─15話─ 前世のフィギュアメーカー
─15話─
「元老殿のシュンの事だと!?」
「フフフ、そうよ。奴が前世で狂った本当の理由を教えてやろう」
「なに!奴が狂った本当の理由!?」
⋯うーん
自分で言って自分で驚いてる⋯
傍から見ると圭一君が一人漫談やってるようにしか見えない
彼らは共存した関係じゃないから脳内会話は出来ないんだねきっと。
分かりづらいからセリフの前に発言者を書いておこう(マイよ誰に言っておるのだ)
ジャゴ︰ 奴、元老殿のシュンは、貴様からローズを奪った後、居城に戻りローズと暮らそうとしていた。
だが、ライデン軍が攻めてくると知った奴はローズを元老殿の守備隊に託したのだ。
ジンケイ︰その話なら知っている。前世で守備隊の連中から聞いたからな
ジャゴ︰なら話は早い。その後シュンはローズの代わりに等身大ローズのパネルを用意したのだ
マイ︰ん?パネル?等身大フィギュアじゃなくて?
ジャゴ︰ふふふ、奴はパネルで満足していたようだがな。それでは面白くない。そこで奴にその等身大フィギュアを勧めたのは他でもない⋯
この俺だ!!
ジンケイ︰な、なにィ!!
シュンがフィギュアに狂ったのは貴様のせいだったと言うのか⋯!!
ジャゴ︰ああそうだ。発売元のメーカーを探し在庫を確認してもらったのだ。
「あと一体ありますよ」
などと言うからシュンをそそのかして購入させた。そこはオーダーすればどんな姿にも改修してくれるからな。早速パネルを持参して改修してもらったというわけだ。
マイ︰(それって前世の話だよね?令和日本の話じゃないよね?)
ジャゴ︰うわーはっはっは!悔しいか!悔しいかジンケイ!
ジンケイ︰ゆ、許さんジャゴ⋯!
マイ︰(ジンケイも何に怒ってるのか分からん)
ジンケイ︰ジャゴ⋯貴様は長く生きすぎた!!
ジャゴ︰ふ、弟が!この世に兄より優れた弟など存在しねえ!
ジンケイ︰おおっ!!
ボグッ!!
ジンケイの拳がジャゴの顔面にクリーンヒット!(つまり自分で自分を殴打)
ジャゴ&ジンケイ︰ぐあっ!!
うん、そりゃそうなる
ジンケイ︰ぐっ!ジャゴ!
ジャゴ︰おのれ、やるなジンケイ!
大丈夫かこやつら
面白いからしばらく見ていたいところだけど、このまま放っておくと圭一君死んじゃうな
じゃあ打ち合わせ通りにライデンやっちゃって!
「よし!迅雷我散爆掌!!」
ライデンの闘気が圭一に向かって突進する。
そのままでは圭一が丸ごと消滅してしまうので放たれた闘気を制御しジャゴの魂だけを狙い撃つのはマイの役だ。
ライデンの闘気の威力とマイの精密狙撃が組み合わされ、ジャゴの魂だけを消滅させていく。
「お、おのれえ⋯!ぐああああ⋯!!」
ジャゴの断末魔と共にその魂は消滅した。
「ふう、やったね!」
ふん、俺の我散爆掌で滅せぬものなど無いわ!
(しかしマイめ、俺の放った我散爆掌をコントロールしただと?マイの奴が自信ありげに言ってきた時には信じられなかったがな⋯
そんな事が可能だとは我が師でさえ言っておらぬわ)
ライデンは喜びと共に戦慄をも覚えていた。
(しかもこの我散爆掌の威力⋯あのそよ風レベルだった頃とは全く比べ物にならん
⋯こやつ迅雷最強の伝承者になるやも知れぬ)
「だがまだまだ未熟よ!」
何?急にどしたライデン
貴様のことだ!
と言おうとしたがやめておくわ
倒れている圭一にメガネをかけさせる。
今ジンケイが出てくると面倒なことになりそうだからね。
圭一はゆっくりと立ち上がった
「うう、ジャゴは⋯どうやら消えたようですね、いててて!」
あらー、撃たれた跡が痛々しい
やっぱり魂は肉体の中にあるからそれだけを狙い撃つなんて出来ないよね~
「二階堂さん、ありがとうございました。また助けられましたね」
「良いって良いって!いつも勉強見てもらってるしね」
「マイ様ここでしたか!圭一も!」
喧しいのが入って来た。
「サユリちゃん、今日は遅かったね?」
「ええ、少し用事がありまして⋯
それより圭一!きさままた何かやらかしたな!?」
サユリは今朝の騒ぎを聞きつけて私たちを探していたようだ。
「もう解決したから大丈夫だよサユリちゃん」
(まあ後遺症は色々ありそうだけど)
「左様ですか⋯しかし圭一よ、マイ様に対する数々の無礼、これからは容赦せぬぞ!?」
圭一は、分かってますよと言いたげに肩をすくめる仕草をした。
「じゃあ今日も勉強よろしくね!」
とは言ったものの図書室もこの1ヶ月閉鎖されたままだ。なかなか費用が出ないとか何とか⋯
司書さんの記憶を消しておいて助かった。
最近はファミレスだったり図書館だったり勉強場所の確保に苦労している
「今日もちょっと遠いけど図書館かな」
「二階堂さん、今日はうちでやりましょう!助けて頂きましたし是非!」
珍しく圭一が真っ先に提案する。
「そうだね、じゃあお邪魔しようかな!
ね?サユリちゃん」
「はい、勿論お供いたします」
え、お前も来んの?
圭一心の声
貴様の心の声は分かってるぞ圭一
この私を差し置いてマイ様と二人きりになぞさせるはずがなかろう
「ふふん」
サユリは鼻を鳴らしマイの隣を歩く
各人それぞれの思惑渦巻く中、一行は圭一の住むマンションに到着した。
「高いマンションだね~!」
数十階はあるビルの中へ入りエレベーターに乗る。
28階のボタンを押す。
ほぼ最上階じゃないのこれ?
ピンポン
「ただいま」
インターホンから「おかえり」の声とともに鍵が開く。
「さあ、どうぞ」
中に入ると圭一の母親が出迎えてくれた。
「あらあらお友達?女の子を連れてくるなんて」
お母さん?
そんなに期待した目で見ないでください
そういうのではございませんので
ではどういうのなのだ?
ライデンが聞いてくるが無視しておく
「こちらが僕の部屋です。
あまり片付けていませんがどうぞ」
あー
中は小ざっぱりしてる
物がごちゃごちゃしてなくてシンプルだ
圭一君らしいといえばらしいのかな
「窓の眺めすごいねー!」
高層階からの眺めは素晴らしい
富士山も見えそうだ
(圭一め、こんな所でマイ様と二人で過ごすつもりだったのか?油断出来ん奴め!)
サユリの目の奥に炎が点った。
「じゃあ始めましょうか。二階堂さん、隣に座っ」
言うが早いかサユリがマイの横にドッカリと座った。
ほれそっち
というジェスチャーをサユリが圭一へ送ってくる。
苦虫を噛み潰したような表情の圭一が渋々向かい側に座った。
(全く油断も隙もないヤツだ)
圭一とサユリは2人とも同じ思いだった。
「二階堂さん、模試の結果はどうでしたか?」
そう、先月の模試の結果が昨日帰ってきたのだ。
「ふふん」
マイは待ってましたとばかりに
「なんとC判定でしたー!」
ぬう、A判定どころかBですらないのか!?
ライデンがツッコんで来るが、よく考えて欲しい
私は数ヶ月前まで自慢じゃないけど成績はイマイチだった。
それが東大模試で今回C判定よ?
我ながら凄くない?
お母さんなんかそれ見せたら腰抜かしてたもの
しかし迅雷拳があれば試験など楽勝だと言ったではないか
そりゃ最初はそう思ってたけど、いくら迅雷拳を使っても馬鹿が天才になるわけないんだよね
ジャゴ見てたら分かるでしょ
く、痛いところを⋯
だが確かにそうだ
いくら迅雷閃の呼吸や同心術を使おうと、本人にその才覚が無ければ全ては無駄に帰すであろう
こやつ、技に溺れず自分のものにしておる⋯なかなかできぬ事だ
「素晴らしいですね二階堂さん!まだ時間はありますから東大合格の可能性がグッと上がりますよ!」
圭一君が素直に褒めてくれた。
「ふふん、マイ様なら当然の結果よ!」
なぜかサユリちゃんが自慢げだ。
「そういえば圭一君は?」
「僕も⋯C判定でした」
圭一はやや不本意であるようだ。
うーん、最近ジンケイやジャゴに憑依されて大変だったもんね
「じゃあお互いにもう少し頑張ろう!」
「はい、そうですね」
「マイ様!このサユリ誠心誠意お仕え致します!」
目標達成が現実味を帯び、決意を新たにする私たちだった。
数刻の後
「あー、疲れたね。ちょっと休憩しようか」
ふとマイの視線にあるものが映った
「あ!金太郎電鉄がある!これ好きなんだよね」
金太郎電鉄
略して金鉄は、サイコロを振ってコマを進め、最終的に大金持ちになった者が優勝となる、いわゆる人生ゲームだ。
「圭一君ゲームとかやるんだ?」
「ああ、いえ、それは弟のものなんですが、弟の部屋に置いておくと際限なくやってしまうのでこの部屋に置かれてまして」
弟さんいるんだね
今日はいないのかな?
「ちょっとだけこれやらない?」
「しかしそれで遊んでしまうと長くなりますよ⋯?」
「ほら、短時間モードでやれば良いじゃん。3年間限定で」
「それなら、まあ」
「よし、じゃあ優勝した人は最下位の人にひとつお願いが出来るってルールで!」
「面白そうですねマイ様。私も乗ります!」
こうしてお願い出来る権を賭けた金鉄真剣勝負が開催されたのであった。
つづく




