相手の身になって考える
相手の身になって考える、の本当の難しさ
「相手の身になって考えなさい」
これは教育でも仕事でもよく言われる言葉だ。
多くの人は、この言葉を聞けば一応こうする。
「もし自分が相手の立場だったらどう感じるか」
ここまでは、実はそれほど難しくない。
多くの人が“考えたつもり”になるところまでは出来る。
しかし、ここに大きな落とし穴がある。
それは──
自分のサイドのまま考えているという点だ。
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想像はしているが、サイドは動いていない
多くの場合、人がやっているのはこういう思考だ。
自分の価値観
自分の情報
自分の前提
これらを持ったまま、
「もし自分が相手だったら」
と考えている。
つまりこれは
相手を理解しているのではなく、
自分を相手の場所に置いただけだ。
自分のサイドから共感出来る事項だけを拾い集めてるだけだ。
これでは本当の意味で
相手の視点にはならない。
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本当に難しいのは「サイドチェンジ」
相手の身になって考えるために必要なのは、
想像力ではない。
サイドチェンジだ。
サイドチェンジとは、
•相手の情報量
•相手の前提
•相手の利害
•相手の恐れ
これらを基準にして
世界を再構築することだ。
つまり、
自分の地図を持ったままではなく、
相手の地図で世界を見る。
これが必要になる。
だが、ここが最大の難関だ。
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なぜサイドチェンジは難しいのか
理由は単純で、
人は基本的に
自分のサイドを守るように思考するからだ。
人間の思考は、
•自分の正当性
•自分の一貫性
•自分の立場
これを維持する方向に動く。
そのため、
相手のサイドに本気で立とうとすると
一瞬だけでも
「自分が間違っている可能性」
を受け入れる必要が出てくる。
ここで多くの人の思考は止まる。
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だから「分かっているつもり」が増える
結果として起きるのが、
「相手の気持ちは分かる」
と言いながら
実際には
相手のサイドには立っていない
という状態だ。
これは共感の問題ではない。
構造の問題だ。
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相手理解とは「移動」である
本当に相手の身になって考えるとは、
想像することではない。
立場を移動させることだ。
自分のサイドのままでは
どれだけ考えても
見える景色は変わらない。
だからこそ、
相手理解の最大の難関は
想像力ではなく、
サイドチェンジなのである。




