十万円分と交換可能。



金貨は一枚百万円。


これは十枚で金板一枚、一千万円分と交換可能。



白金貨は一気に跳ね上がって、一枚一億円に当たるらしい。


これは板が無いそうで、交換不可。



「でも、白金貨なんて、殆ど貴族とか王族とかにしか縁が無いけどね?」


それはそうだろう。


一億円なんて額がおいそれと出回る訳がない。


宝くじの様な物でもあれば別だろうけど。



「ついでだから、ギルドについても話そうか」


「ギルド?」


「うん。依頼とか魔物の討伐とか受けて、報酬としてお金やアイテムを貰うとこ。十二歳以上で二人以上なら誰でも登録できるよ?」


二人以上と言うのは、危険を最小限に減らす為の、本部の措置らしい。


魔物の討伐の中には、一人では到底倒せない魔物も居るらしくて、もし戦闘中どちらかが死んでしまう様なことになったら、残った方が助けを呼ぶか、逃げることが出来るようにしているとか。


「死なずに二人とも帰還・・・ていうのが一番良いんだけどね・・・。


命が無いと、人は何も出来無いどころか、しようと思うことすら出来ないから」


「確かにね・・・。


ギルドのことは分かった。


それで、疑問なんだけど、あたしとハクアは死なないんでしょ?それって、寿命で死なないってこと?心臓を抉られたりしたら、死ぬの?」


我ながら例えがぐろいな、とも思ったけどこれは知っておかないとだめなことだろう。


「死なないよ?文字通り死なない。死ねないって言ってもいいかな?


例え心臓が抉り出されても、一時的に永い眠りに着くだけで、次に起きた時には心臓は再生してる。


他の臓器も部位も同様に」


ただしそれは契約者のみ。


ハクアは最後にそう言った。





ギルドに登録していれば、通行証替わりとかにもなるからってことで、登録することにして、とりあえずこの街にあるギルドに来たけど、入った途端周りの人から変な視線を向けられた。


無視して受付に行き、登録しに来たことを伝えると、紙を渡されて名前と年齢、それからスキルと言う欄があった。


「ハクア、スキルって?」


「その人が持ってる特技みたいな物だよ。詳細は説明するよりも、自分で見て確かめた方がいいから、まずは持って行こう?」


「うん」


とりあえず空欄のまま、名前と年齢だけを書いて、また受付に行って紙を渡した。


「確認させて・・・・・・え?」


紙を見た途端、受付のお姉さんが固まった。


でも、すぐに元に戻って年齢が間違っていますよ、と言ってきた。


紙が返ってきて、確認する。


でも間違っていない。


ちゃんと百十六と書いてある。


ハクアの方も間違って居ないみたい。


「あの、これで合ってますよ?」


「え?でも、百十六って」


「はい。あたし百十六歳です」


「え?ええ・・・」


お姉さんは、混乱してしまった様で少々お待ちを、と言って奥に消えた。


五分ほどして、ここの理事長かなにかなのか、白髪の厳ついおじさんと一緒に戻ってきた。


目が鋭すぎ・・・。


「お前達か?これを書いたのは?」


おじさんが見せてきたのは、さっきあたしとハクアが書いた紙だった。


同時に頷く。


「大人をからかうもんじゃない。見栄を張る必要なんてねえんだから、本当の年齢を書け。こっちも仕事だからな」


「だから、本当の年齢を書いてるんですけど?大体年齢で嘘付く必要なんか無いじゃないですか」


「そうですよ」


「だから、嘘はつくなと言っている」


「ついてません。本当に百十六歳なんです」


「んなわけあるか。自分の姿ちゃんと見たことあるか?」


「ありますよ。毎朝見てましたよ。歯磨きするんですから」


「それなら、どう考えても百十六なんてのがあり得ないことは分かってるだろ?」


「分かってますよ。でも本当なんです。なんなら確かめてみて下さいよ?」


「はあ・・・分かった。奥に来い」


折れないあたしに折れたのか、おじさんにそう言われて、あたしとハクアは奥についていった。



通されたのは、大きな部屋でそこのソファに並んで座り、正面にはおじさんが座っている。


「たく・・・ガキの冗談に付き合ってる暇なんか無いんだけどな・・・」


溜息をついてそういうおじさん。


「いいから、早く確かめて下さいよ?」


「分かった分かった。オレの目を見ろ」


言われておじさんの目を睨む。


「睨むな」


「睨んでません。これが普通です」


「はあ・・・いいか?反らすなよ?」


「・・・・」


何も言わず睨み続ける。


すると、おじさんの目に何か紋様の様な物が浮き上がってきた。


少し驚いたけど、そのまま睨んでおく。


「!」


おじさんの目が急に見開かれてビックリした。


「アミ、そんなに驚かなくていいよ?これで分かりましたよね?」


「あ、ああ・・・悪かった」



まあ、その後、手続きを済ませて、無事ギルドカードを発行してもらえた。



本人が持って、念じれば表示を出したり消したり出来るらしい。


便利だこと。



「それじゃ、スキル欄を見てみて?念じればいいよ?」


「うん」


手に持って、念じてみると、多分表に名前と年齢が表示されて、中央辺りに大きくDと出た。


これは後で説明して貰おうとして、カードを裏返す。




『契約者』




裏にはそれだけ書かれていた。




亜「全く・・・あのおじさんは、しつこいんだから」


ハ「まあまあ。いいじゃない、分かってくれたんだから」


亜「まあね?それで、おじさんが使ってのがスキル?」


ハ「そ。街に入る前に言ってた、見破るスキル。敵の弱点とか、能力値とか色々分かる結構便利なスキル」


亜「へ~・・・。まあ、追々知っていけばいいかな?」


ハ「うん。時間は本当にいくらでもあるからね」


亜「そうだね。色々教えてね?」


ハ「もちろん」


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