向日葵と泡沫の夢 -行ける学校がなくなった子どもが見た世界-
真夏の週末。
電車のドアが開いて降りれば向日葵を持った子たちとすれ違う。
あまりに多くの子たちが向日葵を持っていること、また持っている子たちの楽しそうな笑顔に「ああ、今日ライブがあるんだ」とふと思う。
ふと思い出したからか昔の記憶が蘇る。
「懐かしいなぁ…」
そう呟きながら目的地に向けて電車を乗り換える。
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「カイて向日葵みたいだよね」
「なにそれ?どういう意味?」
「えー?カイ君は向日葵っていうより鈴蘭とかだよー」
「乃々香。それは小さいって言いたいのか?〆るぞ?」
「えー?あと見た目に騙されるて舐めたら毒があって死んじゃうとかー?」
「乃々香さんが僕をどう思っているのかよくわかったよ。もう明日からずっとスプラッター話してやる」
「ほらー性格悪いー」
「それもだけどそうじゃなくて聞いて!向日葵って太陽しか見てないじゃない?
カイって好きなこととか興味があること以外本気で見向きもしないで全部スルーするでしょ?
だからそっくりだなって」
「あーそうかもー。カイ君向日葵だねー
だからまたいきなり振られてたんだねー」
「それもだけどってどっちも酷くない?
えっ?なに馬鹿にされてる?っていうかあれ告られた記憶もなければ、付き合っても居ないのに何で振られたの?」
「馬鹿にっていうか事実を言っただけ?」
「そーそー」
「…じゃあ、そう言う要は何の花なんだよ」
「えーそんなの自分でいうの恥ずかしいじゃない。」
「じゃあ、どくだみ」
「ちょっとどういう意味よ!!」
「一見見た目はかわいい気がする。でも野生、逞しすぎる。
そして触ると匂いが付いて嫌な感じがするのと一緒で関わるとめんどくさいし、説教臭い」
「ちょっと、待ちなさい!!言い逃げしていい内容じゃない!!」
「えー乃々はー?」
「ちゃんと褒めたじゃん!一見可愛い気がするって」
「そんなの誉め言葉じゃない!待ちなさい!!打たれなさい!!」
「お前ら元気だなー。この暑い中なんで走り回ってるの?」
「「拓海!!」」
「聞いてよ!」「聞けよ!!」
「あーお前らほんと姉弟だよな。今度はなんだよ」
「一緒にしないで!」「一緒にするな!」
「あははーハモってるー!
乃々とお兄ちゃんよりカナちゃんとカイ君の方がそっくりだよねー
痛い痛い痛い!!カイ君頭掴まないで!!」
「こらカイ、俺の妹に当たるな」
「じゃあお前の彼女どうにかしろよ!こいつまたおかしなこと言い出したんだ!」
「おかしな事ってカイが向日葵に似てて好きなものしか見てなくってその他スルーしすぎって言っただけでしょ!そうしたら私の事どくだみって言ったのよ!!」
「ぶっ!!どくだみ!!」
「ちょっと拓海!!笑いすぎだから!彼女が酷いものに例えられたんだから怒ってよ!!もうこの笑い上戸!!」
「ほらー否定されないーどくだみ女ー」
「カイ!!待ちなさい!!今日こそ許さないんだから!!」
「おーい、暑いからさっさと行くぞー」
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「ねえねえ、カイ君カイ君。これを聴いてみなさい」
「出たよ、また。要のおせっかい」
「ちょっと、またって」
「いつもだろ」
「ちょっと!!本読まないでちゃんと聞いて!」
「あーもーうざいな。今度はなんだよ。」
「これ聴いて!!絶対カイ絶対好きだから」
「あーそういうの要らない。こないだの見てなかったの?」
「見てたけど!!見てたけど聴いて欲しいの!絶対好きになるから」
「うわ、うざい。その自信過剰」
「ねえ、カイ。いつも思うんだけど私3歳も年上なんだから敬ってよ」
「ちょっと!!鼻で笑わないで!!」
「年齢じゃなくて敬われる中身になったら敬ってやるよ」
「あああああ!すっごくむかつく!!かわいくない!!」
「要にかわいいって思われたところで一切嬉しくない」
「ああああああ!本当に腹が立つ!!!」
「要は我儘だし、本当にうるさい。よく拓海は付き合う気になったよな」
「それはほら、私の迸る魅力で…ちょっと鼻で笑うの辞めなさいって言ったでしょ!!」
「ねーカナちゃん、カイくん。ここ図書館だから静かにしなきゃだめよー」
「あ、すみません」
「本当に要は仕方ないな」
「ちょっ!」
「カナちゃーーーん」
「ごめんなさい。でも今の悪いのはカイでしょ」
「カイ君はそういう人だから言うだけ無駄だよ」
「ちょっとだから鼻で笑うの辞めなさいって言ってるでしょ!」
「3つ年上のおばさーーん。ここ図書館なんで静かにしてくださーい」
「あああああ!!!」
「カイ君もカナちゃんであんまり遊んじゃだめだよー」
「はーい」
「…ねえ、ののちゃんて本当に13歳なの?」
「乃々にそれを求めても無駄」
「カイくーん?私年下。ちゃんと優しくして?」
「拓海早く来ないかな」
「ツッコミいないとつらいねー」
「なんであなたたちそれで会話がいつも成立してるの?
ちょっと2人揃って首傾げないでくれる?」
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「ねえ、カイ。親に頼んで絶対進学した方がいいって。あのね…」
「金ない」
「だから親に相談し…」
「弟がいる」
「それは居ても…」
「うち母子家庭。親そんな稼げない。っていうかフリースクールっていくらかかるか知ってんの?
いま月なんだかんだで10万位掛かってんだよ。これ以上僕に金がかかったら弟の進学に響く」
「でも…」
「うるさい。黙れブス。
お前はただの拓海の彼女でしかないのに他人の事情に踏み込んでくんな。めんどくさいんだよ。
いちいちいちいちうざいんだよ。なんでお前そんなに頭悪いの?一度言ったら理解しろよ。
何度も何度もうっとうしい。
お前の人生じゃなくて僕の人生で僕の事なんだ。お前が口を出していい事じゃない。」
「カイ、違う」
「違わない。人の人生に口出してくんなバカ女。お前の理想を僕に押し付けるな」
「待って…違う…」
「カナちゃーん。今のはカナちゃんが悪いよー?
人それぞれ事情があるんだから望んでもないのに踏み込んじゃダメだよ?」
「でも…」
「カナちゃんは外の子だからわからないんだよね。
でもわからないからってカナちゃんの常識を押し付けてもカイ君にはカイ君の事情があるんだよ。
あとそれで泣くのはカナちゃん卑怯だよー?」
「…卑怯かな…」
「うん。いま痛いのはカナちゃんじゃなくてカイ君だよー。
カイ君別になりたくて不登校になったわけじゃないし、今すぐだって行ける学校があったら行きたい子なのこないだ聞いたでしょ?
それなのに行ける場所がない子に残酷だよねー」
「…」
「カナちゃんはお兄ちゃんの彼女であってカイ君の特別な何かじゃない。
姉弟みたいって言っても家族じゃないんだから土足で踏み込んじゃダメだよ?
家族でも…お兄ちゃんと私でもあんなことしないよ?」
「そっか…」
「うん。カナちゃんは外の子って言われるのが嫌だって言うけどやっぱりそういうところが外の子だから、外の子でしかないんだよ」
「…私も学校に行かなくなったらわかるのかな…」
「えー?多分そんな理由で学校に行かなくなったらカイ君に嫌われるだけじゃなくてお兄ちゃんにも振られると思うよー?」
「…」
「みんな違うんだから合うとこだけ合わせて、一期一会でいいんだよー」
「っそんなの!悲しいでしょ!!」
「それはカナちゃんの世界の話。乃々たちとは違う世界線の話だよ」
「…なんでこんなに…こんなに近くに居るのに遠いんだろうね…」
「それはね。多分考えたら負けってお兄ちゃんがよく言うやつだと思うよ」
「…」
「全部わからなくっていいんだよー?
乃々はカイ君もお兄ちゃんも考えてることなんてわかんないし、気になったら聞くけど聞いて答えてくれなかったら話したくないことだからそこでおしまいなの」
「…ののちゃんはそれで寂しくないの…?」
「んー?寂しくはないかな?だって乃々も話したくないことあるもん」
「わかってほしいって、知って欲しい、理解してって思わないの…?」
「んーわかんない。思って欲しいこともあるし、ないこともあるし。」
「そうなんだ……私は理解したいし、して欲しいって思っちゃうからな…」
「そうだよねー。カナちゃんそんな感じー
あのねー。お兄ちゃんの方がそういうの耐性があるけど、カイ君はねー。
そういうとこが全然少ないのー。
だからあんまり強要するとこないだカイ君に二度と話しかけて来るなってキレられてた子みたいな扱いになっちゃうよー?
カナちゃんはお兄ちゃんの彼女枠で外の子っていう免罪符があってもカイ君は嫌なことははっきり嫌って言う…っていうか存在を無かったことにしちゃうから、楽しくみんなで遊びたかったらもうしない方がいいよーっていうか、しないで欲しいなー。
カイ君ああなると数日来なくなっちゃうから、乃々一人になっちゃう」
「ごめん…」
「いいよーでもカイ君には謝らない方がいいよー。またうざいって言われるよー」
「難しいね…」
「そだねーだからもっと簡単に考えればいいんだよー
相手が話さないことには触れない。そうしたら揉めないでしょー」
「ののちゃん、それ寂しいです。」
「慣れだねー」
「本当にののちゃんが13歳が信じられない…5歳も年下なんて…なんでそんなに大人なの…?」
「嫌なこといっぱいあったからかなー?」
「…ごめん…」
「カナちゃん今日は帰ろー?お兄ちゃん待つのカイ君いないし、絡まれたらお兄ちゃん怒るし。」
「え、でも…」
「明日にしよー。乃々は帰るー」
「待ってののちゃん!駅まで一緒に…」
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「要!聴いたぞ!要にしてはいい仕事したじゃん。これありがと」
「ちょっと!一言以上多くない?!」
「褒めたし感謝してやったじゃん」
「そんないい方されても全然伝わらない!!」
「ほんとにめんどくさい女だな。だから振られるんだよ」
「煩い!!!!」
「ここに来ても、もう拓海は来ないよ」
「煩い…」
「わかってるならいいけど、乃々が心配してたぞ。年下に心配させてんな」
「カイは心配してくれないの?」
「何の心配すればいいの?」
「私の心配よ!!」
「だから何の?
別れた理由すら知らなくて拓海が働くからここ来ないとしか連絡貰ってないのに何を心配したらいいの?」
「…カイにもそれしか言ってないんだ」
「うん。拓海だしね。乃々も多分なんも聞いてないんじゃないかな」
「そっか…
…何が悪かったのかな…できるだけ我儘言わなかったし、無理も言わなかったつもりだったのに…」
「拓海に聞けば?」
「…もう連絡しても出てくれないの…」
「ああ、じゃあ諦めれば?」
「そんなに簡単に割り切れないから、ここに居るんでしょ!!!」
「一々怒鳴らなくても聞こえるよ。そういうのに疲れたんじゃない」
「…」
「こんなとこに居ないで受験勉強しろよ。短大行くんだろ?
これで落ちたら洒落にならないし、落ちこぼれの不登校児なんかと居たからって僕らにまで悪いレッテル貼られるんだからちゃんとしろよな」
「…ちょっとくらい優しい言葉掛けられないの?」
「優しい言葉って何?」
「…」
「お前は悪くない。拓海の気分が変わったんだろ。そのうち気が変わってまた連絡してくるよ。
そんなこと考えてないで、まずはやることやってたら忘れた頃に連絡来るよって言えば満足?」
「…」
「現実にならないこと言われて満足なら別に鏡相手に独り言言ってりゃいいじゃん。
お前今最高にめんどくさいよ。」
「…」
「自分が一番わかってるんだろ?拓海はもう来ないって。うわ、泣くなよ。めんどくさいな」
「泣かせたのは誰よ!!」
「事実を言っただけだろ!お前がめんどくさがってスルーするな正直に物を言えって前に言ったからちゃんと言ってやってるだろ!八つ当たりするな!」
「…カイのバカ!優しくない!拓海のバカ!!拓海の…
なんで…ずっと居たかったのに!一緒に居るの楽しかったし、ずっとずっとおじいちゃんとおばあちゃんになっても手を繋いで居たいって…
…早く一緒に住んで結婚して子どもも居て、仲良しの家族になって…幸せであったかい家庭が作りたいって…」
「あっそれだ。原因」
「え?」
「それ拓海に言ってたならそれ原因じゃん。お前不登校児に何求めてんの?」
「え…?」
「あのさ、フリースクールに来てても学歴になんないの知らなかったの?
拓海は中卒な訳。で今までやってたバイトより実入りがいいとこに移るって言ってたけど、月給で18行くか行かないかな訳でしかも正社員じゃなくてバイトでフリーターな訳、この不景気のご時世なんだから」
「え?え?」
「要って本当に馬鹿だな。そんなこと別れたいって言ってるのと一緒じゃん。
お前さ、またふわふわ夢見がちの理想で物言ってて、現実的に子どもできた時のこと真面目に考えてないだろ。」
「え…?」
「あのさ、そんなこと言ったら現実的に考えて18歳で将来性が全くないに等しい拓海君が理想の家庭と子どもが居る生活が欲しいお前と付き合い続けられるわけないだろ。
それならさっさと身を引いて、その夢を叶えられる奴と付き合った方がいいって拓海なら考えるって気づかないわけ?」
「…嘘…え、やだ!そんなつもりじゃ…」
「そんなつもりもなにも現実そういうことだろ。お前本当に考え無しだよな」
「私だって働けば!」
「乳幼児預けてすぐ働けるわけ?お前その前に学校あるだろ?」
「じゃあ、進路変えて…」
「変えても拓海は戻って来ないと思うぞ」
「じゃあどうすればいいのよ!!」
「知らねーよ!自分で考えろバカ女!」
「こういう時ぐらい優しい言葉で話しなさいよね!だから女の子に泣かれるのよ!」
「うざく絡みついてきて文句ばっか言ってる女になんて好かれたくないから願ったり叶ったりだね!!」
「ああ…もうやだ…なんであんなこと言っちゃったんだろ…
…すごい好きなのよ…ずっと一緒に居たいって意味だったのに…」
「価値観や環境の差だろ」
「知らないそんなの…会いたい…話したいよ…」
「…」
「時間戻せないかな…なかったことにしたい…」
「…」
「何か言いなさいよ!」
「…幸せな家庭を持つ夢があるなら次はちゃんと結婚を考えられる相手かを現実的に考えて選べよ」
「そういう…」
「仕方ないだろ。
あとは諦められないなら何年か経って拓海が子どもができてもやってけるって状態になるか、要が自分でも稼げて一緒に居たいって言えるようになってから、もう一回告ってみればいいだろ。
拓海は人情家だからそんな年月自分のこと思ってたって知ったら意見変えるかもよ」
「…」
「いまは拓海のことより受験のこと考えろよ。どっちみち必要だろ」
「…」
「…」
「…ねえ、そのアルバムあげる」
「は?」
「気に入ったんでしょ?拓海との思い出がありすぎてつらいからあげる。
物には罪がないしすっごく好きなバンドなんだから大事にして」
「え、重っ」
「そこは素直にありがとうって言いなさいよね」
「ありがとう」
「本当、かわいくないんだから……ねえ、カイはいつまでここに来るの?」
「んー。もうあんまり来ないと思うよ。
多分要が受験が終わって落ち着く頃には一回ばーちゃんとこ顔出したりとかして、バイト決めて働くし」
「そっか…じゃあここに来ても、もうあんな風には過ごせないんだね」
「そうだね。新しいとこでまた笑い合える奴作ればいいよ」
「一期一会だっけ」
「拓海が言ったの?彼女には使わないと思ったのにな」
「ううん。ののちゃんが…」
「ああ、乃々か。
そう一期一会だよ。出会いがあれば別れもある。
だから精一杯一緒に居られる時を全力で楽しめば会えなくなっても思い出は消えないだろ?
それでいろんな人と出会えば出会っただけ思い出も増える。人だけじゃなくてなんでも…」
「…」
「まあ、とりあえず泣きたいだけ泣けば?今日ぐらいは泣き止むまで付き合ってやるよ。」
「…」
「本当に手のかかる姉ちゃんだこと」
「…ねえ、知ってる?」
「なにが?お前相変わらず主語がないな」
「うるさい。そうじゃなくてそのアルバムのバンドのライブの話」
「いや知らない」
「あのね、みんなね、向日葵を持っていくの。
だからカイも行くことがあったらちゃんと向日葵持って行ってね」
「向日葵ね」
「カイの花なんだからピッタリでしょ?」
「それいま掘り返します?」
「はは…だって…」
「泣くか笑うかどっちかにしろよ。ぶさいくな顔がよりひどくなってるぞ」
「ねえ、女の子がこうやって泣いてるときはそういう憎まれ口を叩かなくてよくて、静かに黙って傍に居ればいいんだからね?傷口に塩を塗り込まなくていいの」
「はいはいはいはい。黙ってますよ」
「はいは一回」
「まじうぜえ」
「優しい言葉で話しなさいよね」
「ああ、もうやっぱ見捨てて帰ればよかった」
「ちょっと!!…ちょっと落ち着くから音楽とか聴いてて!持ち直したら声かけるから」
「はいはいはいはい」
「はいは一回」
「うぜえ」
「ねえ、本当に街にビルの合間に向日葵がいっぱい咲くの綺麗だから見に行ってね」
「…」
---
「カイ!!!」
「…要?」
「久しぶり!!えっ!その頭どうしたの??」
「ああ、友達の紹介で美容院のヘアショーに出るからって練習台になっただけ」
「金髪になってるから別人と思ったよ!」
「いやいや大人になりましたから」
「え?」
「あ?」
「ぷっ」
「成長してない貧乳に言われても」
「あ”?」
「要さん。20歳を越えてそのような態度は如何かと思われますが…」
「どうしてそういうところは変わってないわけ!!かわいくない!!」
「要にかわいいと思われても嬉しくない」
「もう…もう、…ねえ、元気だった」
「うん。まあぼちぼち」
「…乃々ちゃんたちは?」
「ああ、乃々は今年から高校生やってるよ。JKJKって制服自慢された。」
「そうなんだね。そっかののちゃんもう高校生なんだ。…学校戻れたんだね」
「ああ、っていうかあいつ高校は行くって決めてたからな。行けそうなとこずっと選定してたよ」
「そうだったんだね…。…えっと…その…」
「拓海なら相変わらずがっつり働いてるってよ。
乃々に前に駅で会った時に聞いただけで直接連絡取ってないからよくわかんないけど」
「そうなんだね…」
「うん。あ、さっきの彼氏?」
「あ、うん。…そう最近!最近付き合いだしたばっかりなの!!」
「いや、いいよ。別に僕に力いっぱい言わなくても。幸せならいいじゃん。」
「でも。違うの…あの…」
「それ辞めた方がいいと思うよ。今の彼氏にも拓海にも失礼」
「あ…」
「お前もそういうとこ変わらないな。大事にしろよ今彼」
「それは!」
『カイーーー!早く置いてくよーーー!!』
「あ、やべ」
「彼女?」
「いや、バイト先の子。じゃあ行くね!」
「待っ…」
「あ、そうだ!要!ライブ行ったよ!すげー街中向日葵であの光景すごかった!!」
「えっ…」
「なんだよ。忘れたのかよ。まあいいや!彼氏と幸せにね!」
「待っ…」
『カナ!お待たせ!コンビニ混んでて遅くなっちゃったけど、弟君行っちゃったんだ』
「あ、うん。バイトだって」
『すごい明るい子だね。向日葵っぽいって言ってたのわかる気がする』
「…そうだね。ものすごい明るいね。頭も黄色くなっちゃったし…」
『そういう意味だったの?』
「ううん、違うけど…」
『あ、急ごう。もう時間押してる』
「え、あ本当だ。ごめんね」
『いいよ。コンビニぐらい一人でも。懐かしい弟君に会えてよかったね』
「…うん。そうだね…」
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車内を流れるアナウンスにぼんやりと微睡んでいた世界から呼び戻され、窓のガラスに映る自分の姿に我に返り笑いが込み上げてくる。
随分と年を取ったものだと…
電車が駅で停車すると思わずそのまま降りてしまう。
目の前には大きな向日葵の花の広告が掲示されている。
「見たいな…」
予定があるのはわかっている。でも足が止まらなかった。
ホームを降り広告に書いてあった今日のライブの会場の最寄り駅に向かう電車へと乗り換えていく。
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どこまでも晴れ渡る真夏の青空に黄色い向日葵が街中に溢れていて
向日葵を持つ子たちの満面の笑みと楽しみで仕方ないという笑い声
ビルだらけの無機質な街に不釣り合いでそれでいて、とても印象的な光景で
この街もいつの間にか気づけばテナントが変わって、ビルまで立て直されていて、同じだったものを探す方が難しくなって
そんな今の景色と電車で思い出した記憶が交差する。
…あの頃大切だったものをいくつ覚えているだろう。
大事なものが変わったのか増えたのか減ったのか。
あの頃大事だったものはどこに行ったのか…?
譲れなかった想いってなんだったんだろう。
…ただいろんなことが思い出せないくらい月日は流れても、こうやって見る光景と笑い声は変わらなくて。
…このまま変わらず幸せの象徴であって欲しいって思うのは我儘…贅沢なのか…
目を閉じれば今もあの笑いあった日々がすぐそこに…
今書いている物綴りと詩詠いの1章の残り数話で詰まって気分転換してました。
元々このお話を書いていた時にいろいろ起きて途中で書けなくなっていたけど、SOPHIAのライブチケットが追加が出たのに買えなくてライブ行きたいなーとやさぐれてSOPHIA祭をしていて、ふと思い出した光景と元々書いていたお話がかみ合ったので書けそうだったので書いてみました。
セリフだけの物語ってちょっと書いてて楽しかったです。
僕の子ども時代にあったことや見たこととかをそのまま描くのはあれなので色々混ぜてフィクションにしてみました。フィクションてエッセイ枠じゃないのかな?
まあいいや。僕の思い出をふわっと物語に混ぜ込むとこんな感じになります。
10代ってカオスですよね。
では!ちなみにSOPHIAのサブスクが始まるそうで。持ってないのも流れるのかなー気になるなー
…ライブ諦められないなーキャンセル出ないかなー北海道はさすがに遠いなー;つД`)




