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高町亜美の物語  作者: 大仏さん
第三章―眠れる龍―
25/31

―目標―

亜「・・・・・・・・・」


作「ムラマサ、なんか亜美が怖いんだけど・・・」


ム『そりゃそうだろ。昨日もこれくらいの時間に呼ばれたんだからな』


亜「・・・・・・・・・」


作「え!ちょ、亜美さん!?無言でムラマサに手を添えないでくれます!?」


亜「・・・・・・・・・」


ム『諦めろ』


作「ひどぐはあっ!」


ム『あ~・・・極まったな。そして、アミもまた寝ちまったし』


亜「すぅ~・・・すぅ~・・・」


作「・・・・・・・・」


ム「はあ。まあ、自業自得だな。さて、起こさない様にしないとな。昨日は結構ギリギリだったし・・・」




エミューは、水が豊富なことで有名なそうで、お店で試し飲みができたから飲んでみたら、すごく美味しかった。


ラーニャがどうしてこんなに美味しいのか聞いた所、ここは水の精霊の加護を受けているからと言っていた。


「て、ラーニャ達、この街には来たことあったんじゃないの?コネージュまでは、この街通らないと行けないよね?」


道順から考えてみると、どこから来たにせよエミューと通過ないとコネージュには行けないと思うけど。


答えたのはハクアで、その時は、どうしてか道に迷ってしまったらしく、エミューの周りにある森を抜けてコネージュに到着したらしい。


色々あったんだね・・・。


まあ、とりあえず水をボトルで三本程買ってから、他の物も見てみることにした。



ここでも、やっぱり同じようで、さっきのお店の人も周りの人もラーニャとリリアを奇異の目で見ていた。


二人が気にしてないみたいだから、あたし達も何も言うつもりは無いけど、むかつくものはむかつく。



周りの人間はともかく、お店の人は買ってくれさえすれば誰でもいいと思っている人もいるようで、特に気にしていない風な人もいた。


それに


「姉ちゃん、周りから変な目で見られてることには気付いてるだろうが、ああいうのは気にしたら駄目だぜ?」


と気遣ってくれる人もいた。


ほんの一部だけど、そんな人たちがいると分かるだけで、心配はいくらか和らいだ。


そういう人達に対しては、ラーニャも気兼ねなく会話ができる様で、結構話が合っていた。


リリアはずっとあたしにくっついてるけど。


この街に滞在するつもりは無いから、適当に見て回ったら出て行こうと思っているんだけど、次に立ち寄る街はどこなんだろう?


「暫くは、移動だよ?ここを出たら、ずっと南下して、港に行ってから船に乗ったら、まあ、適当な所で降りればいいと思う」


「じゃ、そういうことでいいか。ラーニャ、そろそろ行くよ?」


「あ、うん。それじゃ、おじさん、また来るかも知れないから、その時はよろしくお願いします」


「おう!いつでも大歓迎だ!」


店主のおじさんと随分仲良くなったみたいで、元気に手を振って別れて歩き出したあたし達に並んだ。



お昼頃になって、適当な所で昼食を取っていると、変な人が近づいてきて声を掛けてきた。


説明は面倒だから、とりあえず貴族っぽいとだけ言っておこう。


そいつの言ったことは、ラーニャとリリアを売ってくれとかいう、あまりにも馬鹿馬鹿しすぎたことで、あたし達はみんな無視して昼食を続けた。


「おい、聞いているのか?」


そうすると当然この貴族さんは怒るわけで(気の短い奴)、自分を無視なんかして唯で済むと思っているのか、とか、パパに頼めばお前らなんかどうとでもできるとか下らないことばかり言っていた。


後は、パパはこの街の領主だぞ、とか・・・はあ、見た目二十はある人がパパとか言ってると本気で引くんだけど・・・偏見かもしれないけどさ。


「あんたの家がどうとかどうでもいいって。大体、あんた自身は何もできないガキじゃん。そんな家の力とか金の力とかでしか物を言えないんだから。さ、みんな行くよ?」


「「「は~い」」」


「おじさん!代金おいとくね!」


「・・・はっ!あ、ああ!毎度!」


とりあえず言いたいことだけ言って、みんなも食べ終わっていたからおじさんにそう言って、あたしは三人の後を歩いて出口に向かった。


そうすると、貴族さんがあれだけで相当頭に来たのか、あたしに掴みかかってきた。


「まだ何かご用でしょうか?」


ため息混じりにそういうと、相手は余計にむかついた様で


「お前、この場でたたきつぶしてやろうか?」


なんて言ってきた。


「それはこっちの台詞」


「アミに手を出して、唯で済むと思ってる?」


いつの間にかハクアとラーニャが貴族さんの左右に立っていて、ハクアはフュズィをラーニャは右手を向けていた。


リリアは口をききたくないのか、何も言わずあたしの横で貴族さんを睨んでいる。


「二人とも、こんな所で攻撃なんかしたら周りの人に迷惑だよ?構わなくていいから、早く行こう?」


「「は~い」」


素直に返事をして、二人とも攻撃態勢を解き、先に歩いていった。


あたしもリリアと一緒に二人の後を追い、貴族さんとの間隔が空いた所で振り返る。



「あの娘達に手を出したら、あたしは手加減しないから」



殺気を込めて言うと、貴族さんだけでなくお店にいた人も気圧されたのか、一瞬お店は静寂に包まれた。


また、何か言われるとうざいから殺気は貴族さんに向けたままで、三人の後を追ってお店を出た。





『にしても、むかつく奴がいるもんだな?』


『全く・・・』


ムラマサもフュズィもさっきの人には呆れているみたいだ。


まあ、そうだよね・・・あたしもだし。


「いつまでもあんなのの事を気にしてたら駄目だよ?早く行こうか?」


みんな返事をして、あたし達はエミューを後にした。





「余り人もいないし、飛んでいく?」


「でも、五㎞先に人がいるからね・・・高すぎると、リリアとラーニャが苦しいかもだし・・・。大丈夫?二人とも」


「ボクは、我慢すればなんとか」


「あたしは全然大丈夫」


と言うわけで、港まで飛んで行くことになった。


ラーニャはハクアが、リリアはあたしが抱えて、飛び上がり港が南にあることを確認してから飛行を始める。


途中、鳥型の魔物が何体か出てきたけどラーニャが全部エクレールで落としたから何も起きることなく港に着いた。


え?飛ばしすぎ?


何もなかったんだからいいの。


港に入って、どの方面に行く船に乗ろうか考えていると、何か警鐘?


みたいな物の音が響いた。


そういえば、結構近くに魔物の集団がいた様な気がする。


多分それかな?


「魔物が来たぞー!」


予想的中・・・こういう時って、どうして当たるんだろうね?


『アミ、敵の数は?』


「百体くらいしかいないよ」


『やったら、一人三十体が目安やな?』


「そうだね。ノルマ達成次第、援護に入るってことで」


フュズィもハクアもすっかりやる気になってる。


ラーニャも右手と左手に魔力を溜めている。


「あみと一緒がいい・・・」


「それなら、早く終わらせて援護に来てね?」


「あ・・・うん!」


元気に頷くリリア。


「さて、それじゃ、目標二十分ね!」


『おー!』


目標達成時間まで、残り十九分五十七秒。



作「というわけで、次回からの四話では、それぞれの視点で話を進めていくからな?」


亜「リリア以来ね」


ハ「だよね。ずっと、アミの視点だったし」


ラ「緊張してきた・・・」


リ「早く終わらせてあみと一緒に戦いたい」


亜「ふふ。その前に終わってるかもよ?」


リ「頑張る!」


亜「期待してる」


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