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高町亜美の物語  作者: 大仏さん
第二章―契約者―
14/31

―子犬―

フュ『一言も話せませんでしたなあ?』


ム『俺はしゃべったのにカットされた』


フュ『ええやないですか?うちなんてホンに一言も発してないんですから・・・』


ハ「どうするの?拗ねてるよ?(小声)」


亜「どうするって言われても・・・どうするのさ?(小声)」


作「だってさ、まだハーツェルン一家にはムラマサ達のこと言ってないし・・・どうすれば良いんだよ?(小声)」


亜「質問に質問で返さないでよ(小声)」


ム・フュ『聞こえてるぞ(ますえ)?』


亜・ハ・作「あ・・・」



「あ~・・・足しびれた・・・」


「レイユちゃんのお説教、あんなに続くなんてね・・・もうすぐ夜明けだよ・・・」



やっと解放されたのが、五分ほど前のことで・・・あたしとハクアは馬車の荷台に突っ伏した。


人間ってハイになると疲れなんか気にならなくなる物だけど、その後一気に来るからな・・・今日は敵が来ても起きないかも知れない。


まあ、レイユちゃん、お説教した後電池が切れたみたいにパッタリ眠って、今は大好きなお母さんの腕の中ですやすやと眠りについてる。


ライトさんとノエルさんの二人もさっきみたいなレイユちゃんを見たのは初めてらしくて、なんかビックリしてたな。


『まあ・・・何だ、お疲れ』


『これからはもう少し、学習した方がええんとちゃいますか?』


「フュズィは厳しいな・・・」


『そんなことありまへん』


「だよね・・・それも、優しさ、か・・・ふわぁ・・・」


あたしが言うと、直ぐにフュズィが返してきて、また返すと、眠気が襲ってきた。


足のしびれはまだ取れてないけど、眠気には勝てないな・・・。


「はは・・・確かに・・・そう、だね・・・」


ハクアも眠気が襲ってきたらしい。


『ゆっくり休めよ?しばらくは結界もあるから大丈夫だしな』


『ライトはんとノエルはんもかなりの実力者やさかい、心配ありませんからね?』


「うん・・・おやすみ・・・」


「おやすみぃ・・・」


『ああ』


『ごゆっくり』



目を瞑って、意識が落ちていく直前、腰に差していたムラマサの重みが消えた気がしたけど、結局確かめられないまま、あたしの意識は闇に落ちた。





『ワン!』


『あ・・・ふふ、おいで?』


周りは白以外の色が無い空間。


そこに、小さな黒い点が一つ。


黒い小さな犬が、可愛らしく吠えてあたしに駆け寄ってきた。


しゃがんで手を差し出すと、ぺろぺろと舐めてくる。


くすぐったいよ、と言えば分かったと言うように、吠えたけど、また舐め始めた。


『君、聞いてないでしょ?』


『クゥ~ン』


小さく鳴いた子犬くん・・・ちゃん?どっちだろう?


『ちょっとごめんね?』


前脚の脇に手を入れて、持ち上げ確認する。


『うん、女の子だね』


と言うわけで、この子はとりあえず子犬ちゃんだね。




『どうして君は、あたしの夢に現れるの?』


『ワン!』


『ふふ、分からないよ』


犬の言葉を理解できたことなんて、今まで一度も無かったし、これからもきっと無いだろうけど。


まあ、いいか。



それから暫く、ごろごろしながら遊んだり、夢の中なのに寝たりして、一緒の時間を過ごした。



そして夢の中で目が覚めると、子犬ちゃんがあたしの顔を舐めていた。



『・・・今日は、おしまい?』


『クゥ~ン・・・』


『そっか。またね?』


『ワン!』


元気に一声吠えて、子犬ちゃんはこちらを振り向かず走り去っていった。







「・・・・・・」


今回はハッキリ覚えてるな・・・。


ちゃんとお別れをして、覚めたのは今日が初めてだ。


『よく眠れたか?』


その問いに夢の中でも寝てた、と答えると呆れられた。


「あはは。ハクアは?」


『お前が起きる何分か前に起きて、外の様子を見てる。今は馬を休ませる為に休憩してるからな』


「そうんなんだ。今の所、問題なし?」


『ああ。途中何度か魔物が襲ってきたが、全部結界で済んだ。ライト達も感謝してたよ』


「そっか。ありがとう」


『礼を言われてるのはお前だろ?』


何を勘違いしているんだか、この子は。


「今のはムラマサに言ったの」


『?なんでだ?』


「あのねえ・・・結界で済んだのは、確かにあたしがそれを張ったからだけど、ムラマサが居ないとできない結界でしょ?これは・・・ちゃんと分かってるの?」


『ん?・・・・ああ、そういうことか。なんか、当たり前すぎて忘れてたよ』


「当たり前?」


『ああ。俺たちは魔具なんて呼ばれてるけど、結局は道具だからな・・・礼をい「はいそこまで」?』


何か馬鹿なことを言っているムラマサの言葉を中断させる。


「結局は道具、なんて巫山戯たことは二度と言わない。いいわね?」


『は・・・?』


「あんたは道具じゃなくて仲間なの。もう八年の付き合いになるのに、今更こんなことを言わせないで」


『あ・・・ああ、悪かった・・・』


「分かればよろしい。さて、あたし達も出るよ?」


『ん?何かあるのか?』


「うん。五十メートル先から群れがこっちを狙ってる。しかも二方向からだから、結界も殆ど機能しない。だから、その方向にもっと厚く張る」


返事をしたムラマサを腰に提げ、荷台から出て、ハクア達に挨拶をして、魔物に狙われてることを伝え、南西と北西部分の結界を厚くした。


それにしても、今までは二日三日のクエストを受けた時は連日魔物に狙われる、なんてことは無かったのに・・・。



荷物に何かあるのかな?



ム『・・・・・・』


フュ『どうかしはりましたか?』


ム『いや・・・アミに、俺は道具じゃない、仲間だって言われてな?』


フュ『アミはんらしいな。本当は嬉しいんやないですか?そう言われて』


ム『まあ、な・・・』

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