─25話─ 迅雷正統伝承者
─25話─
迅雷拳の伝承者!?
「ムリムリムリムリ!私受験で忙しいしさ」
「心配するな、お前は既に迅雷拳の真髄を心得ている。後は大学に入って放課後にでもゆっくり学べば良い」
ねえ、迅雷拳って大学のサークルか何かなの?
ライデンの意識が前に出る
「待ていジンケイ!貴様いったい何のつもりだ!」
「ぬ、ライデンか⋯
あなたは分かっているはずだ、このマイの真の才を。
だいたいライデンよ、あなたはこの娘を後継者にしようとしていたのではないのか?」
くっ!ジンケイめ
要らぬところで鋭いやつめ!
「待って待って!迅雷拳って暗殺拳でしょ?そんな物騒なもの女子高生に継承して良いものなの!?」
「逆に聞くが⋯何が問題なのだ?」
「うむ、問題は無いな」
あ、ダメだこの人ら話通じないわ
「でもちょっと待って!
私がここで断った場合どうなるの?」
迅雷拳は一子相伝!
伝承者になれなかった者は、その拳を潰され記憶を封じられるのだ
それが迅雷2000年の掟!
え!待ってよライデン!
確かにコミックの一節にもそんな事が書かれていた気もするけど⋯
「拳や記憶を封じられちゃ困るんですけど!」
「それは⋯断らねば良いだけの話だ
断るのであれば⋯その拳を封じるのみ!」
おーい!なんて勝手な!
しかもそれって実質一択なのでは?
ジンケイはさらに続けた
「俺がこの器、圭一に記憶を共有しなかった理由がそれだ。もしも圭一が迅雷拳を使う事になればいずれその拳を封じねばならぬ」
あー!だからか!
道理でジンケイが起きてる間は圭一君が寝てるわけだ
って、納得してる場合じゃない!
じゃあライデンはなんで私に迅雷拳教えたのよ!
ふん、貴様はいずれ伝承者になると思っておったからな
嘘ばっかり!
絶対何も考えてなかったでしょ!?
みんな酷いよー酷いよー
これも宿命と思い受け入れることよ
北斗の男ってほんと勝手な奴ばっかり!
「あーもう分かったわよ!伝承者でも伝書鳩でもなってあげようじゃない!」
ジンケイはマイの肩に手を置いた
「決まりだな」
「その代わり優しくしてよね!」
「ああ」
後ろを通り過ぎた学生たちが「キャー」とか言ってるし!
ああ⋯
この部分だけ切り取って聞いたのね
絶対勘違いしてるやつじゃん
これはもう、アカン⋯
そもそも迅雷拳伝承者なんて重い話を学校の廊下でフランクにするんじゃないよ!
ジンケイは逃げるようにメガネを掛けた
「あ、あれ?二階堂さん、こんな所で何を⋯?」
「圭一君が私を大切にしてくれるそうでーす!」
「え!?」
呆気に取られた圭一を残し私は教室へ戻った。
「マイちゃんおめでとうー!!」
あーやっぱりこんな事に⋯
昔から悪事は千里を走ると申しまして、それを無かったことにするのはもはや不可能でございます
もう諦めた
「ありがとう!」
なんにありがとうなのだ私
遠くの圭一の教室からも歓声が上がるのが聞こえる
本人が知らない分余計に始末が悪い
もう卒業だから良いけどさ
⋯いや良くもないな
「マ、マイ様ぁ!」
やっばー!面倒なのが来た
「マイ様真実でありますか!?あの圭一がプロポーズなどと!」
「あのねサユリちゃん、話すと長くなるん⋯」
話の途中なのに喋り始めるサユリ
「私は認めません!マイ様のような崇高な人物が、いかに高学歴であろうとあのようなうつけ者と婚約するなど!」
親戚には手厳しいなサユリちゃん
「なるほど分かりましたマイ様!あの痴れ者が勝手に言いふらしておるのですね!?今度という今度はあの男許しません!」
周囲のヒソヒソ声が聞こえてくる
「三角関係の拗れ?」
「マイちゃん大変だね~」
ヤバいです。社会的死はこうして起こるのだということを身をもって知りました。
サユリちゃんはズカズカと教室を出て行った
行先は言うまでもない
圭一君の無事を祈るのみ
そして教室に残った私が皆の質問攻めに合うのは必然だった
「どっちからプロポーズしたの!?」
「学生結婚するつもり?」
「式には呼んでよね!」
これ全部答えなきゃいけないの⋯?
もう代わりにライデン答えておいてよ
む?構わんぞ?
「良いか貴様ら、由緒ある我ら一族の契りを茶化すとは言語道断なり!」
あ!ちょっとちょっと!
「継承式は身内で行うもの故、呼ぶことはせぬ。だが客人として参るのであればそれを拒むものではない」
何を語り始めるのよ!
やっぱり良いです!余計死んじゃいます!
圭一君のクラスの方からは、何やら断末魔の悲鳴が聞こえてくる
圭一君⋯
君の死はムダにはしないよ!
こうして令和の世に第70代迅雷拳伝承者が爆誕したのだった
もう帰りたい⋯
つづく




