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─3話─ 進路とお弁当と最強と

─3話─


「ただいまー」

自宅の玄関のドアを開けた。


ってあれ?今日はお母さん仕事で遅くなるんだっけ


冷蔵庫に貼られた一枚のメモが目を引いた。


お母さんからだ

「マイへ。ご飯はチンして食べてね。それと明日進路面談があるんだからちゃんと考えておくように!」


そうだった!忘れてたー


進路だと?

笑わせる⋯武の最強を極める以外にどのような進路があると言うのだ


あのさあ、この令和の時代に最強を極めるって、いったい何するの?


ん?そんな事も分からんのか?

この国の全ての権力者共を打ち倒し、我が支配体制を築くのよ


え?じゃあもしこの国を支配したとして、それからどうするの?

国民の衣食住や健康管理、労働環境やインフラ整備に外交とか超めんどくさくない?


な、なんと夢のないことを!


あ、やっぱりドリームなのね

そういう具体策の無い夢って男の子好きよね~

音楽で食ってくんだとか夢を語って具体策の無いままいい歳になるまで実家でニート暮らしの奴と同じじゃん


なんだその例えは!

この俺の目的をそのような者と同列に扱うなど断じて認めん!


じゃあ具体的に最強になった後どうするのか教えて?


ぐぐっ!

ち、近いうちに考えておくわ!


だから進路相談は明日なんだってば


しかし、そういうお前はどうしようと考えているのだ?

下らん進路なら許さんぞ


そう言われるとちょっと困るな

今のところやりたい事も見つからないし、自分に見合った大学へ行くのが無難かなって


ふん!偉そうな講釈を垂れたわりには随分とつまらん将来像ではないか!

片腹痛いとはこの事よ


う⋯

ブーメランが帰ってきてしまった

「東大に入ります」ぐらい言える頭があればなあ


なんだそのトウダイなる物は⋯

全くこの現世は俺には理解出来ん事があまりにも多過ぎる

仕方ない

マイ、貴様の記憶を少し読ませてもらうぞ


え!?何何?

私の記憶を読む!?

そんな事できるの?

というかそれって私のセンシティブ情報まで全部分かっちゃうじゃん!

ちょっとやめてよ!


もはや我らは一心同体

お互いに隠し事は出来ん

ならば過去の記憶も共有した方が良いのではないか?


あのさ、十代の乙女の記憶を読み取るなんて倫理的に許されるはずないでしょ!


心配するな

俺が読み取れるのはお前が許可した記憶のみだ

例えば俺が「トウダイ」を知ろうとした時、お前の意識が許可しない限り俺は知る事が出来ん

逆もまた然りだがな


えーほんとに?なら良いけどさ⋯

じゃあライデンの記憶も読み取れるって事よね?


ああ、そういう事だな

疑うのであれば試してみるが良い


どれどれ

あ、すごい色々分かるねー

迅雷の技?アハムの世にジンケイ?

まるっきり漫画と同じじゃん!

じゃあライデンが今思ってる事は⋯?

あ、ダメだ、読み取れない


これで分かったであろう

お互いが許可した知識程度しか読み取れんということだな


へー面白いね


⋯⋯

なるほど、そうか

東大とはこの国の最高学府なのだな?

ならば話は早い

我らは東大に入るのだ!


入るのだ

じゃないよ!

入学試験がどんだけ難しいかも分かったでしょ?

私の今の成績じゃ天地がひっくり返っても無理だって


単純な話だ

学力を上げれば良いだけではないか


そんな簡単に学力が上がるなら苦労しませんっての


お前は忘れている

我らには迅雷の技があるということを!

これなら東大とやらに入るのも容易いだろう


ふーん、そっか

じゃ東大に入る前にお風呂入ろっと


おい!信用しておらんな!?


⋯あ!

ちょっとライデン!

お風呂入る時どっか行っててよ!


ん?

そのような事が自由自在に出来るはずなかろう

風呂ぐらい勝手に入るが良い

俺は構わん


バカ!私が構うのよ!

なんでアラサーのおっさん相手に私の全てをさらけ出さないといかんのよ!?


私はその日、目隠ししてお風呂に入る羽目になった。

どうすんのよこれから!



─ 翌日 ─


さて、今日も自転車で登校するのだが⋯


このような小さき鉄馬では話にならぬ!

我が身を預けられるのは紫電号のみ!


まーた面倒臭い事を言い出した


昨夜「迅雷の覇者」のコミックを父の部屋から探して読んだのだが、ライデンは色々感化されたらしい


って、それおかしいでしょ!

なんでご本人様(自称)がマンガに感化されてるのよ!


ライデンさー

今の日本じゃ馬とか飼ってるのは牧場ぐらいなの!ましてあんな巨馬いないし!諦めて?


ならばこの鉄馬ママチャリを紫電号と名付けよう


「紫電よ!学校へ疾駆するが良い!」


紫電号はアハムの世を駆け抜けるが如く通学路を疾走した。


だから無駄に速いっての!!!!


学校に着き、自転車を駐輪場へ置く

「ご苦労であった紫電よ、しばしここで休むがよい」


そういうこと声に出して言わない!

ほら!変な目で見られてるでしょ!


教室に入り席に着いた。

やはり気は抑えられていないのか、皆こちらに注目する。


そんな中、クラスメイトの1人が私の傍らに膝まづき恭しく話し始めた。


「マイ様、わたくし昨日の件でマイ様に感服いたしました。つきましては私をあなための配下に加えて頂きたいのです」


見れば昨日ザコ共から救ったサユリではないか

しかし、このように俺に近づいて来る輩はアハムの世でも大勢現れた。


俺の目が届いてるうちは良いのだが、少し目を離すとすぐに暴徒化しておった。

それではこのライデンの統率力の無さを露呈するようなもの。

現世では慎重にならねばなるまい。


「いいだろう。貴様の忠誠確かに受け取った。だがもしこの俺の意に削ぐわぬ動きを見せた場合、この俺の慈悲なき鉄槌が下ると思え」


「は、ははっ!」

サユリは立ち上がった。その瞳はマイへの狂信的なまでの忠誠心が宿っていた。


「マイ様のお言葉、命に代えてもお守りします!」


今のは全部ライデンが言ったんだけどね


こうして、私は忠実な側近を手に入れたのだった。


「じゃあサユリちゃん、お昼は一緒にお弁当食べよか」

「ハハッありがたき幸せ!」


お昼


私たちは机を並べてお弁当を食べた。

「へー、そんな音楽聴いてるんだ!」

「はっ!今度お貸し致しますね」

サユリちゃん、思ったより良い子っぽい。


その時ライデンの意識が突然質問した。

「もしや貴様もアハムの世に権勢を狙った者の生まれ変わりではないのか?」


突然のマイの言葉にサユリは目を丸くしている。

何を言い出すんだこの人は!

とか言われるかと思ったら


「やはり⋯!あなた様はライデン様では⋯!?」


ええーなんで知ってるの?


「ふん、やはりな⋯

してお前の元の名は」


「はっ、バロンでございます!」


バロン・・・

「あー思い出した!ライデンが死んだ後に家族を人質に取られて畑で働かされてた人だよね!」


サユリは感極まった表情で

「その通りでございます!私の力が至らないばかりに、ライデン様の死後、あの地を平定することが成りませんでした・・・お許しくださいライデン様」


「いいっていいって!そもそもライデンが途中で死んじゃったのがいけないんだし」


「ラ、ライデン様・・・」


俺が倒れた後、そのような事が⋯?


ほら、昨日は「迅雷の覇者」の途中までしか読んでないじゃん?

まだ序盤だから、ライデンが死ぬのはまだ先よね


何だと!もしやあの漫画には俺の死後の事も載っているのか!?そこが最終回ではないというのか!?


なんということだ!

それがあれば俺の知らぬ未来が全て我が手中ではないか!


「してライデン様、これからどうされるおつもりですか?」

「ふ⋯知れたこと、俺は再びこの世で最強となるのだ」

「おお、さすがはライデン様!このバロン粉骨砕身の覚悟を持ってお供いたします!」


サユリちゃん⋯

その前時代的な物言いは教室ではちょっと浮くよ⋯?人のことは全然言えないけど


「お願いなんだけど、私今マイって名前だし人前でライデンって呼ぶのは遠慮してもらって良い?あとあなたも「サユリ」でしょ?ふふ」


「ははっ!このバロン思いが至りませんでした!申し訳ございませんライデン様!」


「えー、全然分かってないじゃんサユリちゃん」


二人(笑)


「ところでバロンよ」

もう!今の今でまたバロン呼びに戻るんじゃないの!


仕方なかろうが!

バロンとは貴様よりも付き合いは長いのだ!つい出てしまうのもやむを得んではないか


「はっ!マイ様なんでございましょう」

サユリちゃんはきちんとしてるのに。


「この世界にはおそらく他にもあのアハムの世から転生した者たちがいるはずだ」

「はい、我々と同じように」

「その者共を見つけるのだ。ただし悟られんよう慎重にな」

「ははっ!承知しましたマイ様」


なんか話を進めてるけど⋯


「うん、じゃあ早くお弁当食べちゃおう!」

「はっ!」


周囲の生徒はその異様な会話の内容に聞き耳を立てていた

「何かの宗教?」

「ラノベの設定でも考えてるのか?」

など口々に噂していた。



つづく


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