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─10話─ 北千住踊りと保健室

─10話─


休み明けの学校


うーん

そろそろ模試の時期だなー


今の私は迅雷拳の応用で以前より遥かに学力はアップしてると思う。

しかし東大合格を目指せるレベルかというとそこはよく分からないのだ。

今日の勉強会で圭一君に確認しなきゃな。


「マイ様、顔色があまり優れぬようですがいかがいたしましたか?」

サユリが心配そうに聞いてくる。


「最近圭一の奴めがマイ様に失礼な態度を取っておるようですが、それがお気に障っておられるのではないでしょうか」


失礼というか、ジンケイの転生体だもんね。

まだサユリちゃんは気づいてないようだけども。


「大丈夫だよサユリちゃん。ちょっと勉強の達成度がイマイチ分からなくて」


「マイ様はここ数ヶ月で随分と成績が上がられているではありませんか。悩む必要は無いと存じます」

サユリは誇らしげだ。


「ですが、私は勉学に関しては些か疎い人間ですので、やはり圭一に頼る他ございませんね」


ふっ

かつて武将として勇名を馳せたバロンも、こと学問に関しては不得手であるか。


そりゃあもしバロンの頭が良かったら、あんなコスカラみたいなチビデブ親父にこき使われたりするはず無いもんね


マイよ、それは本人には決して言わぬ事だぞ・・・


それにしてもコスカラ、か。

紫電のエサ係だった小者が、俺の死後に姑息な手段を用いて君主に成り上がった奴よ。

あのような小者に良いように使われぬよう、やはり武人にも学問は必要だ。

攻略本(迅雷の覇者コミック)での知識が俺の学問に対する認識を変えたのだ。


俺が最強の覇道を極めたとしてもそれを維持する頭脳を持たなければ、またコスカラのような小賢しい者に後ろ足で砂をかけられぬとも限らぬからな。


「おや、お二方深刻そうな表情でどうしましたか?」


いつの間にか私たちの背後に保健室の富田先生が立っていた。


なっ!

こやつこの俺に気配を悟らせぬとは⋯!?


いやいや、保健室の富田先生だからね?


なにィ!

富田、だと・・・!?


トミタ⋯

トミーか!?

しかも保健医だと?

我が血を分けた弟、トミー

あのトミーも迅雷の武を医療に使おうとしていた。

このような偶然があるものか⋯


でも優しい女の先生だし、何でもかんでも前世の転生者にするのは、ねえ?


むう

ならば確かめてみるとしよう


マイは立ち上がり、富田先生に向かいあった。


拳に拳を合わせて胸の前で構える。

それは迅雷の誓いの構え

迅雷昇魂掌である!


それは迅雷の武人による勝負の儀式である。

「この勝負で倒れたとしても相手を恨まず自然に還る」

という意味が込められている。

つまり死ぬか生きるかの真剣勝負なのだ。


トミーならばこの構えに必ず応じるはず!


富田先生が驚きの表情を見せた。

「びっくりしたわ二階堂さん!まさか貴方がそれを知ってるなんて!」


やはりそうであったか!

俺の目に狂いは無かった。

迅雷の誓いは次元すらも超えるのだ。


「懐かしいわ~北千住踊りの振り付け」


いや知らんし!

踊りじゃないし!

そもそも北千住ってどこ!


教室の中で私は完全にピエロだ。

皆の視線が痛すぎる。


「二階堂さん、あなた突然北千住踊りなんか始めて・・・先生ちょっと心配よ」


うん、私も自分が心配よ。

この空気どうしてくれる。


「ちょっと保健室にいらっしゃい?少し診てあげるから」


富田先生の誘いにマイは素直に従った。

実際は、この微妙な空気の教室から一刻も早く離れたいだけだった。

「サユリちゃん、ちょっと行ってくるね」


「はっ!このサユリいつまでもマイ様をお待ちしております」


マイは富田先生の後に続き、保健室に入った。


富田先生はドアに鍵をかけ、カーテンを閉めた。

「変な人が入ってこないようにね」


「二階堂さん、ベッドにお座りなさい」

そう言いながら富田先生もマイの隣に座る。


富田先生はマイの首筋に触れながらゆっくりとした口調で語りかけた。


「二階堂さんあなた・・・迅雷の伝承者?」


「なっ⋯!先生はやっぱり⋯」


こやつマズイぞ!

ライデンの意識が警告を発したその瞬間、私の意識は遠のいた。


気がつくと・・・

私は保健室のベッドに縛りつけられていた。


え!?

なにこれ!


「ふふふ、二階堂さんおはよう。かなり疲れてたようね?ぐっすり眠っていたわ」


富田はマイの傍らに立ち耳元で囁いた。

「貴方が眠っている間に少し実験させてもらったわ、貴方の身体でね」


マイは慌てて自分の姿を確認する。


制服は着ているが・・・

え!パン・・・が無い!?

「先生!何したの!?」


「安心なさい?貴方の身体には何も危害を加えていない。ただ貴方の中の邪魔な存在に消えてもらっただけ」


え?

まさかライデンが?

・・・消えている!?


「富田先生!アナタはいったい・・・!?」


「そう、私はトミー・・・

そうね、貴方にはトミーに成りすました存在、と言った方が分かるかしら?」


私の記憶からある可能性が呼び起こされた


「まさか・・・!ゲドー・・・!?」


「ふふふ、やはりご存知だったわね

そう、私はゲドーの転生者・・・

ここまで言えば分かるかしら?

あなたにはこれから木人となってもらうの」


・・・!


ゲドーが前世において技の人体実験のために使う、生きた人間の事を木人と呼んでいた。


「迅雷の伝承者の木人よ。素晴らしい実験台になるわ」


富田の手にナイフが握られた。

そのナイフがゆっくりとマイに近づけられる。


「二階堂さん、何も心配はいらないからね?」


ちょっとちょっと!

シャレにならないって!

ライデン起きて!

やだやだやだやだ!


富田の目は好奇に輝いていた。

「ふふふ、あなたの致命のかなめに楔を打ったら迅雷の使い手はどんな反応するのかしら」


ナイフの冷たい先端がマイの足に触れた。

「・・・っ!」


「あらあら、動かない方がいいわよ?綺麗なお肌がスッパリ切れちゃう」

ナイフがマイの肌を滑る。


「ふふ、あなたの中にこれが届けばあの邪魔な存在を完全に消してあげられるわ。感謝しなさい」


やめ・・・!!

それはマイの声にならない声


その刹那・・・


ドカンッ!!


ドアが蹴破られバラバラに粉砕された。


「・・・今度は女性教諭に化けていたかゲドーよ」

聞き覚えのある声だ


「これで前世に続き二度目だ!貴様はこの世に存在してはならん許されざる者だ!!」


富田は叫んだ。

「なっ⋯!そのセリフ⋯貴様まさかジンケイ!?」


「ゲドーよ、我が一族を辱める非道な行い、絶対に許さぬ!!」


「圭一⋯くん?いや、ジンケイ⋯!?」

マイはか細く叫ぶが、不動のかなめに楔を撃ち込まれ動けない


「⋯なぜここが分かったの?」

富田は落ち着きを取り戻しジンケイに尋ねる。


「いつも放っていたマイ、いやライデンか。その気が突然消えた。その消えた先を辿って来ただけのこと」


気が抑えられてなくて助かったとは皮肉なものだ。


「ふふん、ジンケイ、このナイフが見えないのかしら?」


ギラリと光るナイフがマイに突き立てられた。

「お前がこちらに来る前にこのナイフがこの子を貫くわよ!ふふふ」


「そこまで堕ちたかゲドー!」

ジンケイの怒りが頂点に達した。


「ハァァァァ・・・!!」

ジンケイの闘気が全身を包み込む。


迅雷我散爆掌!!


それは手を触れずして敵を貫く迅雷の奥義である!


「二度と転生など出来ぬようその魂ごと滅殺してくれる!」


マイは薄れる意識の中で思った。

(ジンケイさん、MINEの時の文章と全然違うじゃん⋯)


ジンケイから放たれた闘気がゲドーの全身を貫いた。


うがあああっ!!!


ゲドーは呆気なく吹き飛び、保健室の壁に叩きつけられた。


⋯⋯

富田先生は倒れているが何とか生きているようだ。

その歪んだ形相が元の温和な表情へと戻っていく。それはゲドーの魂が完全に消滅したことを意味していた。


「大丈夫か」

ジンケイはマイをシーツで覆いそっと抱き抱えた。

マイはジンケイの腕の中で気を失った。


つづく

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